【ラスト・パラダイス】 一人ぼっちのダンジョン攻略 少年は命がけのゲームを、孤独に戦いぬく

猫野 にくきゅう

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レイゼイの町

第87話 挑発 A

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 ゲーム世界にログインすると、僕の部屋に逗桃が居た。
 備え付けの椅子に座って、こちらを眺めている。

「……ずっと、そこで待ってたの?」

「……キモいこと聞くな! 糞がッ! さっき、来たばっかだよ」

 逗桃も、ログインしたばかりのようだ。




 このゲームには、固定されたパーティはない。
 しかし僕は、心愛さんと怜悧と逗桃とで、一つのチームだと思っている。

 
 怜悧とは、この『ゲーム世界』において、婚約者ということになっているし、心愛さんとは、これからも、ずっと一緒に冒険しようと確認し合っている。

 逗桃とそういう話はしていないけど、彼女の様子からして、これから先も、僕と一緒にゲームを進めてくれるのだろうと思っている。

 宿屋の料金支払いを一緒にしているので、僕たちは、お互いの部屋に行き来する事が可能だ。現に、こうして、逗桃は僕の部屋に入って来れている。


 現在、僕たちは『海神様』への貢物・『スライム酒』が、製造されるのを待っている。────他にやることは特にないので、『スライム酒』が出来上がるまでは、パーティメンバーの強化をしようと、話し合って決めてある。


 昨日は、逗桃と僕で外に出て、モンスター退治をした。

 今日は心愛さんも怜悧もログインするはずなので、二人が来るのを待ってから、具体的な予定を決めたいと思う。

「……なあ、今日もさ、昨日と同じような事すんのか?」


 逗桃が、僕に質問してきた。

 彼女は恥ずかしがり屋で引っ込み思案だが、僕に対しては物怖じせずに話しかけて来てくれるようになった。

 随分と打ち解けて貰えたなぁ……。
 僕はしみじみと、そんな感慨を抱く。

 単に僕が、年下の少女に舐められているだけかもしれないが……。
 そう思うと悲しくなった。


 僕は気を取り直して、逗桃の質問に答える。

「────うん、そうだよ」



「ふーん……、また、あれだろ? でっかいミミズに向かって『挑発』を使うんだろ? ────それだったらさ、わざわざ、町の外に出なくても、ここでやれば良いんじゃねーか? ……こうやってさ、ほら!!」

 逗桃がそう言った途端、僕に変化が起こった。

 …………あれ?

 ……なんというか、頭に血が上ったようになり、彼女から目が離せなくなる。


 そして、身体が勝手に動き出し、僕は逗桃に近づいていく。

「…………」 

 ────がしっ!!

「……えっ? ────お、おいっ」

 僕は無言で、逗桃の両手首を握った。

「なっ! ……や、やめろっ」

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