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それぞれの後日談 (中)side アメリア
アメリアはレンによってそのまま抱き抱えらる様にして冒険者ギルドの建物に連れて行かれた。レンは受付にいるリリーに何やら耳打ちをして、アメリアはリリーへと引き渡された。
マズイ、冒険者にはなれないのかも?
性別詐称は違反だったか、と焦ったが、リリーに手を引かれて行った先は風呂場だった。
おぉ~!お風呂があるっ。
この世界に生まれてからお風呂に入ったのは母が亡くなる前までだった。しかも本格的なお風呂ではなくタライの様な物に湯を入れただけの簡易的なものであった。久しぶりのお風呂に喜んでいたアメリアは、リリーの手によってあれよあれという間にワシャワシャと洗われていった。
そうしてお風呂から出たアメリアはリリーに用意してもらった服を着た。
見たところ女冒険者が着るような格好かな。新しい服のようだけどきっとお金を取られるんだよねぇ。手持ちで足りるかな。
「あのっ、リリー、さん?」
もし高い金額を請求されたら今すぐ脱いで返そう、と心に決めたアメリアは恐る恐る扉の外で待つリリーに声を掛けた。
『リリー!コイツ、女だった。取り敢えず風呂に入れてやってくれ。服代は俺が出す、、、下着も。終わったら話を聞くから下で待ってる。』
訓練場で模擬試合をしていた筈のレンが大慌てでアリ君を抱き抱えて受付のリリーの所まで戻ってきた。
大怪我でもさせたのか、と思って焦ったが、レンが耳打ちした言葉は意外なものだった。
アリ君が女の子?
確かに十六歳にしては背も低く声もやや高めだった。ボサボサの髪で目元は見えないのもあったが、元の色が何色だったのかも分からない様な服装のアリ君はどう見ても女の子には見えなかった。
けれど風呂場に連れて行って、湯をかけ頭や体を洗ってみれば痩せてガリガリだったが、ささやかながら胸はあるし確かに女の子だった。
ある程度洗ったら後は自分で、と言ってリリーは着替えを下に取りに行った。そして他の職員に頼んであった冒険者用の服と下着を受け取ると風呂場の隅に置いて外で待った。
『あのっ、リリー、さん?』
扉が開く音と心細げな声に振り返ってリリーは固まった。
かわっ、可愛い!!
遠慮がちに扉から出てきた彼女はどこから見ても女の子だった。確かに手入れのされていない赤みの強い金髪はくすんでいてパサパサしている。肌だって同年齢の女の子たちに比べればガサガサしているだろう。
けれど、髪を洗って前髪を横に分けた事で表に出た顔は可愛い、の一言に尽きる顔立ちだった。
翠色の大きな瞳にパサリと伸びた長いまつ毛がややつり目がちな瞳を愛らしく見せている。そしてすっと通った鼻筋に赤く小ぶりな唇。荒れてはいるけれど透き通った白い肌に風呂上がりのせいか、ほんのりとピンク色に染まった頬。
そこにはS級冒険者のレンに怯む事なく向かっていった男の子のアリ君はどこにもなかった。
そして同時にリリーは彼女が何故、性別を偽ったのかを理解した。
こんな可愛い子が一人で冒険者をやるなんて危険過ぎるものっ!
少し困っている様な怯えている様にも見えるアメリアに庇護欲を唆られて、リリーは思わず彼女を抱きしめていた。
そして驚いたのはリリーだけでは無い。下の応接室を借りて待っていたレンも顎が外れるかと思うぐらいに大きな口をポカンと開けて固まっていた。
誰だ、これ?
あの生意気なガキがこれになるのか?
