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〇リ〇孔明

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 いかなる神のいたずらか、あの『三国志』の天才軍師・諸葛亮しよかつりよう孔明は現代日本の東京・渋谷しぶやに若き日の姿で転生した。
 
 まさに渋谷は十月末のハロウィンでお祭り状態。孔明の中華な衣装も目立たないと言えるのだが、運悪く酔漢に絡まれてしまう。
 
「おおぅ? 何だよその格好は。ハロウィンの仮装ってモノが分かってねぇなあ!」

格好かつこつけてるんじゃねぇぞ!」

「どっかで見たことがあると思ったら、コーメイのコスプレか?」

 三人の男達おとこたちに絡まれる孔明だったが、羽毛扇を口元にあてながら涼しげにこたえる。
 
「はい。まさしくわたしは諸葛亮孔明。ところでここは地獄でしょうか?」

「はぁ? なに言ってやがる。ここは渋谷だぞ」

「シブヤ……どこの国ですかね?」

 本人はいたって真面目まじめに受け答えしているのだが、そんな孔明の態度に男の一人ひとりがキレた。
 
「日本に決まってるだろうか!」

 そう言って男は孔明に殴りかかる。
 
 しかし次の瞬間、地に倒れ伏して気絶している男の姿があった。
 
「こいつ!」

「よくも!」

 残る二人ふたりも孔明に襲いかかるが、孔明は見事な体捌たいさばきで二人をいなし、それぞれにこぶしの一撃をたたんだ。
 
 地面に転がる男達を見下ろし、孔明はつぶやく。
 
「これでも私、武術の心得がありまして。ニホンの『バリツ』というのを学んでいるのですよ」





『バリツ孔明』――完!

 三国志時代の日本は邪馬台国やまたいこくの時代で「日本」とは呼ばれてなかったですけどね。「バリツ」も『シャーロック・ホームズ』に登場する架空の日本武術ですし(^_^;)
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