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スライムの森
第8話 校舎裏の密会 B
しおりを挟む四人組が、道を通り過ぎる。
僕と同じくらいの年の男が二人に、大人が二人……。
同い年の男二人がプレイヤーで、大人二人がNPCだろう。
きっと、冒険者ギルドで仲間にしたんだ。
子供二人が剣と槍を装備していて、大人がそれぞれ盾と弓を装備している。
────バランスの取れた編成だ。
思わず僕は、『うらやましい』と思った。
彼らに話しかけて情報交換でもすればいいのだが、僕の対人スキルではそれは難易度が高すぎて無理だ。
暫く木の陰に隠れてから、宿屋に戻る。
戦闘でダメージを受けていて、疲れていた。
すぐにベットに横になり、眠りに就く……。
…………。
僕は授業の間の休憩時間に、予習と復習をする振りをしながら、昨日のことを思い返していた。
そして、疑問を抱く────
冷泉はゲーム世界のどこにいるんだ?
このゲームに誘ったのは彼女で、手伝って欲しいと言っていた。
彼女はゲームをプレイしている、プレイヤーのはずだ。
冷泉はもう、誰かとパーティを組んでいるのか?
だとしたら、彼女が期待する、僕の役割はなんだ────?
分からないことが増えた。
分からなければ、本人に尋ねればいいのだが……。
それが出来れば、僕はボッチになっていない。
ゲームを進めれば、いずれ会えるだろう。
そう考えて、僕は勉強に集中した。
その日の、昼休み────
「ねえ、田中……ちょっと来て────」
給食を食べ終えた僕は、冷泉に腕を掴まれて教室から連れ出される。
────教室がちょっと、ざわついていた。
あー、やだなー。
と思いながら、僕は冷泉に付いて行く。
僕が秘密特訓をしていた、人気のない校舎裏に連れて来られる。
冷泉と二人きりになった。
「────ごめんね、いきなり呼び出して」
「い、いや、別に……構わない」
ちょうど僕も、聞きたいことがあったんだ。
「あのゲームの事なんだけど、肝心なこと言うの忘れてて……」
肝心な事────?
「あのゲームね。まだ販売されてないんだ。────『テストプレイ』段階なんだって、だから、ゲームの事は、知らない人に喋っちゃダメなのよ。田中も気を付けて、……ひっとして、誰かに喋っちゃった?」
どうやらゲームの事を、プレイヤー以外には話してはいけないらしい。
それで、こんな人気のない所に、連れて来られたのか……。
まあ、彼女の心配は杞憂なのだが……。
僕が誰かに、ゲームの事を話す心配はいらない。
「────い、いや、誰にも言ってない。安心してくれ」
話す友達がいないからな。
────親にも言ってない。
僕ももう、中学二年生だ。
何でも親に話す年齢ではない。
「そっか、良かった。────それとね、ゲームのテストプレイヤーには、お金が振り込まれるのよ。成果報酬で、銀行振り込みなんだよ」
……。
……お金が、貰えるのか。
────それは正直、かなり助かる。
僕の家は母子家庭で、母と僕の二人暮らしだ。
お小遣いを自分で稼げると分かると、モチベーションも違ってくる。
「へぇ、そうなんだ。────それで、その……冷泉はゲームをプレイしているのか? どの辺に居るんだ? パーティは……?」
聞きたいことを、一気に聞いた。
僕にしては上出来だ。
「えっと、私はパーティは組んでなくて、ゲームを進めないと会えないとこにいるのよ」
どうやら冷泉は、すでにゲームを進めているらしい。
予想通りだが、少しがっかりだ。
彼女が近くに居れば、パーティを組めると思ったんだが──
そうもいかないらしい。
この後、僕らは連絡先を交換して解散した。
今日の一番の収穫は、これだったかもしれない。
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