パパLOVE

鷲宮@

文字の大きさ
上 下
12 / 139

12

しおりを挟む
《今着いたところだよ。どうした?》

1分後に返信が返ってきた。

私と別れてから10分が経ったぐらいだった。

パパの家は私のマンションとさほど離れていない場所にあるのがわかった。

《何時ごろ寝るの?》

《お風呂入ってから、録画しておいたドラマを見てからだから24時過ぎると思うよ》

《そう》

メールじゃなくて話がしたかった。

声が聞きたかった。

ホントに人というのは貪欲だ。

昨日までは連絡すらつかなくて、連絡先も知らずメールさえ出来なかったのに、今はメールでは物足りず話がしたいとまで思っている。

わかってはいるけど、この胸の高鳴りを鎮めることが出来ない以上、心の赴くままに動かないと心が乱れて何も手につかなくなるかもしれない。

《パパの暇な時間に電話してもいい?》

《今でも大丈夫だよ》

そのメールを見た瞬間、ドキドキとワクワクが抑えられなくて直ぐに電話をかけてしまっていた。

『もしもし』

優しくて甘い声が受話器から私の耳の中に入り、いくつかの工程を経て聴神経から電気信号として脳に伝えられてパパの声だと認識できた。

『もしもし…』

『どうしたの?』

『何でもないんだけど、パパの声が聞きたくなって』

『パパも香澄の声が聞きたいと思ってた』

『ホントに? パパ、私の声聞きたかったの?』

『うん、聞きたかった』

『何で?』

私は何を聞いてるんだろう…。

何を期待しているのだろう…。

パパは大人だから社交辞令的にそう言ったに違いないのに。

『そりゃあ、大好きな娘と話せるのは嬉しいからね』

パパが照れながら言っているのは電話越しでも伝わってきた。

パパって何かかわいい♡

それから1時間近くパパと電話で話した。

学校や勉強のこと、友達のことやバイトのことを話した。

私のことばかり話してたような気がする。

パパのことも知りたいんだけどな。
しおりを挟む

処理中です...