僕がママに会えるまで

かおり

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空から見ている

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僕がいるところは、たぶん天国で、たくさんの光がふわふわ浮いています。

人の形や、まだ全然、形になっていないへんてこな形のふわふわもあります。

大人の人はみたことがないけれど、少し大きなお兄さんたちもいます。

僕たちのお世話をしてくれているのは、何年生きているのかもわからない

双子のおねえさんで名前はローズさんとフラワーさん。

僕たちは優しい光に包まれて、時間の流れもわからない穏やかな空間で

守られています。

どこに行っても自由だけれど、地上にはいけないよ。何度も何度も試してみた

けれど、雲に覆われたところに降りようとすると、ローズがきてこう言うんだ。

「この下にはね、それはそれは大きな口と牙をもった怪物がいてね、

落ちてくる僕らを待ち受けて飲み込んでしまうのよ」って。


本当かなって僕は思っているけど、みんなはその話を信じていて誰もここには

近づかないんだ。だからここは僕だけの場所。

ずっとずっと気が遠くなるほど、眺めていたら、ある時、ほんの一瞬だけ

雲が晴れて、ママが見えたんだ。それからずっとまたママが見える日を

ここに座って待っているんだ。僕は、絶対、絶対ママに逢いに行くよ。



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