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11決闘大会②
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ふらふらな彼の重心。慣れない護身具をつけているせいだ。吹いたらどこへでも飛んでいってしまいそうだった。
ルイはすかさず彼のもとに寄って、手をつないで支えてあげた。小高く土が盛られているから転びやすい。レオポルドが試合前から怪我でもされたら元も子もない。
「……」
「どうしたのです、緊張しているのですか?」
手を引いて先導するルイの後ろを、さっきまで奮起していたレオポルドが大人しく付き従っている。ルイにはそれが少年が縮こまっているように見えた。
「いや。その」
もごもごと口に出さないレオポルドをよそ目に、二人は中心までたどり着いた。ルイはさっさと後ろに身を引いて、少年の顔が見えそうな位置まで横移動していった。
「いよいよですねルイ様」
「うん」
侍女のララが目を血走らせながら声を掛けてくる。彼女はこの会場の空気にだいぶ酔っているらしい。ふだんなら出さないような声量で先までの試合も盛り上げていた。
レオポルドの相手は、地方貴族の令息であった。体格は相手の方が上だが、動きが鈍臭そうな体型をしている。円形の土俵では、あの機動性は不利に働くだろう。
レオポルドが勝機を見出せるとしたら短期決戦、剣の速度でも可能性は十分にある。相手を疲れさせて、反撃もない優勢勝ちが理想だ。
決闘開始の合図とともに、俊敏なレオポルドが剣を振り下ろした。
しかしその一発が決定打になることはない。次から次へと技を決めなければ、非力な側がしだいに押されてしまう。ここは攻め時だ。
左から右への軽やかなタメと振り。10歳とは思えない鮮やかな技巧で、敵に隙を見せない。力こそないが確実に技をいれていく。
「すごい……」
ルイはレオポルドの練習を何回か見たことはあったが、試合当日までにこれほど仕上げてくると思わなかった。素早い連撃と、伸び伸びとした間合いの取り方。
少年の動きについていけない相手は、横に縦にぶんぶん剣を振り回していく。目算どおりの疲れが見えてきた。レオポルドにはまだ心の余裕がある。油断さえなければきっと勝てる。ルイは確信した。
「ここだ」とレオポルドが踏みこんだ瞬間のことである。少年の重心がぐらりと右に傾いた。
重たい鎧に引っ張られて、彼の体は意図しない方向へ。そして剣の切っ先は相手を避けるかのように空を突いていった。
ゴッと鈍い音がして、小さな体がわずかに宙に浮いた。そのままレオポルドは床にうつ伏せとなって倒れ込む。勝敗は誰の目にも明らかであった。
ルイは自失を極め、衝撃ではじめ身体が動かなかった。倒れた彼のもとへと行こうとしても、カタカタと膝が震えた。
一回戦目から負けたとか、油断を誘われていたとか。そういう試合に関することは何も思考できなかった。単純に、レオポルドの安否が心配で声が出せなかった。
「れ……レオポルド!!」
叫んだのはルイではなく、第二王子のロイドであった。王族が一撃で倒されたこと。優勢であったのにもったいないという観衆の声が肥大化していく。雑音が強まる。ルイは周りへの苛立ちを抑えながら少年に遅れながらも近寄っていった。
「レオポルド様……!?しっかり、大丈夫ですか?」
「う……うん」
むくりと起き上がった額からは鮮血が垂れていた。地面とぶつけた時にできた傷だろう。ゆっくりと少年を横抱きにして、強打された箇所も見てみる。痛みこそあれ、重たい怪我にはつながっていないようだった。
「血の量がひどい……。止血をしなくては、レオポルド様。このまま王宮へ戻りますからね?」
「うん……わかったよ」
いつもよりさらに従順なレオポルドを、侍女の助けを借りながら宮に戻していく。ロイド王子と彼らの従者からはいらないお礼を受け取っておいた。お辞儀をするくらいなら負傷者を労わってやれとルイは突っ込みたかったが今はそんな暇はない。
