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「誰かのために戦ったんだろ。それならそれはお前だけの勲章だ。強さ弱さは関係ない。誇れよ。」
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今回はウルちゃんでお馴染みの潤川(ウルウガワ)のお話。
簡単に自己紹介をさせてもらいます。
私は潤川(ウルウガワ)、好きな血液は血液型O型の血です。
宝物は宵闇に響く鎮魂歌(ナイトレクイエム)の皆。
今日話すのは私が宵闇に響く鎮魂歌(ナイトレクイエム)にどうしてメンバーに入ることに決めたのか、その経緯を話すわ。
今でこそ私は、宵闇に響く鎮魂歌(ナイトレクイエム)のまとめ役として皆をまとめて.....あれでまとめられているというのだろうか....?
と、とりあえず!
まとめているけれど、以前の私は一言で表すなら弱かった。
ただ無力で自分の弱さを嫌っていた。
力も心も____。
私は幼い頃から奥乃(オウナイ)と一緒で奥乃(オウナイ)以外の人達と一緒にいた事おろか、話したことさえなかった。
身体も弱く瞳の色も吸血鬼の中では下級に位置する紫。
弱かった私を奥乃(オウナイ)はいつも守り、支えていてくれたんだと思う。
人を傷つける罪悪感から人を襲う事ができず、お腹を空かす毎日に周囲の吸血鬼は近づく所か離れる一方だった。
当たり前だ。
吸血鬼の癖に、人を襲い血を吸わなければ生きていけない癖に都合よく人を傷つける事が怖いと言う。
自分勝手だと思う。
そんな私に奥乃(オウナイ)だけは私から離れずに、ずっと優しかった。
「傷つけるのが怖いなら、代わりは僕がやる。空腹は敵だよ。」
そう言って血を私に差し出しながら微笑んでくれた。
感謝の言葉もろくに言えず、私は涙を流しながら夢中になって血を飲んだ。
都合が良いと思われるのは承知の上だった。
人間でいう人の金で飯を食う。
これと同じことをしているのだから。
今の私が思うに、これは私の初恋だったんだと思う。
優しく、どうしようもないくらい暖かく私を守ってくれていた。
幼い私はそんな彼に惹かれていたんだと思う。
月日は流れ、宵闇に響く鎮魂歌(ナイトレクイエム)を立ちあげる1年前になる。
その頃には私はある程度強くなっていたと思う....。
幼い頃に比べれば....。
1人で外に出れるようになり、能力も発現した。
私の心の中にあった奥乃(オウナイ)への恋心はすっかりなくなっていた。
ずっと一緒にいるんだ、距離が近すぎて恋愛対象には入らないって言うのはこういう事を言うんだろう。
誰もが寝静まった静かな夜。
無性に外に出て散歩がしたくなるほど月が綺麗な夜だった。
奥乃(オウナイ)は誘ってみたけれど別の用事があると言ってどこかへ行ってしまったので1人で散歩に出かけた。
今では宵闇に響く鎮魂歌(ナイトレクイエム)のいつもの集合場所となっている公園の近くを歩いていると、突然女性の悲鳴が聞こえた。
強い血の香りがする。
いる。
吸血鬼だ。
女性を襲っているのだろう。
守ってくれる奥乃(オウナイ)はいない。
それでも私は見て見ぬふりは出来なかった。
瞳の色が紫に変わり、公園に向けて走り出した。
「いやっ!誰かっ!!痛いっ!!!」
「大人しくしろよ....!!潰すぞ!?」
どこまでも乱暴に、暴力的に女性を黙らせ連れていこうとする男吸血鬼。
ガタガタと足は震え、歯も噛み合わない。
それでも______私はっ!!!
