メルドリアスの遊戯世界 ~異世界転生ハーレムキャラバン~ 【健全版】

猫野 にくきゅう

文字の大きさ
9 / 170
農場奴隷編

第9話 毒攻撃

しおりを挟む
 俺は農場の南方にある、山の麓にいる。
 日はもうとっくに暮れていて、辺りは暗闇に包まれている。

 新しい力の使い方も覚えたので、実戦で使ってみようとやってきた。


 いつも探索している東の平原ではなく、南の山に挑戦する。

 東の平原の探索は、週に一度の割合で無理せず慎重にやってきた。
 農場から離れずに、浅いところを回ってスライムの討伐だ。
 
 スライムとの戦いにも慣れてきたが、農場から離れすぎると思わぬ強敵と遭遇する可能性もあるし、逃げる場合を想定すると不安もあった。
 
 そこで探索の場所を変えて、山の方に来てみた。


 俺は山の斜面を10分ほどかけて登っていく。
 後ろを振り返ってみると、木々の茂みの隙間から農場が見渡せる。


「この辺で良いかな」

 一息入れてから『広域探知』を発動する。

 俺を中心に魔力を放ち、半径三キロくらいを探査する。


「五十匹以上はいるな──」

 モンスターの魔力の反応は五十以上あったが、全部は数えきれなかった。

 まあいい、どのみちその全てと戦うわけでもない。

 モンスターの魔力の反応は、農場に近いほど弱い。
 離れるほど強くなる。

 一番遠くのエリアにいるモンスターには、まったく勝てる気がしない。



 まずは近くの弱い反応の敵から、戦ってみよう。

 俺は魔力反応のあった中で、一番近くに居た奴をターゲットにして歩き出す。
 ここから三百メートルくらい離れたところに──

「──ン?」

 視界の端に何かが見えた気がして、そちらへと目をやる。

 何もない、ただ真っ暗な森に木と茂みがあるだけだ。
 だが何か、嫌な感じがする。

 俺は魔力を集めて、目を凝らす。

 すると俺の視線の先の──森の暗闇の中に、全長一メートルほどの巨大なハチ型の生物が音も気配もなく、空中に静止していた。


 さっきの探知で、こんな奴は引っかからなかったぞ。

 俺はそいつのいる空間に向かって魔力を広げ、より詳しく相手を探る。
 巨大なハチの周囲には、魔力で作ったと思わしき透明な膜があった。

 その魔力の膜が、俺の探知を阻害していたのか?


 右手に握っていた短剣を巨大蜂に向け、構える。

 するとそれまで何の気配もなかった巨大蜂から、ブゥォォオオ!! という凄まじい羽音が響いてきた。俺に気付かれたと悟った巨大蜂は、自身の気配を遮断していた膜を解除したようだ。

 巨大蜂は空中に静止していたのではなく、羽をはばたかせてホバーリングしてた。



 今になってスキル『危険感知』が発動する。

 巨大蜂は気配がなかったのが嘘のように、不気味な威圧感を振りまいている。
 さっきまでは、姿が見えなかったどころか、魔力すら感じなかったのに──。



 俺たちは暫らく睨み合っていたが、先に動いたのは巨大蜂の方だった。

 巨大蜂は咢を広げて、瞬時に接近してきた。
 俺の顔を挟み込む気だろう。

 俺はその攻撃を鉄の短剣で受け止める。

 噛みつき攻撃を短剣で阻まれた巨大蜂は、その体を折り曲げて尻尾に付いている針で攻撃を仕掛けてくる。

 その針攻撃は身体を捻り、なんとか避ける。
 避けると同時に巨大蜂のしっぽへと、闘気を纏わせた短剣で攻撃を加える。

 ガッ!! 
 という硬い手応えがした。
 昆虫型の魔物だけあって外殻は硬いが、闘気を込めた短剣の強度がそれを上回っいる。巨大蜂のしっぽを短剣が切り裂いた。

 ダメージを受けたことが意外だったのか、単に痛かったのか──巨大蜂は、ギェェェエエエと雄たけびのような怒りの悲鳴を上げる。

 俺はそれに構わずに、胴体、足、羽の順に鉄の短剣で切り裂いていく。
 羽を裂かれた巨大蜂は上手く飛べなくなり、地面をのた打ち回って暴れる。

 地面を暴れまわる巨大蜂と一定の距離を保ちながら、敵が接近するタイミングで、少しづつ着実に攻撃を加え続ける。最初は怯えて動かなかったスラ太郎も、敵が弱り出してから攻撃に加わった。

