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レイゼイの町
第72話 門番と行商人 B
しおりを挟む僕たちは料理を待つ間に、お互いに自己紹介をした。
彼は『ハットン』と言う名前で、この町を中心に行商をしているらしい。
「お二人のおかげで、命拾い致しました。────改めて、感謝申し上げます。それと……例の『二人組の門番』ですが、彼らは解雇される運びとなるようです。そちらに関しても、合わせてお礼を……ありがとうございました」
解雇される門番と言うのは、心愛さんにパンツを見せろと迫っていた、あの二人組の事だろう。……そうか、彼らはクビになるのか。
……ん?
モンスターから助けたお礼は、分かる。
それはともかくとして、門番の事でお礼を言われるのは何故だろう────?
「彼らは、そちらのココア様……旅の聖職者の方に対し、不埒な要求を突き付けていたのでしょう? それを、私どもの仲間が目撃していました。────ですので、それを教会に報告して、彼らをクビにすることが出来たのです」
そういえば、心愛さんの職業は『僧侶』だったな。
なるほど────
行商人たちは教会の力を利用して、門番をクビにした訳だ。
良かった。
────と思う反面、心配事が出来てしまった。
僕が視聴している今期のアニメ『セクハラを理由に追放された門番が、邪神君から力を貰って、追放した町を破壊し尽くす』のように、この町が門番から破壊されるかもしれない……。
僕がそんな心配をしている間も、ハットンさんは、あの二人の悪行を並べ立てていた。
────話の途中で、料理が運ばれてくる。
僕たちはそれを、美味しく頂きながら話を続けた。
ハットンさんの話ぶりから、あの二人の門番は。行商人たちから酷く嫌われていた事が窺える。
あの人達は町に入る行商人を足止めし、難癖をつけて、商品をくすね取っていたようで、行商人は皆、その被害に悩まされていた。
────そうか、町に入る為の行列が出来ていたのは、あの門番達が、行商人から商品を奪い取る為に、ワザと検査を長引かせていたことが原因だったらしい。
彼らが調子に乗って、心愛さんに不埒な要求をしたことで、門番をクビにする大義名分が出来た。
それは、僕らが意図してやったことでは無い。
だが行商人たちは、きっかけを作った僕達に感謝しているらしい。
────ボス級の魔物を討伐したことと相まって、行商人達からの好感度は、かなり上がっている様だ。
おかげで、こうして美味しい魚料理を、奢って貰えている。
ハットンさんから話を聞いた事で、この町のすぐ傍に『ワーム・キング』が出現した理由が見えてきた。
プレイヤー視点で見ると、あれは『突発イベント』だったのではないかと思う。
門番に足止めされている最中に、出くわすイベントだ。
そのイベントで魔物を倒し、行商人を助けることが出来たので、彼らからの好感度がアップした。
だとすれば────
「あの、ハットンさん。……あの二人の門番が、職場復帰することって、ありますか────?」
「えっ? いや、それは無いと思いますよ。……心配しなくても、彼らは町から追放されることになるでしょう」
どうやら、初級ダンジョンとは違い──
この突発イベントは、『先着プレイヤー』限定の様だ。
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