「__にを....っ!やってるんですか......っ!!」
「あぁ!?」
一瞬ビクついた顔を見せ振り返って来たが、私の瞳の色を見て、表情に余裕が戻った。
男吸血鬼の目の色は蒼____。
序列的には天と地ほど離れている。
それでも言ってやらねばならないと感じた。
どこからとは説明出来ない怒りが心の底からこみ上げてくる。
「何をやってるんですかとっ!言っているんですっ!!」
「見ての通りだ。何?おこぼれでももらいに来たのか、お雑魚ちゃんよ?」
「そんな訳ないだろっ!!!」
私は能力を展開。
私が出せる限りの全力を注ぎ込んで風をピンポイントで相手にぶつけた。
けれど____。
「終わり?」
無傷だった。
いや、正確には顔に少し切り傷が出来ただけ。
吸血鬼の再生能力であれば30秒もあれば再生される。
「そんな....。」
蒼の瞳を持つ吸血鬼の方が正しいと理解している。
おかしいのは私の方。
吸血鬼は人を襲ってなんぼの生き物。
人々から疎まれ、罵られる存在。
わかっている。
わかっていた。
それでも、私は動いてしまったんだ。
もう後には退けない。
「うわぁぁぁぁぁっ!!」
女性は気を失い、倒れている。
女性へ風を送り、精一杯の力で遠くへと飛ばし安全に下ろす。
「てっ、テメェッ!!!!やってくれたなぁっ!!!もう、容赦しねぇ!ぶっ殺す!!」
これでいい。
私もこれで少しは恩を返せたかな。
ごめんね、奥乃(オウナイ)。
全力で能力を発動し続けたので、力を使い切り満身創痍の身体では逃げる事も出来ないと判断し死を受け入れる。
女性は民家の中の家の敷地内に下ろしたので蒼吸血鬼は追いかけられない。
ざまあみろ。
やってやったぞ、私!
「死ねぇっ!!!」
「気に入ったぜ、アンタ。後は俺に任せてくれ。」
この時、私と蒼吸血鬼に彗星の如く割って入ってきたのは紅い瞳を持った吸血鬼____。
そう、夜野(ヨルノ)だったのだ。
「大丈夫そうか?立てるならちょっと下がってな。コイツは俺が片付ける。」
「片付けるぅ?紅目が何言ってんだぁ!!?蒼の俺に嫉妬するしかねぇ紅い瞳の兄ちゃんよぉっ!!」
強さは同格。
しかし序列的には蒼が上というシステムから、蒼は紅を見下し、紅は蒼に対して尋常ではない対抗心を燃やす。
それが吸血鬼内での紅と蒼の立ち位置だった。
けれど紅の私と同じ年ぐらいの少年は、そうには見えなかった。
ただ、冷静な目つきでで蒼目を睨みつけるだけだった。
「悪いな。お前の軽口に付き合ってられる程俺は暇じゃないんでね。一瞬で決着(カタ)を付けさせてもらう。」
「言うねぇっ!!やれるもんならやっ_____」
ドゴッ!!
鈍い音が私の耳に届いたが、私は状況を理解するのに数秒かかった。
安い挑発をしている蒼吸血鬼に対し、とてつもない速度で接近し顎に正拳突きをくらわせた........のだろう。
パチンと指を鳴らすと蒼吸血鬼の足元から炎が舞い上がり導火線のごとく全身を焼き尽くそうと徐々に炎は上半身を覆おうとしている。
「ひぃっ!!!?なんで、紅のお前如きが.....っ!蒼の、俺にぃっ!!!」
「はぁ....。赤じゃねぇ。燃え尽きる前に目ん玉かっぽじってよく見ておけよ。」
ため息を吐きながら、髪の毛で隠れている片方の目を出す。
そこから現れたのは金色の瞳が神々しく輝いていた。
あまりの驚愕と自身が燃えているという恐怖に蒼吸血鬼は口を大きく開け、気を失っていた。
「ちっ!易々と見せるもんじゃねぇな。こんなの。胸糞悪ぃ。大丈夫だったか?」
一部の吸血鬼の間で噂されていた、あのオッドアイが本当に存在したとは........。
失礼と分かりながらも顔をまじまじと見てしまう。
きっと今、私の顔はポカーンとあほ面しているんだと思う。
「お、おい。だ、大丈夫か!?どっか怪我したか!?」
首を横に振るのが精一杯だった。
私は今になって自分が死にそうになったことを思い出し恐怖がこみ上げてきて、涙を流してしまった。
一度流れ出した涙は留まることを知らなかった。
そんな姿を見て、夜野(ヨルノ)は私をそっと抱き寄せ背中をさすってくれた。
「よく頑張ったな。間に合って本当に良かった。」
「巻き込んで.....ひっく、ごめん、なさいっ....私、弱くて....っく。」
「誰かのために戦ったんだろ。それならそれはお前だけの勲章だ。強さ弱さは関係ない。誇れよ。」
そう言って彼は私が泣き止むまでそばにい続けてくれて、家まで送ってもらった。
その日、彼の強さが私の隠れた目標になった____。
そしてその半年後。
つまり、結成半年前とも言える。
奥乃(オウナイ)が部屋に友人を呼ぶから一緒に来てみては、と誘いが入り、何故か含み笑いと共にこの言葉を残していった。
「きっと気に入ると思うよ。」
ニヤリ。
そんな事を言われてしまっては気になってしまう。
せめて顔だけでも、と奥乃(オウナイ)の部屋に少しお邪魔して、顔を見たら帰ろうと思いお邪魔する。
ドアのチャイムが鳴り奥乃(オウナイ)が出て、友人を向かい入れる。
どんな奴なんだろう、とボーッとしていた。
奥乃(オウナイ)の言葉で少し興味が湧いただけ。
ただそれだけだったのだ。
入ってきたのは紅い瞳を持ち片目を髪の毛で隠している吸血鬼........。
奥乃(オウナイ)はあの事を知っていたの!!?
