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コボルトの谷
第27話 魅惑の匂い A
しおりを挟む僕は親切な人に、パーティに誘われそうになる。
そこにストップをかけたのは、相手のパーティの一員だった。
「ほっとけよ。そんな奴、……どうせ足手まといにしかなんねーから。────俺達にだって余裕は無いんだ。……こいつの介護なんて御免だぜ!!」
僕は三下タイプから、徹底的に嫌われる。
そんな宿命を背負っている男だ。
「いいか! 俺はな、お前みたいな奴が嫌いなんだ。このパーティ入れて貰えると思うなよ。────目障りだ。早く失せろ!!」
「…………」
僕はパーティに入ってもいないのに、追放されてしまった。
「おい! なんてこと言うんだ。初対面の人に失礼だろ!! ────ごめんね、君……嫌な思いをさせて済まなかった」
「あっ、はい……」
リーダーらしき人は人格者のようで、弱そうな見た目の僕に対して、ちゃんと謝ってくれた。
────僕は謎の感動に包まれる。
こんな良い人が、実際にいるんだ。
僕は彼の謝罪を受け入れ、一人で『コボルトの谷』を目指し歩き出す。
ダンジョンエリア付近まで来た。
ここまでに魔物は遭遇したのは、コボルトのみ。
この地域には、コボルトしかいないのだろう。
────ただ、コボルトの形態に違いがあった。
上半身の筋肉が、盛り上がっているパワータイプ。
下半身が発達したスピードタイプ。
毛の量が多い防御タイプ。
そして一回り大きな、進化タイプ。
いずれの敵も、ダークショットで討伐可能だった。
だが、こいつらは威圧感がある。
スライムと比較すると、コボルトは『見た目の怖さ』が段違いだ。
進化タイプは、僕よりも体が大きい────
コボルトは人間を見かけると、野生全開で襲ってくる。
特に進化タイプは筋骨隆々の獣人だ。
そんな奴が、半狂乱で向かってくるのだ。
どうしても委縮してしまう。
モンスターの威圧感というのは、このゲームではかなり厄介だ。
完全没入型のフルダイブゲームで、痛みも感じる。
ダメージが現実に反映されるからこそ、恐怖心も生まれやすい。
ボーナスポイントの割り振りで、『精神力』を125に上げていなかったら、コボルトとは、とても戦えていないと思う。
レベルを上げて、少しでもステータスを強化したい。
僕は腰のベルトに縛って持ってきたアイテム、『魅惑の匂い』を袋から取り出す。中身は黒色の玉だった。
それを地面に落として、足で踏んづけて形を崩す。
すると────
「うぉぉおおおおおおんんんんんんんん!!!!!!!!!!」
周囲から、複数の獣の雄叫びが上がった。
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