目の前の美少女は固まっているレンに怪訝そうな顔をした後、隣に座ったリリーに話しかけている。
「あのっ、この服代はいくらですか?高かったら返品した「俺が払うっ。」ー」
少女の言葉に食い気味に言ったのは無意識だった。
「・・・いえっ、結構です。」
にべも無い返事に心の中で舌打ちをする。確かにお互いの第一印象は最悪だったとは思う。思うがこの態度はなんだ。
コイツは警戒心の強い野良猫かっ。
アメリアからしたら自分に対して失礼な態度だった男から無料で貰うなんて『タダより怖いものはなし』というやつだ。ホイホイと受け取る訳にはいかない。
「お前の服を破って着られなくしたのは俺だ。だから気にするな。」
そうぶっきらぼうに言われれば、アメリアも少し考えて『それもそうだな。』と納得して受け取る事にした。
「えーっと、それで、アリちゃん?それとも名前は別にあるのかしら?性別を直さないといけないから名前が別にあるなら一緒に修正するけど?」
リリーが遠慮がちに聞いてきたので、アメリアは思案する。
どうやら性別詐称ぐらいでは登録取り消しにはならないらしい。アメリアはホッとしながら考える。女とバレたならアリと名乗る必要はない。
しかしアメリアと名乗るのは止めておいた方がいいか。ならソフィーに呼ばれていた名前にしよう!
「じゃあリアでお願いします。」
「リアちゃんね、分かったわ。他に変更するところはある?歳は十六歳で大丈夫かしら?」
「十六っ?」
リリーの言葉に何故だか目の前の男が大袈裟に反応する。
一体、さっきから何なんだ。この男は!
初対面が最悪だったのだから、アメリアがそう思ってしまうのは当然だった。
一方のレンはアメリアの年齢を聞いて今日何度目かの驚きだ。小柄で貧相だったガキを見て歳の頃はせいぜい十二、三だと決めつけていた。だからこそ年端もいかないガキの浅はかな考えを叩き直そうと思ったのだ。
それが実は女で十六歳だと?俺の国では立派な成人女性なんだが?
そんな風に驚いているとリアとリリーはどんどんと話を進めていた。
「えーと、それでねリアちゃん。冒険者登録は済んだし一応?初級者講習の模擬試合も終わったから後は座学をニ、三回受けるだけなんだけどね。
リアちゃんの場合、三ヶ月ぐらいは指導担当者か先輩冒険者と一緒に依頼を受けた方が良いと思うの。」
それは必須の事ではないが、このリアを見たら悪い輩が寄って来るのは目に見えている。それに冒険者に成り立ての者が先輩冒険者と行動を共にするのはよくある事だった。
「え?指導担当者と、一緒に?」
冒険者が依頼を受ける様になってもまだ一人一人に指導担当者がつくの?
そんな疑問がアメリアに浮かんだが、それがルールなら仕方がない。リリーさんに返事をする前に、またしても目の前の男が刺すような視線をアメリアに向けながら偉そうに言い切った。
「俺がリアの指導担当者になる。」
えぇ~?なんで?
この人、私の事が気に入らないんでしょ?
まさか冒険者を辞めさせようと付き纏う気なの?しかも呼び捨てだし。
お互い第一印象は最悪だったのだ。一緒に行動するなど絶対無理だろう。
そう思ったアメリアの気持ちはしっかりと表情に出ており、それはリリーにもレンにも見て取れた。
勿論、リリーにはレンの気持ちの変化などあからさま過ぎて、笑ってしまいそうになるのを堪えている。
レンはそんなリリーの様子に舌打ちをしたいのを我慢する。あの時のリアの言動を不愉快に思ったのは事実だが、確かにレンの態度も褒められたものではなかったのも事実なのだ。
しかも不愉快に思って調子に乗ったガキの鼻っ柱を折ろうとしたら、油断して8歳も下の冒険者になったばかりの子どもに投げられたのだ。S級冒険者が、だ。
更にはそのガキが実は少女だったのだから目も当てられない。
一体、どうなっているんだ!?
