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第2章『ラクテリア王国進展編』
第9話『ファミリーレストラン・ビジョン開店⑨1ケ月後』
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ククリュエルが加わり1ヶ月の時が過ぎた。
あと2月で食堂は開店する。
この1ケ月は、女性陣はローテーションを組んで毎日を過ごした。
さすがに、冒険者レベルは10にまで達することは出なかったが。
それでも町のチンピラレベルなら圧倒するくらいの実力はある。
特に人族以外は身体能力の上がり方も半端ないので冒険者でも食っていけるようになるだろう。
まあ、無理強いはさせないが……。
その代わりというのも変だが、人族は器用さではピカ一だった。
特に服作りや、調味料作りや酒造りなどでその実力を発揮した。
他の種族が1時間平均30本くらいの物を100本は余裕で作り上げた。
得手不得手は個人にもあるのですべてとは言わないが、食堂でのキッチン周りに入るシェフやパティシエはほぼ固まったと言える。
ウエイトレスとしては残りのみんなでローテーションを組む感じだ。
俺は、オーナーとして全体を回す。
と思っていたのだが、そうはいかなくなった。
その理由をこれから語ろう。
陶器店のブライム夫妻について……。
とりあえず、店に関しては中央通りと縦にいくつかある大通りの繋がる角の閉鎖された店を買い、陶器の販売店とお茶処に改築。ここの陶器の良さを知ってもらうため和菓子とお茶が楽しめるようにしてみた。
まあ、パティシエ修行の一環という感じにうちから人材を派遣。
しかし、お茶淹れはブライム夫人が1番旨いのでお任せしている。
茶菓子にはやはり『串団子』と『汁粉』だろうという俺の偏見で、『みたらし味』に『餡子味』を用意。汁粉は『お餅入りぜんざい』にした。
そこにちょっと渋めのお茶。この取り合わせが良いだよな。
店は、1週間ほどで人気店になった。
始めこそはお茶処にばかり人気があったが、やはり陶器の魅力に魅入られる者も出てきて、陶器店にもお客が増えるようになった。
工房は俺の世界に作った。まあ、出入り口は陶器店の一角の扉に繋げた。入れるのは俺が許可した人のみなのは言うまでもない。
陶器作りは環境も良くないとと山間に作り、炭焼き窯を4基に登り窯を6基作った。
どうやら俺の世界の粘土層は陶器に良いらしく、オヤジさんは陶器作りに夢中だ。女性陣の中からも数人弟子入りした。
今では『急須』や『湯呑茶碗』は弟子に任せて、オヤジさんは俺の注文の品を大量に作っている。
マージ商会は近々店の移転を考えている。
その理由は俺が卸した『ジャム』だ。
え?ジャムですか?と思うなかれ。
この世界では主食はジャパラ(お米)ではなくパン。しかもフランスパンより硬いパンが主食。
なので通常はパンとスープが朝食のスタイルになる。
そこでこのジャムだ。普通なら貴族にしか行き渡らない代物を一般の家庭にもと考えたわけだ。
一応住み分け的に高級ジャムと庶民向けジャムとを作る。これで貴族から文句は言われまい。
ただし、このジャムの原料は俺の世界の果実を使っているので普通には食べられない味だ。
つまり、マージ商会でしか買うことができない。
始めこそは庶民には敬遠されていたが、一部の貴族の中にジャム好きがいて大量買い。
それが噂に噂を呼んで今ではお店の顔的な商品になった。
つまりこれで移転すれば『ジャム富豪』と呼ばれるじゃないか?