あの時言われた言葉と胸に顔をうずめてワンワン泣き続けたことを思い出し、顔が私の顔はゆでダコのように真っ赤になるのを感じる。
二つの羞恥が交互に襲って来て顔が熱い。
一つは夜野(ヨルノ)と再会したこと。
二つ目は奥乃(オウナイ)が私の半年前の出来事を知っていた、という事に対しての羞恥だ。
「久しぶり。元気だった?」
「あ....え、えぇぇぇぇー!!?」
上手く舌が回らないのでとりあえず誤魔化す。
(聞いてない聞いてない!!)
我ながら単純だなぁ、とは思う。
助けられて、優しくしてもらって、再会して。
ドキドキしまってる自分にツッコミをいれつつも、知っていながら私に黙って会わせた奥乃(オウナイ)を睨みつけるも、視線をずらし口笛を吹いて部屋の外に出ていった。
え、待ってよ!
じゃあいまこの空間、二人っきり........。
なんとなくきまずい空気が二人の間に流れ....。
何か喋らないと、と口を開いた時夜野(ヨルノ)もまた同じ事を考えたんだろう。
「あ、あの....!」
「えっと....!」
「「あっ、お先にどうぞ!!」」
(何やってるんだ私は.........。)
「ぷっ!あははははっ!!!」
堪えきれないという具合に夜野(ヨルノ)が吹き出した。
「なっ、何がおかしいんですかぁぁぁ!!?私割りと本気で泣きそうですよ!!?」
涙目になりながら私は声を上げる。
「いや、悪いな。奥乃(オウナイ)から聞いてた通りだな、と思ってね。慣れるまで時間はかかるかもしれないけど、俺とも仲良くしてくれると嬉しい。」
「は、はいっ!!それは是非お願いします!」
「じゃ、そろそろ俺は行くね。元々ちょっと他に用事があって、こっちにお邪魔させてもらったんだ。今日は挨拶代わりだ。じゃ、またな!」
「はっ、はいっ!!それでは!」
玄関まで出ていきお見送りをする。
大きな驚きと大きな喜びが同時に来て、今自分がどんな顔をしているのか想像できない。
たとえ出来たとしてもきっとヒドイ顔をしているから出来なくていい。
そんな馬鹿なことを考えている時、おもむろに夜野(ヨルノ)が振り返って私の顔を見てイタズラっぽく微笑んできた。
「あ、そうだ。俺の左目の事、秘密にしてくれよな。まだお前にしか見せてねぇんだ。出来るだけ隠しておきたいんだ。」
「も、もちろん誰にも言わないよ。」
これが二人だけの秘密と考えるとドキドキした。
それからと言うもの、羽鳥(ハドリ)との出会いがあり、4人で毎日集まるようになった。
月日はあっという間に流れ、私はなし崩し的に4人のまとめ役になってしまっていた。
こんなふうに、私目線からすると宵闇に響く鎮魂歌(ナイトレクイエム)はこうして出来上がっていった。
そもそも私達は名乗りたくて宵闇に響く鎮魂歌(ナイトレクイエム)を名乗っている訳ではない。
最初は呼ばれるだけで虫唾が走る、と夜野(ヨルノ)はブチ切れていたものだ。
まとめるに、私がここにいる理由は大きく二つ。
ひとつ目は、守られていただけの私が今度は私が誰かを守る立場になりたかったから。
誰かさんのように。
ふたつ目の理由としては、胸の奥に静かに沈めている小さな恋。
まずは異性と見てもらう所から始めようと思う。
誰がどうみても、夜野(ヨルノ)は鈍感だから。
強くなりたいと願う。
願うだけじゃ、強さはきっと手にできない。
それを教えて貰えたから、私は今日も強くなろうとする。
色々疑問が残るかもしれないけど、あくまでこれは私目線のお話。
また別の子達の過去のお話もあるかもね。
それでは、いい夢を(グッドナイト)_______。
簡単に自己紹介をさせてもらいます。
私は潤川(ウルウガワ)、好きな血液は血液型O型の血です。
宝物は宵闇に響く鎮魂歌(ナイトレクイエム)の皆。
今日話すのは私が宵闇に響く鎮魂歌(ナイトレクイエム)にどうしてメンバーに入ることに決めたのか、その経緯を話すわ。
今でこそ私は、宵闇に響く鎮魂歌(ナイトレクイエム)のまとめ役として皆をまとめて.....あれでまとめられているというのだろうか....?
