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高らかに金管のファンファーレが鳴り響き、新入生たちはその場に跪き首を垂れる。
すんなりと周りを真似できたのは、セシリアの身体に染み付いた動作だったからなのだろうか。

「顔を上げよ。」

聞こえた指示に合わせて声がした方を見上げると、既に厳めしい壮年の陛下が新入生たちを見回していた。
現在の皇帝陛下は光の神であるウッコに連なる陛下のようで金色の髪、金色の眼、衣装は黄や金で飾り立てられたものとなっている。
皇后陛下は美しいレモンイエローのドレスだ。

…ん?
あれ、例の唯一『不可思議な幻想曲ファンタジア』をクリアして卒業した通称「へーか」の見た目と似てる…?
でもへーかが卒業した時は私のアバもある程度いい年齢になって領地経営とかしてたはずだし…
他人の空似?
でもへーかがクリアする前は青のアハティのNPCがやってたはず…
あ、今眼が合った。

「諸君が健やかな学生生活を送れるよう、心から祈っているよ。」

あれ?もう終わり?
色々悩んでるうちにそこそこ時間がたっていたようだ。
ぼんやりしていると、後ろからアーネにつつかれる。
周りを見回すと優雅にお辞儀していたので、慌ててそれに倣った。

「セシル様、やはり私がついていないとダメですわね!」

ふふん、とアーネが小声で得意げに声をかけてくる。
まぁ、助けてくれて困ることはないから、この関係が続いてくれると良いなぁ。
ちなみに、アーネには伝えてあるらしいが、母には可能な範囲でエイドーロンであることは隠しておくように言われている。

それから、各先生、とはいってもすごい人数がいるので教科の主任と主要な面々だけが場開されて、このあとの流れなどが説明された。
…私は考察の海に沈んでいたため、何となく聞き飛ばしていたが、きっとアーネが聞いているから大丈夫だろう。

「さ、セシル様行きますわよ!」

「行くってどこに?」

「まったく、聞いてらっしゃらなかったのですか?先生が国ごとに分かれるようにおっしゃっていたではありませんか!」

「あー、悪い、考え事してた。」

「どうせトレーニングのことでしょう?あんまりトレーニングばかりしているとムキムキになってしまいますわよ!」

…母は本当にアーネに私がエイドーロンになったって伝えたんだろうか。
っていうかセシリアってそんなに筋トレばっかりしてたの?
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