幼子達と子守役のモフモフたちと

神無月

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第3章 幼子たちと子守役たちはモフモフ巡りをする

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 青の鬣の長は、巨木の幹を斜めに駆け上がっていった。枝のある位置まで登ると、今度は枝から枝へと飛び移りながら登っていった。

その間の幼子たちは、恐れるどころか大喜びで、幹を駆け抜けるスピードに歓声を上げ、どんどん遠くなる地上に目をみはった。

 「わお~ん!『すごいはやい!』」

 「ぴぃ~ぴぴっ!『すごいたかいとんだ!』」

流石にかすみでも、いまだに此処まで早く高くは飛べない。

 「あおいたてがみのおさ、しゅごいでしゅ、きにのぼってましゅ、おそらとんでましゅ~」

鬣から手を離さんばかりに興奮して身を乗り出す幼子たちに、若葉色の長はあきらめた様に身を包んだ守る力を強めた。


 ひときわ太い枝に飛び乗った青の鬣の長は、その枝元に空いた大穴の前で足を止め、再び身を伏せた。

 『幼子たち、これが空の出入り口なのである。手を離さぬかとはらはらしたが、無事に到着したのである。 若葉色の長に感謝するのである。

我は此処までであるから、あとは若葉色の長の案内に付いて行くのである。』

蒼い鬣から降りた幼子たちは、翠の耳と並ぶと青の鬣の長に向かって

 「わお~ん!『はやかった、ありがと~』」

 「ぴぃ~!『はやくたかくとんだ、ありがと』」

 「とても、たのちかったでしゅ、ありがとごじゃました。」

丁寧にお礼を述べると、手や尾を振って、戻っていく蒼い鬣を、見送った。 


 蒼い鬣の見送りを済ませ、緊張して若葉色の長に続いて穴を潜った幼子たちを、みかん色の尻尾が出迎えた。

 『いらっしゃいなのね~この先はたくさんの者が住んでるところなのね~でも、一度に全員と挨拶するのは無理なのね~

 今回はあたしが皆の分も挨拶するのね~よろしくなのね~』

ミカン色の毛玉が、にこやかにふわふわもふもふな尻尾を揺らした。

見知った尻尾のお出迎えには、幼子たちも緊張を解き、楽しそうに応えた。 

 「ぴぴっ!『みかんいろのしっぽ、こんにちは』」

 「わふっ!『みかんいろのけだま、よろしく』」

 「こにちわ、このまえ、ありがとごじゃました、たしゅかりまちた。

 それから、かってによびなちゅけて、よんで、ごめんにゃしゃい、いやならよばないでしゅ、どーしたらいいでしゅか?」

しずくがきちんとお伺いを立てると、ふわもふな尻尾で幼子たちをなでなでして、

 『みかん色とはこの色のことなのね?ならその名で呼ばれたいなのね~この尻尾は、色も形もお気に入りなのね~』

みかん色の尻尾は、快く呼び名を受け取った。


 みかん色のしっぽを先頭に、幼子たちと若葉色の長は進んでいった。

 「ここに、きたこと、ありまちたか?ん~でもなんかちまう?」

穴の先が、どこかで見たような違うような景色で、しずくが戸惑っていると、早速辺りを駆け回って

 「わふ~っ!『すこしせまい?』」と、ゆきが広場と道を検分し、

 「ぴぃ~!『くうどーちいさい?』」と、かすみは壁面の洞穴入り口を検分していた。

 「あ~、おへやにょ、いりくち、ちかくに、いっぱいありましゅね~むこうの、かべも、ちかいでしゅかね?」

しずくも違和感の正体に気付いたところで、若葉色の長が話し始めた。

 『ふむ、よく見ている、正解だ。この辺まで登ると、巨木内のうろ自体が狭まっていて、その分道や広場も少し狭い。

 ふ~む、空洞の入口がこのあたりに多く感じるか、確かにうろの上部は、どこも空洞の数が多い。』

 『うろの上部では、空洞も狭くて、たぶんその分だけ数が多いなのね~しかも、道から外れたところに空いた入り口も割とあるなのね~ほらあそこにもなのね~』

続けてみかん色の尻尾が補足説明して指示したのは、道から上った壁面の途中だった。



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