と、とりあえず!
まとめているけれど、以前の私は一言で表すなら弱かった。
ただ無力で自分の弱さを嫌っていた。
力も心も____。
私は幼い頃から奥乃(オウナイ)と一緒で奥乃(オウナイ)以外の人達と一緒にいた事おろか、話したことさえなかった。
身体も弱く瞳の色も吸血鬼の中では下級に位置する紫。
弱かった私を奥乃(オウナイ)はいつも守り、支えていてくれたんだと思う。
人を傷つける罪悪感から人を襲う事ができず、お腹を空かす毎日に周囲の吸血鬼は近づく所か離れる一方だった。
当たり前だ。
吸血鬼の癖に、人を襲い血を吸わなければ生きていけない癖に都合よく人を傷つける事が怖いと言う。
自分勝手だと思う。
そんな私に奥乃(オウナイ)だけは私から離れずに、ずっと優しかった。
「傷つけるのが怖いなら、代わりは僕がやる。空腹は敵だよ。」
そう言って血を私に差し出しながら微笑んでくれた。
感謝の言葉もろくに言えず、私は涙を流しながら夢中になって血を飲んだ。
都合が良いと思われるのは承知の上だった。
人間でいう人の金で飯を食う。
これと同じことをしているのだから。
今の私が思うに、これは私の初恋だったんだと思う。
優しく、どうしようもないくらい暖かく私を守ってくれていた。
幼い私はそんな彼に惹かれていたんだと思う。
月日は流れ、宵闇に響く鎮魂歌(ナイトレクイエム)を立ちあげる1年前になる。
その頃には私はある程度強くなっていたと思う....。
幼い頃に比べれば....。
1人で外に出れるようになり、能力も発現した。
私の心の中にあった奥乃(オウナイ)への恋心はすっかりなくなっていた。
ずっと一緒にいるんだ、距離が近すぎて恋愛対象には入らないって言うのはこういう事を言うんだろう。
誰もが寝静まった静かな夜。
無性に外に出て散歩がしたくなるほど月が綺麗な夜だった。
奥乃(オウナイ)は誘ってみたけれど別の用事があると言ってどこかへ行ってしまったので1人で散歩に出かけた。
今では宵闇に響く鎮魂歌(ナイトレクイエム)のいつもの集合場所となっている公園の近くを歩いていると、突然女性の悲鳴が聞こえた。
強い血の香りがする。
いる。
吸血鬼だ。
女性を襲っているのだろう。
守ってくれる奥乃(オウナイ)はいない。
それでも私は見て見ぬふりは出来なかった。
瞳の色が紫に変わり、公園に向けて走り出した。
「いやっ!誰かっ!!痛いっ!!!」
「大人しくしろよ....!!潰すぞ!?」
どこまでも乱暴に、暴力的に女性を黙らせ連れていこうとする男吸血鬼。
ガタガタと足は震え、歯も噛み合わない。
それでも______私はっ!!!
