junhonのパロディタイトル劇場

〇〇ラララ!!

　ある夏の日、僕のクラスに転入生がやって来た。
　
「氷室涼子ひむろりようこです。よろしくお願いします」

　そう名乗った彼女は長い銀髪に透けるような白い肌を持った美少女だった。
　
　銀髪は地毛なんだろうか？　顔立ちは日本人っぽいし、名前にも洋風な要素はない。
　
　そんな彼女は幸運にも僕の隣の席となる。
　
　そうして授業は滞りなく進んでいった。三時限目は体育で男子はプール、女子は体育館でのバスケットボールだ。
　
　水泳の授業を終え、教室に帰ってきた僕は隣の席に座っている氷室さんに違和感を覚えた。
　
　なんか背が縮んでいるような気が……着ている制服もちょっと大きめになってるぞ？
　
　気のせいかと思いながら、その日の授業は終わった。
　
　学校からの帰り道、炎天下に辟易へきえきしながら歩く僕は、アスファルトの地面が濡ぬれている事に気が付く。
　
　それはナメクジが這はった跡のように続いており、その先には子供が倒れていた。
　
　僕はその子の所まで慌てて駆け寄り、小さな身体を抱き起こす。
　
「大丈夫？　……え!?」

　腕の中の少女は10歳くらい。だが、その顔は――氷室さん!?　びっしょりと濡れた制服は確かにうちの学校のもので、ブカブカになっている。
　
「……あ、暑い」

　苦しそうにそう呟つぶやく彼女を抱きかかえ、僕はクーラーの効いたファミレスに駆け込んだ。
　
「助けていただき、ありがとうございます」

　氷の詰まったオレンジジュースを一気飲みした後、そう言って彼女は頭を下げる。
　
「あの……氷室さんなの？」

　戸惑う僕の問いに彼女は頷うなずいた。
　
「はい。実は私わたし、“つらら女”という妖怪なんです」





『ツラララ!!』――完！