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王子の暴走プロポーズ
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学園祭のステージで、ルーカス王子を完膚なきまでに論破した私。
(これで彼も少しは大人しくなって、国へ帰ってくれる)
そう思っていました。しかし、その予想は大きく外れることになります。
学園祭の後夜祭。キャンプファイヤーの炎が揺れる校庭に、再びあの男が現れたのです。
「ロゼリアーーーッ!!」
ルーカス王子が、忠犬のように目を輝かせて駆け寄ってきました。落ち込んでいるかと思いきや、なぜかテンションが倍増しています。
「感動した! 僕は猛烈に感動したよ!」
「は、はい……?」
私とキース様は後ずさりしました。
「君のあの言葉! 『甘やかすのは優しさじゃない、厳しさこそが愛だ』! あんな風に、僕の過ちを真っ向から叱り飛ばしてくれた女性は、ママ以外で君が初めてだ!」
ルーカス王子は私の手を取ろうとしましたが、キース様が叩き落としました。
「君こそが、僕を導く女神だ! 決めたよロゼリア嬢。僕の国『ソルシエール』に来てくれ! そして僕のお妃様になって、毎日僕を叱ってくれ!」
「……はぁ!?」
斜め上の展開に、私たちは開いた口が塞がりませんが彼は本気でした。
「僕の国に来れば、君専用の『国立魔法研究所』をプレゼントするよ! 予算は使い放題! 世界中の珍しい魔導書も読み放題だ! 君の才能を、この小さな国で腐らせるのは損失だ!」
研究所。読み放題。正直、私は一瞬「おっ?」と心が揺らぎました。でも、それ以上に大切なものがあります。
「お断りします。私にはキースという心に決めた相手が……」
「えーい! そんな筋肉騎士君のことは忘れなさい!」
ルーカス王子は聞く耳を持ちません。
「これは決定事項だ! 既に僕は父上(ソルシエールの王様)に手紙を出した。『最高の花嫁を見つけたから連れて帰る』ってね! さあ、馬車の用意はできているよ!」
強引に私の腕を引くルーカス王子。これはもう、個人の恋愛トラブルではありません。
隣国の王子が無理やり私を連れ去ろうとしている。下手をすれば、国と国との外交問題になってしまいます!
「やめろと言っているだろう!!」
ドゴォッ!! キース様が、ルーカス王子の胸倉を掴んで突き飛ばしました。
校庭の空気が凍りつきました。燃え盛る炎の前で、二人の男が睨み合っています。
「……やっぱり野蛮だねぇ、筋肉騎士君」
ルーカス王子は、服の汚れを払いながらニヤリと笑いました。
「でも、分かるよ。君じゃ僕には勝てない。身分も、財産も、剣の腕も……全てにおいて僕の方が上(ハイスペック)だからね」
「……」
キース様は何も言い返しません。確かに、スペックだけで見れば王子様には敵わないかもしれません。でも、キース様の瞳には、決して折れない強い光が宿っていました。
「身分がなんだ。ロゼリアは物じゃない。俺の大切な人だ」
キース様は腰の剣を抜き放ちました。銀色の刃が、炎の光を反射してギラリと輝きます。
「ルーカス殿下。……『決闘』を申し込む」
周りの生徒たちが「おおっ!」とどよめきました。
「俺が勝ったら、ロゼリアへの求婚を撤回し、二度と彼女に近づくな」
「ほう? 面白い。じゃあ僕が勝ったら、彼女を貰っていくよ?」
ルーカス王子もマントを脱ぎ捨て、腰に差していた細身の剣を抜きました。その剣身は、青白い魔力でブォン……と光っています。
「受けて立とう。ただし、僕は『魔法剣士』だ。しかも魔道具を使って色んな魔法を発動させる。ズルい戦い方をするけど、文句は言わせないよ?」
「構わん。ハンデとして、俺は魔法は使わない。剣だけでお前を叩き潰す」