「__にを....っ!やってるんですか......っ!!」
「あぁ!?」
一瞬ビクついた顔を見せ振り返って来たが、私の瞳の色を見て、表情に余裕が戻った。
男吸血鬼の目の色は蒼____。
序列的には天と地ほど離れている。
それでも言ってやらねばならないと感じた。
どこからとは説明出来ない怒りが心の底からこみ上げてくる。
「何をやってるんですかとっ!言っているんですっ!!」
「見ての通りだ。何?おこぼれでももらいに来たのか、お雑魚ちゃんよ?」
「そんな訳ないだろっ!!!」
私は能力を展開。
私が出せる限りの全力を注ぎ込んで風をピンポイントで相手にぶつけた。
けれど____。
「終わり?」
無傷だった。
いや、正確には顔に少し切り傷が出来ただけ。
吸血鬼の再生能力であれば30秒もあれば再生される。
「そんな....。」
蒼の瞳を持つ吸血鬼の方が正しいと理解している。
おかしいのは私の方。
吸血鬼は人を襲ってなんぼの生き物。
人々から疎まれ、罵られる存在。
わかっている。
わかっていた。
それでも、私は動いてしまったんだ。
もう後には退けない。
「うわぁぁぁぁぁっ!!」
女性は気を失い、倒れている。
女性へ風を送り、精一杯の力で遠くへと飛ばし安全に下ろす。
「てっ、テメェッ!!!!やってくれたなぁっ!!!もう、容赦しねぇ!ぶっ殺す!!」
これでいい。
私もこれで少しは恩を返せたかな。
ごめんね、奥乃(オウナイ)。
全力で能力を発動し続けたので、力を使い切り満身創痍の身体では逃げる事も出来ないと判断し死を受け入れる。
女性は民家の中の家の敷地内に下ろしたので蒼吸血鬼は追いかけられない。
ざまあみろ。
やってやったぞ、私!
「死ねぇっ!!!」
「気に入ったぜ、アンタ。後は俺に任せてくれ。」
この時、私と蒼吸血鬼に彗星の如く割って入ってきたのは紅い瞳を持った吸血鬼____。
そう、夜野(ヨルノ)だったのだ。
「大丈夫そうか?立てるならちょっと下がってな。コイツは俺が片付ける。」
「片付けるぅ?紅目が何言ってんだぁ!!?蒼の俺に嫉妬するしかねぇ紅い瞳の兄ちゃんよぉっ!!」
強さは同格。
しかし序列的には蒼が上というシステムから、蒼は紅を見下し、紅は蒼に対して尋常ではない対抗心を燃やす。
それが吸血鬼内での紅と蒼の立ち位置だった。
けれど紅の私と同じ年ぐらいの少年は、そうには見えなかった。
ただ、冷静な目つきでで蒼目を睨みつけるだけだった。
「悪いな。お前の軽口に付き合ってられる程俺は暇じゃないんでね。一瞬で決着(カタ)を付けさせてもらう。」
「言うねぇっ!!やれるもんならやっ_____」
ドゴッ!!
鈍い音が私の耳に届いたが、私は状況を理解するのに数秒かかった。
安い挑発をしている蒼吸血鬼に対し、とてつもない速度で接近し顎に正拳突きをくらわせた........のだろう。
パチンと指を鳴らすと蒼吸血鬼の足元から炎が舞い上がり導火線のごとく全身を焼き尽くそうと徐々に炎は上半身を覆おうとしている。
「ひぃっ!!!?なんで、紅のお前如きが.....っ!蒼の、俺にぃっ!!!」
「はぁ....。赤じゃねぇ。燃え尽きる前に目ん玉かっぽじってよく見ておけよ。」
ため息を吐きながら、髪の毛で隠れている片方の目を出す。
そこから現れたのは金色の瞳が神々しく輝いていた。
あまりの驚愕と自身が燃えているという恐怖に蒼吸血鬼は口を大きく開け、気を失っていた。
「ちっ!易々と見せるもんじゃねぇな。こんなの。胸糞悪ぃ。大丈夫だったか?」
一部の吸血鬼の間で噂されていた、あのオッドアイが本当に存在したとは........。
失礼と分かりながらも顔をまじまじと見てしまう。
きっと今、私の顔はポカーンとあほ面しているんだと思う。
「お、おい。だ、大丈夫か!?どっか怪我したか!?」
首を横に振るのが精一杯だった。
私は今になって自分が死にそうになったことを思い出し恐怖がこみ上げてきて、涙を流してしまった。
一度流れ出した涙は留まることを知らなかった。
そんな姿を見て、夜野(ヨルノ)は私をそっと抱き寄せ背中をさすってくれた。
「よく頑張ったな。間に合って本当に良かった。」
「巻き込んで.....ひっく、ごめん、なさいっ....私、弱くて....っく。」
「誰かのために戦ったんだろ。それならそれはお前だけの勲章だ。強さ弱さは関係ない。誇れよ。」
そう言って彼は私が泣き止むまでそばにい続けてくれて、家まで送ってもらった。
その日、彼の強さが私の隠れた目標になった____。
そしてその半年後。
つまり、結成半年前とも言える。
奥乃(オウナイ)が部屋に友人を呼ぶから一緒に来てみては、と誘いが入り、何故か含み笑いと共にこの言葉を残していった。
「きっと気に入ると思うよ。」
ニヤリ。
そんな事を言われてしまっては気になってしまう。
せめて顔だけでも、と奥乃(オウナイ)の部屋に少しお邪魔して、顔を見たら帰ろうと思いお邪魔する。
ドアのチャイムが鳴り奥乃(オウナイ)が出て、友人を向かい入れる。
どんな奴なんだろう、とボーッとしていた。
奥乃(オウナイ)の言葉で少し興味が湧いただけ。
ただそれだけだったのだ。
入ってきたのは紅い瞳を持ち片目を髪の毛で隠している吸血鬼........。
奥乃(オウナイ)はあの事を知っていたの!!?
