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アリスティア、魔法について考える

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気付いたら、自室のベッドで寝かされていた。
どうやら誰かが運んでくれたらしい。
そう「誰か」といえる選択肢ができるだけ、人が増えたのだ。
最近国が活気づいてきて給金が払える目途がでてきたのと、私があれこれ思いつくせいで人手が足りなかったため、一気に増員したのだ。

「まったくもう。いきなりあんなに無茶するなんてびっくりするじゃないか~。」

あ、ジュピさんちょっぴりご立腹の様子。

「だって種がいっぺんに光りだしたから、つい…」

「まぁきっちり説明しなかった僕も悪かったけどね~。でも、これ騒ぎになるんじゃないかな~」

「え?」

ノックの音共に扉が開く。
私付きの侍女ジゼルがジェスを伴って入室してきた。

「姫様、お目覚めだったんですね!今医者を手配してきたところでしたが痛むところはないですか?お庭で倒れられていたところを品種改良実験していたジェスさんが見つけて運んでくださったんです!」

「ありがとう、大丈夫よ。医者も特に必要ないわ。」

「だめですよ!急に倒れたならちゃんと見ていただかないと!」

「…姫様、あの花畑は………!!!!そちらにいらっしゃるのは、もしや…」

あれ?もしかしてジュピ、ジェスに見えてる?

「ああ、君がアリスの手足として働いていた子だね~。ご苦労ご苦労。」

ジェスが口とあんぐりとした後、慌てて跪いた。

「ありがたき幸せ。」

「あ、そこまで硬くならなくて大丈夫だよ~。アリスと契約してジュピ、という名前をもらったから、周囲にはいいように知らせておいてもらえる?」

「なんと!契約ですか。かしこまりました、仰せのままに。それでは急ぐことなので失礼いたします。」

「あ、ジェスさん!」

ジゼルに呼ばれても何のその。
ジェスは慌てて走り去っていった。
え?どゆこと?

「今の世界だと、精霊ってほとんど目撃例無いんだよね~。人間と契約を交わすことで精霊側が姿を見せようと思った時、もしくはその属性の素養が高い人間には見えるようになるんだよ~。というわけで、これで君が木の精霊持ちっていうのは一気に広まると思うよ~」

「え、それって大丈夫なの?」

「姫様、どうしたんですか?もしや頭を打って幻影が見えてるとか…でもジェスさんも…」

ジゼルにはジュピが見えていないようで困惑している。

「えっと、実はここに精霊様が居るのよね。というわけで、ちょっと精霊様とお話ししたいから席を外してもらっていいかしら。」

「え、姫様はまだ魔宝珠を賜られてないですよね?」

「うーん、ちょっと事情があって。ほら、使徒でしょ?」

「!!!そうでしたね、かしこまりました!部屋の前に控えていますので、終わりましたら教えてくださいませ!」

ジゼルも慌てて退室していく。
さて、今後について相談しなければ。
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