審判などいません。愛する人を賭けた男同士の真剣勝負が始まりました。
(これで彼も少しは大人しくなって、国へ帰ってくれる)
そう思っていました。しかし、その予想は大きく外れることになります。
学園祭の後夜祭。キャンプファイヤーの炎が揺れる校庭に、再びあの男が現れたのです。
「ロゼリアーーーッ!!」
ルーカス王子が、忠犬のように目を輝かせて駆け寄ってきました。落ち込んでいるかと思いきや、なぜかテンションが倍増しています。
「感動した! 僕は猛烈に感動したよ!」
「は、はい……?」
私とキース様は後ずさりしました。
「君のあの言葉! 『甘やかすのは優しさじゃない、厳しさこそが愛だ』! あんな風に、僕の過ちを真っ向から叱り飛ばしてくれた女性は、ママ以外で君が初めてだ!」
ルーカス王子は私の手を取ろうとしましたが、キース様が叩き落としました。
「君こそが、僕を導く女神だ! 決めたよロゼリア嬢。僕の国『ソルシエール』に来てくれ! そして僕のお妃様になって、毎日僕を叱ってくれ!」
「……はぁ!?」
斜め上の展開に、私たちは開いた口が塞がりませんが彼は本気でした。
「僕の国に来れば、君専用の『国立魔法研究所』をプレゼントするよ! 予算は使い放題! 世界中の珍しい魔導書も読み放題だ! 君の才能を、この小さな国で腐らせるのは損失だ!」
研究所。読み放題。正直、私は一瞬「おっ?」と心が揺らぎました。でも、それ以上に大切なものがあります。
「お断りします。私にはキースという心に決めた相手が……」
「えーい! そんな筋肉騎士君のことは忘れなさい!」
ルーカス王子は聞く耳を持ちません。
「これは決定事項だ! 既に僕は父上(ソルシエールの王様)に手紙を出した。『最高の花嫁を見つけたから連れて帰る』ってね! さあ、馬車の用意はできているよ!」
強引に私の腕を引くルーカス王子。これはもう、個人の恋愛トラブルではありません。
隣国の王子が無理やり私を連れ去ろうとしている。下手をすれば、国と国との外交問題になってしまいます!
「やめろと言っているだろう!!」
ドゴォッ!! キース様が、ルーカス王子の胸倉を掴んで突き飛ばしました。
校庭の空気が凍りつきました。燃え盛る炎の前で、二人の男が睨み合っています。
「……やっぱり野蛮だねぇ、筋肉騎士君」
ルーカス王子は、服の汚れを払いながらニヤリと笑いました。
「でも、分かるよ。君じゃ僕には勝てない。身分も、財産も、剣の腕も……全てにおいて僕の方が上(ハイスペック)だからね」
「……」
キース様は何も言い返しません。確かに、スペックだけで見れば王子様には敵わないかもしれません。でも、キース様の瞳には、決して折れない強い光が宿っていました。
「身分がなんだ。ロゼリアは物じゃない。俺の大切な人だ」
キース様は腰の剣を抜き放ちました。銀色の刃が、炎の光を反射してギラリと輝きます。
「ルーカス殿下。……『決闘』を申し込む」
周りの生徒たちが「おおっ!」とどよめきました。
「俺が勝ったら、ロゼリアへの求婚を撤回し、二度と彼女に近づくな」
「ほう? 面白い。じゃあ僕が勝ったら、彼女を貰っていくよ?」
ルーカス王子もマントを脱ぎ捨て、腰に差していた細身の剣を抜きました。その剣身は、青白い魔力でブォン……と光っています。
「受けて立とう。ただし、僕は『魔法剣士』だ。しかも魔道具を使って色んな魔法を発動させる。ズルい戦い方をするけど、文句は言わせないよ?」
「構わん。ハンデとして、俺は魔法は使わない。剣だけでお前を叩き潰す」
審判などいません。愛する人を賭けた男同士の真剣勝負が始まりました。
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