あと、秘かにブームになっているのが『お酒』だ。ただしこれに関しては数量を限定したため滅多に買えない。
なんでかと言うと、商会ギルドに止められたからだ。
つまり、商会ギルドを卸し仲介所にしてほしいとのこと。ギルマスのホムラは酒に目がなかった。
これにより、うちでのジャム産業も大きく動くことになり、女性陣から数名がジャム専属職人になった。
今では暇さえあれば新たなジャムを研究しているほどだ。
それに伴い『お酒造り』にも目覚めた一部の女性陣、特にドワーフ族を中心にした『お酒愛好会』による酒造り班は俺の知識を元に何種類もの酒造りに没頭している。
すでに、個人で商店が開けるほどの量を作っている。明確な量が分からないのはお酒はすべて地下の酒蔵に寝かせているからだ。
どの食品関係にも言えることだが、付与魔法で『腐食防止』を思いついたのは大きい。この『腐食防止』を容器に付与しておけば中身が腐ることはないからだ。
こうなると、逆に『発酵食品班』も出来た。これはエルフを中心に『チーズ』に『バター』に『ヨーグルト』を中心に鰹節(モドキ)や醤油や味噌も作ってくれている。
今では納豆にも挑戦中だ。俺は納豆肯定派だ。
マージ商会が移転した時の目玉商品として、今から準備を着々と進めている。
そうなると、家畜の世話も『発酵食品班』が請け負う形になる。
果樹園はジャム専属職人たちに任せている。
さらに狼、虎、狐の獣人族は狩りに目覚め冒険者志望となり、ククリュエルを師と仰ぎ行動を共にしている。
鹿と羊の獣人たちや巨人族や翼人族、人族は興味のあった場所に分かれていった。
今の問題は人手不足だ。
それぞれに働き場所を見つけ始めた女性たちのバイタリティーには感服するが、このままではメインになるはずだった食堂で働くスタッフの数に不安が……。
料理人にパティシエ組からホールに回すわけにもいかない。
できれば農地拡大、家畜場拡大もしたいが現状では無理だ。
人手不足は一時置いておくとして、大きな問題が起きた。
最近、女性たちの視線が怖い。
アレは『獲物』を見る目だ。
つまり、俺に対して異性としてみているのだ。
正直、悪い気はしないが人数が人数だ。
確かにこの世界は一夫多妻ではあるが、それにしたって50人以上を相手にはねぇ……。
秘かにアルテナ様に相談したら、「神見習いですから大丈夫」と謎の答えが……。
いやいや、全員相手できるからってことじゃなくてですね……。
……アレ?相手にできるなら問題無い?
おかしい。
何かが間違っているような……。
いや、確かに養っていけるんですけどね。
ドラさんに相談してみた。
「好きなら繁殖しなさい」
……え?それだけ?
相談相手を間違えたようだ。
「アタシに聞くな。何ならアタシも貰ってくれ」
ククリュエルに相談したら逆に迫られた。
「俺にその手の相談しても答えてやれんぞ。そうだな……ちゃんと平等に愛してやれ」
親父さん、役立たず。
「私も貰ってくださいますか?」
「え?」
女将さん。ダメです。
それ言っちゃダメです。
……考えさせてください。
そうこうしているうちに、ある日の夜。就寝時間にマリルが訪れた。
「どうした?」
「あ、あの……」
モジモジしているマリル。
「抱いてください」
「え?いや、前にも言ったが……」
「義務なんかではありません!1人の女としてスバル様に抱かれたいんです」
「マリル……」
マリルの真剣な眼差し。
……俺だって男だ。こんな可愛い仕草のマリルを見て我慢なんてできないんだぞ。
「マリル。おいで……」
「はい」
その夜はハッスルしました。
……次の日の朝。女性陣全員の視線が完全に『ターゲットを補足する獣』になりました。
大丈夫。俺ならできる。
……できると信じよう。