と叫び出したい気持ちとこの警戒心の強い少女から目を離してはいけないという気持ちでレン自身も戸惑っていた。
「あぁ~、そうですねぇ。レンさんが指導担当になってくれたら安心ですね。
リアちゃん、レンさんはリアちゃんが思っているよりも後輩には優しくて面倒見が良い人よ。だからレンさんにお願いしましょう!」
リリーの微妙な援護射撃はそれでも有効だった様で、渋々アメリアも了承したのだった。
レンを投げ飛ばしたサラシ姿のリアを見ていた者も大勢居た為、冒険者たちの間でも大騒ぎになっていたが、更に本当のリアを見て皆、絶句した。
当然、アメリアに近づきたい男どもは掃いて捨てる程居たのだが、レンとの模擬試合を見ている者は迂闊に手出しは出来ない、と知っている。
何よりアメリアの指導担当者となったレンがリアの後ろで魔王の如く睨みを効かしているのだから、アメリアに近寄る命知らずは滅多に居なかった。
アメリアも後に『何故、レンが初対面であんな態度を取ったのか?』とリリーからそれとなく聞かされて、自分の失言をちょっとだけ反省した。それからはほんの少しだけレンとアメリアの関係はマシになった、と思っている。
それから約三ヶ月。依頼も無事にこなせる様になったアメリアは受付に居るリリーに声を掛けた。
レンの丁寧な指導のお陰で一番下のF級からE級冒険者へと上がり、短剣もそれなりに扱える様になっていた。
「あの、リリーさん。私、そろそろこの国を離れようと思うんですが、移動するならどこの国がいいですかね?」
アメリアは何も考えず気軽にリリーに声を掛けた。けれどリアの突然の爆弾発言に笑顔だったリリーは固まった。そして直ぐに我に帰ったリリーによってアメリアは応接室に連れて行かれた。
「リ、リアちゃん?さっき言った事は本気なのかな?」
リリーが何をそんなに焦っているのか、アメリアにはさっぱり分からない。
この三ヶ月、この冒険者ギルドを拠点として依頼を受けていたが、拠点を移る冒険者は多い。国外に出る者は多くは無いかも知れないけれど、冒険者が国中を渡り歩くのはよくある事だ。
「はい。旅費も貯まったので他の国へ行こうと思っています。」
「こ、この事はレンさんには相談したのかしら?」
「え?レンさんですか?別に相談してませんけど?」
焦るリリーにアメリアが答えた瞬間、応接室の扉が大きな音を立てて開いた。
「リア。お前が此処を離れる、と野郎どもが騒いでいたが?」
魔王だ!魔王が怒りのオーラ全開で立っている!
リリーには黒い笑顔のレンが魔王にしか見えなかった。心なしか殺気の様なものも漏れ出ている気がする。
「そうですよ?それで今、リリーさんにお薦めの国を聞いているところです。」
鈍いのか、大物なのか?レンのどす黒オーラも殺気にも臆する事なくアメリアは平然と答える。
「冒険者になってまだ三ヶ月だ!俺に相談もなく何故、この国を出ようとするんだ?」
ツカツカと部屋の中に入って、アメリアの正面に座るレンに、リリーは『怖いから隣に座らないで欲しい』と強く思う。そしてリアに『これ以上、レンを刺激しないで。』とも。
「えっ?指導担当って三ヶ月ぐらいまでですよね?この国を出る事が決まったらレンさんにも報告しようと思っていましたけど?」
アメリアにとってはレンはあくまで指導担当者だった。冒険者の心得から実践まで丁寧に指導してくれた事は感謝している。依頼の時以外も四六時中、一緒に行動しなければいけないのは面倒ではあったけれど。
「リ、リアちゃん?なんでそんなに急いでこの国を出て行きたいの?国内の他のギルドに移動するのも良いと思うんだけど?」
「国内、、、あー、、、、。」
アメリアはリリーの言葉に気まずそうに目を逸らす。
確かに国内の他の拠点に移動するのも良いかもしれない。けれど、冒険者登録をした日に有名人のS級冒険者のレンを投げ飛ばしたリアはちょっとした有名人になってしまっていた。
ギルドの建物で他所から来た知らない冒険者に声を掛けられる事も多かったのだ。
『お、君が噂のリアちゃんだろ?』
と。そしてレンが側に居ないのを見て取るとコソっと聞いてくるのだ。
『S級のレンを投げ飛ばしたんだって。』
そんな風に声を掛けられたのは一度や二度では無い。有名人になっているのはアメリアの容姿も関係はあるのだが、レンの前でアメリアを口説く命知らずは居ない。大抵、リアの背後には魔王がいるのだから。
それでも何とかリアに話しかけたい者たちが、先ず最初に言ってくるのがレンを投げ飛ばした話だった。後からレンの知るところとなっても" 口説いていた "と思われないように。
リアの容姿も含めての有名人である事を知らないアメリアは、母国から出たとはいえ、隣国の冒険者たちの間で有名人になっている事に危機感を覚え始めていた。
もし、ディバイン公爵が人を雇って私を探すなら冒険者ギルドに依頼する事もあるんじゃない?