あの時言われた言葉と胸に顔をうずめてワンワン泣き続けたことを思い出し、顔が私の顔はゆでダコのように真っ赤になるのを感じる。
二つの羞恥が交互に襲って来て顔が熱い。
一つは夜野(ヨルノ)と再会したこと。
二つ目は奥乃(オウナイ)が私の半年前の出来事を知っていた、という事に対しての羞恥だ。
「久しぶり。元気だった?」
「あ....え、えぇぇぇぇー!!?」
上手く舌が回らないのでとりあえず誤魔化す。
(聞いてない聞いてない!!)
我ながら単純だなぁ、とは思う。
助けられて、優しくしてもらって、再会して。
ドキドキしまってる自分にツッコミをいれつつも、知っていながら私に黙って会わせた奥乃(オウナイ)を睨みつけるも、視線をずらし口笛を吹いて部屋の外に出ていった。
え、待ってよ!
じゃあいまこの空間、二人っきり........。
なんとなくきまずい空気が二人の間に流れ....。
何か喋らないと、と口を開いた時夜野(ヨルノ)もまた同じ事を考えたんだろう。
「あ、あの....!」
「えっと....!」
「「あっ、お先にどうぞ!!」」
(何やってるんだ私は.........。)
「ぷっ!あははははっ!!!」
堪えきれないという具合に夜野(ヨルノ)が吹き出した。
「なっ、何がおかしいんですかぁぁぁ!!?私割りと本気で泣きそうですよ!!?」
涙目になりながら私は声を上げる。
「いや、悪いな。奥乃(オウナイ)から聞いてた通りだな、と思ってね。慣れるまで時間はかかるかもしれないけど、俺とも仲良くしてくれると嬉しい。」
「は、はいっ!!それは是非お願いします!」
「じゃ、そろそろ俺は行くね。元々ちょっと他に用事があって、こっちにお邪魔させてもらったんだ。今日は挨拶代わりだ。じゃ、またな!」
「はっ、はいっ!!それでは!」
玄関まで出ていきお見送りをする。
大きな驚きと大きな喜びが同時に来て、今自分がどんな顔をしているのか想像できない。
たとえ出来たとしてもきっとヒドイ顔をしているから出来なくていい。
そんな馬鹿なことを考えている時、おもむろに夜野(ヨルノ)が振り返って私の顔を見てイタズラっぽく微笑んできた。
「あ、そうだ。俺の左目の事、秘密にしてくれよな。まだお前にしか見せてねぇんだ。出来るだけ隠しておきたいんだ。」
「も、もちろん誰にも言わないよ。」
これが二人だけの秘密と考えるとドキドキした。
それからと言うもの、羽鳥(ハドリ)との出会いがあり、4人で毎日集まるようになった。
月日はあっという間に流れ、私はなし崩し的に4人のまとめ役になってしまっていた。
こんなふうに、私目線からすると宵闇に響く鎮魂歌(ナイトレクイエム)はこうして出来上がっていった。
そもそも私達は名乗りたくて宵闇に響く鎮魂歌(ナイトレクイエム)を名乗っている訳ではない。
最初は呼ばれるだけで虫唾が走る、と夜野(ヨルノ)はブチ切れていたものだ。
まとめるに、私がここにいる理由は大きく二つ。
ひとつ目は、守られていただけの私が今度は私が誰かを守る立場になりたかったから。
誰かさんのように。
ふたつ目の理由としては、胸の奥に静かに沈めている小さな恋。
まずは異性と見てもらう所から始めようと思う。
誰がどうみても、夜野(ヨルノ)は鈍感だから。
強くなりたいと願う。
願うだけじゃ、強さはきっと手にできない。
それを教えて貰えたから、私は今日も強くなろうとする。
色々疑問が残るかもしれないけど、あくまでこれは私目線のお話。
また別の子達の過去のお話もあるかもね。
それでは、いい夢を(グッドナイト)_______。
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