健闘した少年を懐に抱いて、彼に付き添ってやらなければいけないのだから。
ルイはすかさず彼のもとに寄って、手をつないで支えてあげた。小高く土が盛られているから転びやすい。レオポルドが試合前から怪我でもされたら元も子もない。
「……」
「どうしたのです、緊張しているのですか?」
手を引いて先導するルイの後ろを、さっきまで奮起していたレオポルドが大人しく付き従っている。ルイにはそれが少年が縮こまっているように見えた。
「いや。その」
もごもごと口に出さないレオポルドをよそ目に、二人は中心までたどり着いた。ルイはさっさと後ろに身を引いて、少年の顔が見えそうな位置まで横移動していった。
「いよいよですねルイ様」
「うん」
侍女のララが目を血走らせながら声を掛けてくる。彼女はこの会場の空気にだいぶ酔っているらしい。ふだんなら出さないような声量で先までの試合も盛り上げていた。
レオポルドの相手は、地方貴族の令息であった。体格は相手の方が上だが、動きが鈍臭そうな体型をしている。円形の土俵では、あの機動性は不利に働くだろう。
レオポルドが勝機を見出せるとしたら短期決戦、剣の速度でも可能性は十分にある。相手を疲れさせて、反撃もない優勢勝ちが理想だ。
決闘開始の合図とともに、俊敏なレオポルドが剣を振り下ろした。
しかしその一発が決定打になることはない。次から次へと技を決めなければ、非力な側がしだいに押されてしまう。ここは攻め時だ。
左から右への軽やかなタメと振り。10歳とは思えない鮮やかな技巧で、敵に隙を見せない。力こそないが確実に技をいれていく。
「すごい……」
ルイはレオポルドの練習を何回か見たことはあったが、試合当日までにこれほど仕上げてくると思わなかった。素早い連撃と、伸び伸びとした間合いの取り方。
少年の動きについていけない相手は、横に縦にぶんぶん剣を振り回していく。目算どおりの疲れが見えてきた。レオポルドにはまだ心の余裕がある。油断さえなければきっと勝てる。ルイは確信した。
「ここだ」とレオポルドが踏みこんだ瞬間のことである。少年の重心がぐらりと右に傾いた。
重たい鎧に引っ張られて、彼の体は意図しない方向へ。そして剣の切っ先は相手を避けるかのように空を突いていった。
ゴッと鈍い音がして、小さな体がわずかに宙に浮いた。そのままレオポルドは床にうつ伏せとなって倒れ込む。勝敗は誰の目にも明らかであった。
ルイは自失を極め、衝撃ではじめ身体が動かなかった。倒れた彼のもとへと行こうとしても、カタカタと膝が震えた。
一回戦目から負けたとか、油断を誘われていたとか。そういう試合に関することは何も思考できなかった。単純に、レオポルドの安否が心配で声が出せなかった。
「れ……レオポルド!!」
叫んだのはルイではなく、第二王子のロイドであった。王族が一撃で倒されたこと。優勢であったのにもったいないという観衆の声が肥大化していく。雑音が強まる。ルイは周りへの苛立ちを抑えながら少年に遅れながらも近寄っていった。
「レオポルド様……!?しっかり、大丈夫ですか?」
「う……うん」
むくりと起き上がった額からは鮮血が垂れていた。地面とぶつけた時にできた傷だろう。ゆっくりと少年を横抱きにして、強打された箇所も見てみる。痛みこそあれ、重たい怪我にはつながっていないようだった。
「血の量がひどい……。止血をしなくては、レオポルド様。このまま王宮へ戻りますからね?」
「うん……わかったよ」
いつもよりさらに従順なレオポルドを、侍女の助けを借りながら宮に戻していく。ロイド王子と彼らの従者からはいらないお礼を受け取っておいた。お辞儀をするくらいなら負傷者を労わってやれとルイは突っ込みたかったが今はそんな暇はない。
健闘した少年を懐に抱いて、彼に付き添ってやらなければいけないのだから。
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