リアと名乗っているし髪色もアメリアは公爵によく似ていた。だから早めにこの国をでた方が良いかも知れないと思ったのだ。
「えーとね、リアちゃん。この国を出なきゃいけない理由があるなら教えてくれないかな?協力出来る事があれば力にもなるし。」
本人は全くの無自覚だが、しっかりしているようでどこか抜けていてちょっと残念なところのあるリアの事をリリーは気に入っていた。気に入っているというよりも勝手に妹の様に思っているというべきかも知れない。
そんな事を思われているとは知らないアメリアは思案する。自分の事情はあまり話たくはない。
しかし、リリーは冒険者ギルドの受付嬢だ。もし、自分を探す依頼がギルドに回ってきたら気づくかも知れない。気付かなかったとしても手配書の様に依頼用の掲示板に貼り付けられたら誰かが気づくかも知れない。
それなら多少の事情を話して『協力する』という言葉を信じて、依頼書を揉み消して貰う事も出来るかも?
そんな打算でアメリアは自分の事情を話す事にした。
「実は私は隣のロレアル国出身なんですけど、家の借金返済の為に60過ぎの男の後妻にと、親に売られるところだったんです。それで話を聞いたその日の内に家出してこの国に逃げて来たんです。」
よし、嘘は言ってないよね。嘘に真実を混ぜて相手を納得させる、なんて手を使っているのをドラマや小説で読んだけど、その嘘設定を覚えてられなさそうなんだよねぇ。
だったら本当の事を少し端折って伝えた方がいいでしょ。
「リアちゃんっ!そんな事があったなんて!辛かったわね。」
リリーさんが身を乗り出してアメリアの手を握ってくる。目には薄らと涙まで見える。
別に同情してもらおうと思った訳じゃないんだけどなぁ。
アメリアとしては母の死は悲しかったが、それ以外は辛いと思う事も特になかった。けれど、やはり世間一般としては同情を誘う話ではあるのだろう。
「親は支度金という名目でお金を既に受け取っていたので、もしかしたら私を探しているかも知れないんです。
レンさんが有名人だった所為で駆け出し冒険者の私も何故だか注目を集めてしまいました。
万が一、ロレアル国にまで噂が広がったり、ギルドに捜索依頼が掛かった時の為に、もっと遠くに行っておきたいんです。
それにあちこちの国を旅するのが夢だったんですよねぇ。」
「「・・・・・・・・・・・・・・。」」
アメリアはこれ以上、同情されても困るので最後はヘラリと笑って言ったが何故か二人とも黙ったままだ。
違うのっ!レンさんが有名人ってだけじゃなくて、リアちゃんが美少女冒険者だから有名なのよ!
俺の所為じゃなくてお前の容姿の所為だろっ!