「あ、ああああの……そのののの中に、私たちも入れ……入れてもらえるのでしょうか?」
「末永くお願いします」
ヘヴンとベレニーも加わった。
「私を除け者にしないですよね?1人増えても大丈夫ですの」
ルノンも加わった。
◆◆◇◆◆◇◆◆
数日が経ったある日。
ホムラから緊急の呼び出し。
マリルにククリュエルと獣人たちを連れて訪れる。
そこにいたのはいつもの余裕のあるホムラではなかった。
「悪いな。調査の結果が出た」
「調査?」
「ゴブリンの集落の件です」
「ああ……」
それは、あまりにも突然の話。
まさに激闘の予感をさせるものであった。
あと2月で食堂は開店する。
この1ケ月は、女性陣はローテーションを組んで毎日を過ごした。
さすがに、冒険者レベルは10にまで達することは出なかったが。
それでも町のチンピラレベルなら圧倒するくらいの実力はある。
特に人族以外は身体能力の上がり方も半端ないので冒険者でも食っていけるようになるだろう。
まあ、無理強いはさせないが……。
その代わりというのも変だが、人族は器用さではピカ一だった。
特に服作りや、調味料作りや酒造りなどでその実力を発揮した。
他の種族が1時間平均30本くらいの物を100本は余裕で作り上げた。
得手不得手は個人にもあるのですべてとは言わないが、食堂でのキッチン周りに入るシェフやパティシエはほぼ固まったと言える。
ウエイトレスとしては残りのみんなでローテーションを組む感じだ。
俺は、オーナーとして全体を回す。
と思っていたのだが、そうはいかなくなった。
その理由をこれから語ろう。
陶器店のブライム夫妻について……。
とりあえず、店に関しては中央通りと縦にいくつかある大通りの繋がる角の閉鎖された店を買い、陶器の販売店とお茶処に改築。ここの陶器の良さを知ってもらうため和菓子とお茶が楽しめるようにしてみた。
まあ、パティシエ修行の一環という感じにうちから人材を派遣。
しかし、お茶淹れはブライム夫人が1番旨いのでお任せしている。
茶菓子にはやはり『串団子』と『汁粉』だろうという俺の偏見で、『みたらし味』に『餡子味』を用意。汁粉は『お餅入りぜんざい』にした。
そこにちょっと渋めのお茶。この取り合わせが良いだよな。
店は、1週間ほどで人気店になった。
始めこそはお茶処にばかり人気があったが、やはり陶器の魅力に魅入られる者も出てきて、陶器店にもお客が増えるようになった。
工房は俺の世界に作った。まあ、出入り口は陶器店の一角の扉に繋げた。入れるのは俺が許可した人のみなのは言うまでもない。
陶器作りは環境も良くないとと山間に作り、炭焼き窯を4基に登り窯を6基作った。
どうやら俺の世界の粘土層は陶器に良いらしく、オヤジさんは陶器作りに夢中だ。女性陣の中からも数人弟子入りした。
今では『急須』や『湯呑茶碗』は弟子に任せて、オヤジさんは俺の注文の品を大量に作っている。
マージ商会は近々店の移転を考えている。
その理由は俺が卸した『ジャム』だ。
え?ジャムですか?と思うなかれ。
この世界では主食はジャパラ(お米)ではなくパン。しかもフランスパンより硬いパンが主食。
なので通常はパンとスープが朝食のスタイルになる。
そこでこのジャムだ。普通なら貴族にしか行き渡らない代物を一般の家庭にもと考えたわけだ。
一応住み分け的に高級ジャムと庶民向けジャムとを作る。これで貴族から文句は言われまい。
ただし、このジャムの原料は俺の世界の果実を使っているので普通には食べられない味だ。
つまり、マージ商会でしか買うことができない。
始めこそは庶民には敬遠されていたが、一部の貴族の中にジャム好きがいて大量買い。
それが噂に噂を呼んで今ではお店の顔的な商品になった。
つまりこれで移転すれば『ジャム富豪』と呼ばれるじゃないか?
