【ラスト・パラダイス】 一人ぼっちのダンジョン攻略 少年は命がけのゲームを、孤独に戦いぬく

猫野 にくきゅう

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レイゼイの町

第89話 転生 A

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 僕はアイテムボックスから、ゴブリン・キングのドロップアイテム『転生のオーブ』を取り出した。

 手のひらサイズの、光り輝く宝玉……。
 僕が手に持つと、相変わらず『このアイテムは、使用できません』と表示される。

 ボスのドロップアイテムなんだし、きっと良いものに違いないのだが、使い道の分からない品だ。


「へぇー、綺麗な宝石ね。────見せて」

「────いいよ。はい」

 僕は怜悧に、転生のオーブを手渡した。


「……あっ、本当だ。『使用できない』って、表示されるね」

 どうやら、怜悧も使えないようだ。



「ふーん、ウチにも触らせて────」

 怜悧が持っていたオーブを、心愛さんに渡す。

 すると────


「……んっ? なにこれ────?」

 プレイヤーに表示される装備関連のウインドウは、本人にしか見れない。
 そのため内容は分からない……、彼女の様子からして、僕や怜悧とは違ったメッセージが表示されていることは見て取れる。


 
「……えーと、『転生しますか?』だって、────えっと『はい』っと……」

 心愛さんは迷いも戸惑いもなく、転生を選択した。
 その直後、心愛さんが光に包まれる。

 僕は『少しは慎重になって下さい』と内心で叫んだが、もう遅い。彼女の手はすでに選択を終えていた。
 

「おお! なんかウチ、光ってない────?」

「あっ、はい────えっと、光ってます」


 確かに光っている。
 心愛さんを包む金色の光は、部屋の隅々にまで広がり、僕たちに神秘的な温もりをもたらしている。

 いったい……、何が起きているんだ?

 『転生のオーブ』が『転生しますか?』と聞いてきて、『はい』を押したのだから、『転生』しているのだろうが、そもそも、この場合の『転生』ってなんだ────?

 生まれ変わるためには、死ななければならない……。
 心愛さんは死んでしまうのか?



 僕がそんな心配をしていると、光はすぐに収まってくれた。
 部屋が静寂に包まれる。

 心愛さんは、死んではいない。無事だ。

 ────良かった。



 彼女が無事だったことに一安心してから、僕は心愛さんに問いかけた。

「────えっと、何か変化はありますか?」

「んー、自分では、よくわかんないなぁ~~。────何も変わってないと思うんだけど……」

 心愛さんは自分の身体を確かめながら、そう言った。


 確かに、見た目に変化は……、あっ!

 見つけた……。
 心愛さんの体に、重大な変化があった。


「……えっ? あっ!」

「……えっと、えっと」

 怜悧と逗桃も、気が付いたようだ。

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