二人はそれぞれそう思ったが、自分の容姿を全く気にしていないリアには言っても無駄だと知っている。
しかし、そんな理由があったのではリアがこの地を離れたがるのも無理はないと二人も結論付ける。けれど、、、。
「よし、分かった。俺もリアと一緒に拠点を移動する。」
「え、結構です。」
三ヶ月かけて野良猫を手懐けてきたつもりのレンだったが、アメリアはあっさりと断る。
だって一緒に旅をする理由など無いから。
「いや、お前の最初の指導担当者として、リアが一人前の冒険者になるまで責任を持って見守る義務が俺にはある!」
レンがあまりにも当たり前のようにキッパリと言い切るので、指導担当者とはそういうものなのか、と隣に座るリリーにアメリアは視線を向ける。
当然、そんな事は無いのだが、隣に座る魔王の圧が強すぎて、リリーは思わず首振り人形の様に何度も頷いた。
「そうですか。レンさんは他の国とかにも詳しいのですか?」
アメリアはいまいち納得出来ない様な表情を浮かべながらもレンに視線を戻して尋ねた。
「あぁ、この辺りの周辺国には行っているし立ち寄った冒険者ギルドも多い。それに観光名所も殆ど行った事があるから道案内も出来る。
S級冒険者には様々な特典もあるから利用しない手はないぞ。」
レンはそれはにこやかな笑顔で自分と一緒なら良い思いが出来るぞ、とプレゼンの如くアピールをする。
どうせ誰かと一緒に行動しなければいけないなら知り合いの方が良いかな。
「分かりました。一人前になるまでよろしくお願いします。」
リアは考え直してレンに頭を下げた。
警戒心は強いが、世間知らずのリアはこういう所が妙に素直というか何というか。
リリーがリアの仕事以上にリアに肩入れしてしまうのはこういう所だ、とリアの返事に途端に機嫌の良くなった隣の魔王をリリーはチラリと見て思う。
けれどレンが一緒ならばリアの安全は保証されたも同然だ。
それにこの魔王もリアの嫌がる事はしない筈だ。例えジワジワと外堀が埋められていこうとも悪い様にはしない、とそう思う。
いや、そうだと信じるしかない。
リリーも自分をそう納得させて旅に必要な準備について、リアにせっせとレクチャーする事にした。
こうしてリアとレンは二人で冒険者をしながら旅をする事になった。
レンはこの頃にはリアへの想いを自覚していたが、同時にリアの性格も理解しつつあった。そしてリアがレンを指導担当者としか見ていない事も。
だから旅をしながらリアが何を好み嫌がるのかをじっくり観察し、少しづつリアの信頼を獲得していった。
三カ国目に入った頃にレンはあくまでさりげなくリアに言った。
「リア、俺たち付き合わないか?」
一つの国に長く居ても半年ほど。腕が鈍らない程度に依頼を受けて、観光して。四六時中一緒に居る二人に割って入る者も居ない。
リアにとって親しくしている異性はレンぐらいだ。レンが意図的にそうしている部分もあったが、リアも特段、他の男に興味を持つ事もなかった。
勝算があるかと言われれば半々か、とも思ったがダメならダメで機を見て何度も言えばいい、そう思っての告白だった。そろそろレンも色々と限界だったのだ。
「え?私とレンが?」
この頃になるとアメリアもレンを呼び捨てにするほどには気を許していた。異性として好きか、と問われればそこまででは、という程度だった。
けれども告白を断るという選択肢は思い浮かばない程度には、アメリアなりにレンに好意はあったのだろう。
それに平民同士の付き合いならば、貴族のような結婚を前提に、という事もなく、振った振られたを繰り返す様なラフな付き合い方だろう、とアメリアは思っていた。
そう、前世の十代の彼氏彼女の感覚で。
「うん。いいよ。」
だからアメリアは軽い気持ちで答えてしまった。
その選択がアメリアの人生最大の選択になってしまうとは思いもよらないで。
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この作品を読んで下さりありがとうございます。
そしてHOT女性向けランキング4位ありがとうございます。(5/14現在)
マズイ、冒険者にはなれないのかも?
性別詐称は違反だったか、と焦ったが、リリーに手を引かれて行った先は風呂場だった。
おぉ~!お風呂があるっ。
この世界に生まれてからお風呂に入ったのは母が亡くなる前までだった。しかも本格的なお風呂ではなくタライの様な物に湯を入れただけの簡易的なものであった。久しぶりのお風呂に喜んでいたアメリアは、リリーの手によってあれよあれという間にワシャワシャと洗われていった。
そうしてお風呂から出たアメリアはリリーに用意してもらった服を着た。
見たところ女冒険者が着るような格好かな。新しい服のようだけどきっとお金を取られるんだよねぇ。手持ちで足りるかな。
「あのっ、リリー、さん?」
もし高い金額を請求されたら今すぐ脱いで返そう、と心に決めたアメリアは恐る恐る扉の外で待つリリーに声を掛けた。
『リリー!コイツ、女だった。取り敢えず風呂に入れてやってくれ。服代は俺が出す、、、下着も。終わったら話を聞くから下で待ってる。』
訓練場で模擬試合をしていた筈のレンが大慌てでアリ君を抱き抱えて受付のリリーの所まで戻ってきた。
大怪我でもさせたのか、と思って焦ったが、レンが耳打ちした言葉は意外なものだった。
アリ君が女の子?
