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ゴブリンの巣穴
第47話 嗅覚 B
しおりを挟む「ま、待ってくれッ!! た、頼む!! 助けてくれ!!」
『マルヤマ』が土下座して、命乞いをしてきた。
頭を地面に擦り付けて、『命だけは~~、命だけは~~~!!』と嘆願している。
彼は両腕を損傷しているので、綺麗な土下座は出来ない。
だが、手の支えなく頭を地面に付けている為、悲壮感が出ている。
「えっ? あっ、はあ……、まあ、大人しく言うことを聞いてくれるなら、良いですけど……?」
「わ、わかった、言う通りにする!!」
…………え?
言う通りにしてくれるの……?
……う~ん。
随分と、物分かりが良くなったな……。
拍子抜けするほど、あっさりと話がまとまった。
色々と思い悩んでいた僕が、馬鹿みたいじゃないか。
だったら最初から、素直に降参してくれよ……。
……いや、違うな。
こいつは恐らく、こっちが本気だと分かったから素直になったんだ。
僕はこの三人の、『死』を見届ける気でいた。
その雰囲気を感じ取って、降参したのだろう。
喧嘩慣れしている奴は、その辺りの嗅覚も鋭いようだ。
森を出て、外の二人と合流する。
リーダー格の『マルヤマ』が、僕に制圧されたのを見て、『マツイ』と『マツダ』も素直になり、降参した。
武装解除をお願いすると、残りの二人も要請に従い、あっさりと武器を手放して、防具も身体から外した。
彼らの防具を回収して村で売ればお金になるだろうが、嵩張るし重いので、ここに捨てていくことにした。
ドロップアイテムではないので、アイテムボックスには回収できない。
ゴブリンがドロップした僕の弓も、ここで捨てる。
矢のストックも、あと二本だったので放棄することにした。
三人も捕虜を連行するので、出来るだけ身軽でいたい。
ただ、マツダが装備していた槍は、拾って使わせて貰うことにした。
三人を前を歩かせて、その少し後ろから、僕が槍を担いで歩く。
5時間ほど歩くと、ドルス村の入り口が見えてきた。
負傷している三人は歩くのが遅いので、予定よりも時間がかかった。
ここまで来る途中にゴブリンと五回遭遇したが、全てダークショットで始末した。
────負傷者を抱えての移動だ。
何度か休憩を挟んで、ここまで来た。
休憩中や歩いている途中に、三人が話していた愚痴が聞こえてきた。
それを総合して、彼らの情報を整理する。
三人は殺人犯として指名手配されてからは、村に入れなくなり、ゲームからログアウトも出来ずに、ずっと外で野宿をしていたようだ。
モンスターの少ない、ダンジョンから離れたエリアで暮らすようになる。
この世界では食事を摂る必要はないので、なんとか生き延びることが出来たようだ。
コボルトの谷で徹夜した僕のように、『強制ログアウト』させられることは無かった様だ。
彼らは現実世界に戻れないまま、ゲーム世界を彷徨った。
そんなある日、森の近くでテントを見つける。
そうだ!!
冒険者を脅して、テントを買ってこさせればログアウトできるじゃないか!!
その事に思い至った三人は、森に潜み、冒険者を奇襲することにした。
といった経緯で────
彼らは、僕に襲い掛かって来たらしい。
……。
襲った相手が、悪かったですね。
ご愁傷様────
僕は彼らの会話を黙って聞きながら、心の中で合掌してあげた。
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