パパLOVE

鷲宮@

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「パパ…」

「香澄…目が覚めたんだね。大丈夫?」

「何が?」

「憶えてないの? お酒を飲んで倒れちゃったんだよ」

「そっ‥そう言えばそうだった」

「ごめん、ちゃんと止めるべきだった」

「パパは悪くないよ。私が無理に飲んだんだから」

私は横になったままパパに向かって両手を掲げた。

パパは私の首と腰に手を回して起き上がらせてくれた。

「ありがと」

「もう夜中の3時だからもう少し眠っていくといいよ」

「そうしようかな。パパも一緒に寝てくれる」

「いいよ」

パパはそう言うと、私を布団に寝かせてパパも横になった。

「パパ、腕枕して」

「パパのでよければ」

そしてパパは私の首の下に腕を回して腕枕をしてくれた。

あったかくて気持ちよくて気付くと目を閉じていた。

Zzz……Zzz……


再び目を開けると、部屋に差し込んだ朝日に照らされて目が覚めたことがわかった。

「パパっ」

布団の上にはパパの姿はなく、少しだけ不安になりパパを呼んだ。

「香澄、おはよう」

寝室のドアからひょっこり顔を出したパパがそう言った。

「パパ、おはよう」

私はパパに向かって手を広げ、抱っこをしてのサインを送った。

するとパパはベッドまで歩み寄り、私を抱きかかえてくれた。

お姫様抱っこ♡

ちょー嬉しいんだけど。

そして抱っこしたまま、リビングのソファーまで連れて行ってくれた。

時計を見ると、もう少しで朝の8時になろうとしていた。

「何か食べてく?」

「うぅん、帰る。このあとパパ仕事でしょ?」

「うん」

「だったら帰らなきゃ」

「ミルクティーだけでも飲んでいきな」

「そうする」

パパは昨日飲んだミルクティーを作ってくれた。

私がミルクティーを飲んでいる間にパパは身支度を済ませて、私がそれを飲み終えたあと部屋を出た。

「そしたら家まで送ってあげるよ」

1階に下りるエレベーターの中でパパがそう言った。

「ごめんね、私のせいでゆっくり出来なくなっちゃったね」

「僕は香澄と一緒にいられて嬉しかったし楽しかった」

「私もだよ」

パパの言葉が嬉しくて優しくて気がつくと涙が溢れてきた。

「泣いてなんかないから。ちょっと目にゴミが入ったの」

パパが私の涙を見て、少しだけ驚いた表情をしたので、こういった状況でよく聞くセリフを言ってみた。

私はパパの首に腕を回して抱きつくと、パパは私の腰に手を回して抱きしめ返してくれた。

エレベーターに乗ってくる住人がいたけど、構わず抱き合っていた。

どんな関係だと思われていただろうか?

さすがに抱き合っているんだから親子には見られないだろう。

恋人だと思われただろうか?

恋人と思われたなら最高なんだけどな。

それからパパのマンションから歩きで送ってもらった。
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