確かに十六歳にしては背も低く声もやや高めだった。ボサボサの髪で目元は見えないのもあったが、元の色が何色だったのかも分からない様な服装のアリ君はどう見ても女の子には見えなかった。
けれど風呂場に連れて行って、湯をかけ頭や体を洗ってみれば痩せてガリガリだったが、ささやかながら胸はあるし確かに女の子だった。
ある程度洗ったら後は自分で、と言ってリリーは着替えを下に取りに行った。そして他の職員に頼んであった冒険者用の服と下着を受け取ると風呂場の隅に置いて外で待った。
『あのっ、リリー、さん?』
扉が開く音と心細げな声に振り返ってリリーは固まった。
かわっ、可愛い!!
遠慮がちに扉から出てきた彼女はどこから見ても女の子だった。確かに手入れのされていない赤みの強い金髪はくすんでいてパサパサしている。肌だって同年齢の女の子たちに比べればガサガサしているだろう。
けれど、髪を洗って前髪を横に分けた事で表に出た顔は可愛い、の一言に尽きる顔立ちだった。
翠色の大きな瞳にパサリと伸びた長いまつ毛がややつり目がちな瞳を愛らしく見せている。そしてすっと通った鼻筋に赤く小ぶりな唇。荒れてはいるけれど透き通った白い肌に風呂上がりのせいか、ほんのりとピンク色に染まった頬。
そこにはS級冒険者のレンに怯む事なく向かっていった男の子のアリ君はどこにもなかった。
そして同時にリリーは彼女が何故、性別を偽ったのかを理解した。
こんな可愛い子が一人で冒険者をやるなんて危険過ぎるものっ!
少し困っている様な怯えている様にも見えるアメリアに庇護欲を唆られて、リリーは思わず彼女を抱きしめていた。
そして驚いたのはリリーだけでは無い。下の応接室を借りて待っていたレンも顎が外れるかと思うぐらいに大きな口をポカンと開けて固まっていた。
誰だ、これ?
あの生意気なガキがこれになるのか?
目の前の美少女は固まっているレンに怪訝そうな顔をした後、隣に座ったリリーに話しかけている。
「あのっ、この服代はいくらですか?高かったら返品した「俺が払うっ。」ー」
少女の言葉に食い気味に言ったのは無意識だった。
「・・・いえっ、結構です。」
にべも無い返事に心の中で舌打ちをする。確かにお互いの第一印象は最悪だったとは思う。思うがこの態度はなんだ。
コイツは警戒心の強い野良猫かっ。
アメリアからしたら自分に対して失礼な態度だった男から無料で貰うなんて『タダより怖いものはなし』というやつだ。ホイホイと受け取る訳にはいかない。
「お前の服を破って着られなくしたのは俺だ。だから気にするな。」
そうぶっきらぼうに言われれば、アメリアも少し考えて『それもそうだな。』と納得して受け取る事にした。
「えーっと、それで、アリちゃん?それとも名前は別にあるのかしら?性別を直さないといけないから名前が別にあるなら一緒に修正するけど?」
リリーが遠慮がちに聞いてきたので、アメリアは思案する。
どうやら性別詐称ぐらいでは登録取り消しにはならないらしい。アメリアはホッとしながら考える。女とバレたならアリと名乗る必要はない。
しかしアメリアと名乗るのは止めておいた方がいいか。ならソフィーに呼ばれていた名前にしよう!
「じゃあリアでお願いします。」
「リアちゃんね、分かったわ。他に変更するところはある?歳は十六歳で大丈夫かしら?」
「十六っ?」
リリーの言葉に何故だか目の前の男が大袈裟に反応する。
一体、さっきから何なんだ。この男は!