あと、秘かにブームになっているのが『お酒』だ。ただしこれに関しては数量を限定したため滅多に買えない。
なんでかと言うと、商会ギルドに止められたからだ。
つまり、商会ギルドを卸し仲介所にしてほしいとのこと。ギルマスのホムラは酒に目がなかった。
これにより、うちでのジャム産業も大きく動くことになり、女性陣から数名がジャム専属職人になった。
今では暇さえあれば新たなジャムを研究しているほどだ。
それに伴い『お酒造り』にも目覚めた一部の女性陣、特にドワーフ族を中心にした『お酒愛好会』による酒造り班は俺の知識を元に何種類もの酒造りに没頭している。
すでに、個人で商店が開けるほどの量を作っている。明確な量が分からないのはお酒はすべて地下の酒蔵に寝かせているからだ。
どの食品関係にも言えることだが、付与魔法で『腐食防止』を思いついたのは大きい。この『腐食防止』を容器に付与しておけば中身が腐ることはないからだ。
こうなると、逆に『発酵食品班』も出来た。これはエルフを中心に『チーズ』に『バター』に『ヨーグルト』を中心に鰹節(モドキ)や醤油や味噌も作ってくれている。
今では納豆にも挑戦中だ。俺は納豆肯定派だ。
マージ商会が移転した時の目玉商品として、今から準備を着々と進めている。
そうなると、家畜の世話も『発酵食品班』が請け負う形になる。
果樹園はジャム専属職人たちに任せている。
さらに狼、虎、狐の獣人族は狩りに目覚め冒険者志望となり、ククリュエルを師と仰ぎ行動を共にしている。
鹿と羊の獣人たちや巨人族や翼人族、人族は興味のあった場所に分かれていった。
今の問題は人手不足だ。
それぞれに働き場所を見つけ始めた女性たちのバイタリティーには感服するが、このままではメインになるはずだった食堂で働くスタッフの数に不安が……。
料理人にパティシエ組からホールに回すわけにもいかない。
できれば農地拡大、家畜場拡大もしたいが現状では無理だ。
人手不足は一時置いておくとして、大きな問題が起きた。
最近、女性たちの視線が怖い。
アレは『獲物』を見る目だ。
つまり、俺に対して異性としてみているのだ。
正直、悪い気はしないが人数が人数だ。
確かにこの世界は一夫多妻ではあるが、それにしたって50人以上を相手にはねぇ……。
秘かにアルテナ様に相談したら、「神見習いですから大丈夫」と謎の答えが……。
いやいや、全員相手できるからってことじゃなくてですね……。
……アレ?相手にできるなら問題無い?
おかしい。
何かが間違っているような……。
いや、確かに養っていけるんですけどね。
ドラさんに相談してみた。
「好きなら繁殖しなさい」
……え?それだけ?
相談相手を間違えたようだ。
「アタシに聞くな。何ならアタシも貰ってくれ」
ククリュエルに相談したら逆に迫られた。
「俺にその手の相談しても答えてやれんぞ。そうだな……ちゃんと平等に愛してやれ」
親父さん、役立たず。
「私も貰ってくださいますか?」
「え?」
女将さん。ダメです。
それ言っちゃダメです。
……考えさせてください。
そうこうしているうちに、ある日の夜。就寝時間にマリルが訪れた。
「どうした?」
「あ、あの……」
モジモジしているマリル。
「抱いてください」
「え?いや、前にも言ったが……」
「義務なんかではありません!1人の女としてスバル様に抱かれたいんです」
「マリル……」
マリルの真剣な眼差し。
……俺だって男だ。こんな可愛い仕草のマリルを見て我慢なんてできないんだぞ。
「マリル。おいで……」
「はい」
その夜はハッスルしました。
……次の日の朝。女性陣全員の視線が完全に『ターゲットを補足する獣』になりました。
大丈夫。俺ならできる。
……できると信じよう。
「あ、ああああの……そのののの中に、私たちも入れ……入れてもらえるのでしょうか?」
「末永くお願いします」
ヘヴンとベレニーも加わった。
「私を除け者にしないですよね?1人増えても大丈夫ですの」
ルノンも加わった。
◆◆◇◆◆◇◆◆
数日が経ったある日。
ホムラから緊急の呼び出し。
マリルにククリュエルと獣人たちを連れて訪れる。
そこにいたのはいつもの余裕のあるホムラではなかった。
「悪いな。調査の結果が出た」
「調査?」
「ゴブリンの集落の件です」
「ああ……」
それは、あまりにも突然の話。
まさに激闘の予感をさせるものであった。
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