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第14話 輝く夜

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 美鈴は祐羽と別れたあと、少し駅前のベンチで夜空を見上げ、色々と考えていた。
 さっき聞いた祐羽の抱える過去の話を思い返し、祐羽とアスカの関係に踏み入ることはできないと自分に言い聞かせる。
 それからしばらくぼーっとしていると後ろから名前を呼ぶ声がした。

 「堺さん?」

 驚いて後ろを振り返ると零が立っている。

 「あ……坂口くん」

 「久しぶりだね」

 「そうだね……冬休みは図書当番ないしね」

 相変わらずの満面の笑みで話しかけてくる零に、美鈴もつられて笑顔になった。

 「それより堺さん、クリスマスなのに1人なのー?」

 零はからかうように美鈴に尋ねる。すると、今まで微笑んでいた美鈴の表情が一気に雲ったので零は、慌てて口を開いた。

 「まっ、俺もクリスマスなのに1人でぶらぶらしてるから今ここにいるんだけどねー」

 と、笑顔で美鈴に話しかけた。
美鈴は零と話していると少しざわついてた心が静まった気がした。
 クリスマスの駅前は、電飾がいたるところに飾り付けてあり、街中キラキラと輝いている。目の前を通り過ぎてく人々は手を繋いで歩く幸せなカップルたち。零はそれを見て、はーっと大きくため息をつく。

 「正直ね、今日堺さんと会えてめっちゃラッキーって思ってる。大好きな人と少しでも一緒に入れて嬉しい」

 不意に好きとか言われ美鈴は顔を赤くしてうつむく。

 「私も、元気でた。ありがと」

 「……こちらこそありがとう」

 美鈴の可愛らしい笑顔に惚れ直した零であった。


ーーーー



 美鈴と別れたあと、祐羽は電車の中で頭の中でさっきまでの場面が頭の中をグルグルグルグルと駆け巡る。話を聞く悲しそうな美鈴の顔を思い出しては、話さなければよかったのか、と後悔もした。
 そして、あんなカッコ悪い姿ばっか晒して、美鈴は自分のことをどう思っているのかを考えると胸が苦しくてたまらない。
 電車から降りると冷たい空気が肌に突き刺さった。

「俺はいつになったらクリスマスの日に笑顔で過ごせるのかな……」

 そうつぶやいて見上げた冬の夜空には、たくさんの星が悲しいほど綺麗に輝いていた。
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