へたくそ

MO

文字の大きさ
86 / 102

第86話 きっと

しおりを挟む
「よし!最後、しっかり締めていくぞ!」
「おうっ!」
松島くんの掛け声とともにベンチからナインが飛び出していく。
9回裏の守備だ。
9回表の攻撃は9番の鈴木くん、1番の僕、2番の高橋くんと三者凡退で終わっていた。

ライトのポジションへ向かいながら、僕はようやく状況が掴めてきた。
僕はライトへのハーフライナーをギリギリのところでキャッチし、
タッチアップした3塁ランナーをホームベースでアウトにした。
1アウト1、3塁のピンチを僕のワンプレーで凌いだんだ。

ベンチでは僕のプレーをみんなが称賛してくれて、
みんなが盛り上がってくれていた。
打席ではあっさり三振をしてしまったけど、
その盛り上がりは収まることなく、今、9回裏の守備についている。

とにかく、僕はついに練習の成果を試合で発揮できたのだ。
ようやくチームに貢献することができたのだ。
はっきりと覚えてもいないのに、そう言って良いのかはわからないけど。

何よりもみんなが喜んでくれているのが嬉しかった。
松島くん、高坂くん、大村くん、池崎くん、町村さん、チームのみんなが。
そして、きっと上山くんも。

大村くんは最後の力を振り絞り、1段ギアが上がったように見えた。
まず6番バッター三振に切って取り、続く7番バッターをセカンドゴロ。
そして迎えた最後の8番バッターを再び三振に切って取り、ゲームセット。
僕たち陵成高校野球部は、秋の大会初戦に勝利したのだ。

「あっした!」
ホームベース前での挨拶を済ませ、スタンドへの挨拶に向かった。
スタンドには金子くんが不貞腐れた様子で座っており、
金子くんの連れたちは妙に盛り上がっていて、拍手をしてくれていた。
僕は上山くんの姿を探したが、上山くんの姿はもうスタンドにはなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

秘密のキス

廣瀬純七
青春
キスで体が入れ替わる高校生の男女の話

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

処理中です...