【ラスト・パラダイス】 一人ぼっちのダンジョン攻略 少年は命がけのゲームを、孤独に戦いぬく

猫野 にくきゅう

文字の大きさ
94 / 206
ゴブリンの巣穴

第47話 嗅覚 B

しおりを挟む



「ま、待ってくれッ!! た、頼む!! 助けてくれ!!」


 『マルヤマ』が土下座して、命乞いをしてきた。

 頭を地面に擦り付けて、『命だけは~~、命だけは~~~!!』と嘆願している。


 彼は両腕を損傷しているので、綺麗な土下座は出来ない。

 だが、手の支えなく頭を地面に付けている為、悲壮感が出ている。


「えっ? あっ、はあ……、まあ、大人しく言うことを聞いてくれるなら、良いですけど……?」

「わ、わかった、言う通りにする!!」



 …………え?

 言う通りにしてくれるの……?


 ……う~ん。

 随分と、物分かりが良くなったな……。


 拍子抜けするほど、あっさりと話がまとまった。

 色々と思い悩んでいた僕が、馬鹿みたいじゃないか。


 だったら最初から、素直に降参してくれよ……。



 ……いや、違うな。

 こいつは恐らく、こっちが本気だと分かったから素直になったんだ。
 
 僕はこの三人の、『死』を見届ける気でいた。


 その雰囲気を感じ取って、降参したのだろう。

 喧嘩慣れしている奴は、その辺りの嗅覚も鋭いようだ。


 




 森を出て、外の二人と合流する。

 リーダー格の『マルヤマ』が、僕に制圧されたのを見て、『マツイ』と『マツダ』も素直になり、降参した。


 武装解除をお願いすると、残りの二人も要請に従い、あっさりと武器を手放して、防具も身体から外した。


 彼らの防具を回収して村で売ればお金になるだろうが、嵩張るし重いので、ここに捨てていくことにした。

 ドロップアイテムではないので、アイテムボックスには回収できない。




 ゴブリンがドロップした僕の弓も、ここで捨てる。

 矢のストックも、あと二本だったので放棄することにした。


 三人も捕虜を連行するので、出来るだけ身軽でいたい。

 ただ、マツダが装備していた槍は、拾って使わせて貰うことにした。
 

 三人を前を歩かせて、その少し後ろから、僕が槍を担いで歩く。

 

 
 



 5時間ほど歩くと、ドルス村の入り口が見えてきた。

 負傷している三人は歩くのが遅いので、予定よりも時間がかかった。


 ここまで来る途中にゴブリンと五回遭遇したが、全てダークショットで始末した。


 ────負傷者を抱えての移動だ。

 何度か休憩を挟んで、ここまで来た。

 
 休憩中や歩いている途中に、三人が話していた愚痴が聞こえてきた。

 それを総合して、彼らの情報を整理する。





 三人は殺人犯として指名手配されてからは、村に入れなくなり、ゲームからログアウトも出来ずに、ずっと外で野宿をしていたようだ。


 モンスターの少ない、ダンジョンから離れたエリアで暮らすようになる。

 この世界では食事を摂る必要はないので、なんとか生き延びることが出来たようだ。

 コボルトの谷で徹夜した僕のように、『強制ログアウト』させられることは無かった様だ。



 彼らは現実世界に戻れないまま、ゲーム世界を彷徨った。

 そんなある日、森の近くでテントを見つける。


 そうだ!!

 冒険者を脅して、テントを買ってこさせればログアウトできるじゃないか!!


 その事に思い至った三人は、森に潜み、冒険者を奇襲することにした。






 といった経緯で────

 彼らは、僕に襲い掛かって来たらしい。


 ……。

 襲った相手が、悪かったですね。

 ご愁傷様────
 僕は彼らの会話を黙って聞きながら、心の中で合掌してあげた。
 


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

処理中です...