 十分は経過しただろうか──
 なんとか、とどめを刺すことが出来た。


 倒し終ってから自分のステータスを確認すると、状態異常で毒(弱)を受けていたことに気付く、HPも半分ほどに減っていた。
 戦闘中は必死過ぎて気が付かなかったが、最初に針で攻撃されたときに脇腹を掠っていたようだ。

 俺は持参してきた回復薬を使ってから、巨大蜂の解体を行い魔石を取り出す。

 鑑定をしてみる。

*************************
キラー・ビーの魔石 (光属性) 
所有者 ユージ
魔石値 000089
*************************


 ハチの魔物はキラー・ビーという名前だった。
 魔石値は89、強敵だったからな。
 俺は魔石を異空間へと転送する。
 今日はもう帰って休みたい。

「予想外の強敵との遭遇だったしな」




 さて、山を下りようかと踵を返した俺の背中に──
 トスっ、と何かが突き刺さった。

「ッ──!!」 


 後ろから、攻撃された。

 俺は振り向きざま、後ろにいるはずの敵に向かい短剣を振るう。

 しかし、その時にはすでに敵は十メートル以上の距離を取っていて……

 そして──
 じっとこちらを観察している。


「毒ッ……か──?」

 キラー・ビーに食らった時とは違い、明確に自分の体調の悪さを感じる。
 全身に悪寒が走り、呼吸も荒くなってきた。
 
 俺を攻撃した奴は夜の山の暗闇の中で、こちらの様子を伺い続ける。
 そいつは全身が白い巨大なクモ。

 高さは二メートルほどで、全長は三メートルはありそうだ。
 
 蜘蛛の背中には、人型の髪の長い──人形のようなものを乗せている。

 その背中についている、人形の色も白い。


 蜘蛛の背中の上で、ぐったりと寝そべっている人形のようなそいつは、顔を少しこちらに向けると──

「タスケ……テ、──タス……ケテ」

 と喋りかけてきた。


 鳥肌が立つ、怖いし気味が悪い。


 あれは、人間のフリのつもりなのか?
 擬態なのか?

 助けに来た人間を捕食しようと──?


 馬鹿なのかと言いたくなるが、あの魔物はバカではない。
 俺よりもずっと強いのに、俺が毒で動けなくなるまで待っている。


 キラー・ビーとの戦いで、FPがかなり減少した。
 ああ、ダメだ。
 コイツには勝てない。

 その影響もあって、思考が後ろ向きになる。


 俺は農場に逃げ帰るために、後ろに後ずさった。



 するとそれを察してか、巨大蜘蛛は一気に距離を詰めてきた。

 ヤバいッ!!

 俺は最後の気力を振り絞って、鉄の短剣でカウンターを繰り出す。

 入ったッ!!

 そう確信した瞬間、俺の攻撃は空を切った。

 何の手応えもない。



 攻撃をミスしたのだと気付くと同時に、慌てて敵の位置を確かめる。
 巨大蜘蛛は元居た場所から一歩も動かずに、こちらの様子を観察している。

 は……?
 何だ、これ??




 毒が全身に回ったのか、呼吸がさらに荒くなる。


 これはもう駄目だ、本格的に勝ち筋が見えない。
 俺はスラ太郎を抱き寄せる。

 あいつから一瞬だけ視線を逸らすことになるが、仕方がない。
 俺は後ろを振り向き、農場の敷地を視界に入れる。
 その場所へ──

 スキル『空間移動』で移動した。



「はあ、はあ、はあ、はあ──ガハッ……」


 何とか逃げ延びることに成功した俺は、畑の中に寝転がり呼吸を整えようとするが上手くいかない。
 何とか手を伸ばして回復薬を摘まむと、急いで口の中に放り込んだ。

 俺はそのまま目を閉じて眠りにつく。
 気が付けば、朝まで眠り続けていた。
 
 今が夏で良かった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...