初対面が最悪だったのだから、アメリアがそう思ってしまうのは当然だった。
一方のレンはアメリアの年齢を聞いて今日何度目かの驚きだ。小柄で貧相だったガキを見て歳の頃はせいぜい十二、三だと決めつけていた。だからこそ年端もいかないガキの浅はかな考えを叩き直そうと思ったのだ。
それが実は女で十六歳だと?俺の国では立派な成人女性なんだが?
そんな風に驚いているとリアとリリーはどんどんと話を進めていた。
「えーと、それでねリアちゃん。冒険者登録は済んだし一応?初級者講習の模擬試合も終わったから後は座学をニ、三回受けるだけなんだけどね。
リアちゃんの場合、三ヶ月ぐらいは指導担当者か先輩冒険者と一緒に依頼を受けた方が良いと思うの。」
それは必須の事ではないが、このリアを見たら悪い輩が寄って来るのは目に見えている。それに冒険者に成り立ての者が先輩冒険者と行動を共にするのはよくある事だった。
「え?指導担当者と、一緒に?」
冒険者が依頼を受ける様になってもまだ一人一人に指導担当者がつくの?
そんな疑問がアメリアに浮かんだが、それがルールなら仕方がない。リリーさんに返事をする前に、またしても目の前の男が刺すような視線をアメリアに向けながら偉そうに言い切った。
「俺がリアの指導担当者になる。」
えぇ~?なんで?
この人、私の事が気に入らないんでしょ?
まさか冒険者を辞めさせようと付き纏う気なの?しかも呼び捨てだし。
お互い第一印象は最悪だったのだ。一緒に行動するなど絶対無理だろう。
そう思ったアメリアの気持ちはしっかりと表情に出ており、それはリリーにもレンにも見て取れた。
勿論、リリーにはレンの気持ちの変化などあからさま過ぎて、笑ってしまいそうになるのを堪えている。
レンはそんなリリーの様子に舌打ちをしたいのを我慢する。あの時のリアの言動を不愉快に思ったのは事実だが、確かにレンの態度も褒められたものではなかったのも事実なのだ。
しかも不愉快に思って調子に乗ったガキの鼻っ柱を折ろうとしたら、油断して8歳も下の冒険者になったばかりの子どもに投げられたのだ。S級冒険者が、だ。
更にはそのガキが実は少女だったのだから目も当てられない。
一体、どうなっているんだ!?
と叫び出したい気持ちとこの警戒心の強い少女から目を離してはいけないという気持ちでレン自身も戸惑っていた。
「あぁ~、そうですねぇ。レンさんが指導担当になってくれたら安心ですね。
リアちゃん、レンさんはリアちゃんが思っているよりも後輩には優しくて面倒見が良い人よ。だからレンさんにお願いしましょう!」
リリーの微妙な援護射撃はそれでも有効だった様で、渋々アメリアも了承したのだった。
レンを投げ飛ばしたサラシ姿のリアを見ていた者も大勢居た為、冒険者たちの間でも大騒ぎになっていたが、更に本当のリアを見て皆、絶句した。
当然、アメリアに近づきたい男どもは掃いて捨てる程居たのだが、レンとの模擬試合を見ている者は迂闊に手出しは出来ない、と知っている。
何よりアメリアの指導担当者となったレンがリアの後ろで魔王の如く睨みを効かしているのだから、アメリアに近寄る命知らずは滅多に居なかった。
アメリアも後に『何故、レンが初対面であんな態度を取ったのか?』とリリーからそれとなく聞かされて、自分の失言をちょっとだけ反省した。それからはほんの少しだけレンとアメリアの関係はマシになった、と思っている。
それから約三ヶ月。依頼も無事にこなせる様になったアメリアは受付に居るリリーに声を掛けた。
レンの丁寧な指導のお陰で一番下のF級からE級冒険者へと上がり、短剣もそれなりに扱える様になっていた。
「あの、リリーさん。私、そろそろこの国を離れようと思うんですが、移動するならどこの国がいいですかね?」
アメリアは何も考えず気軽にリリーに声を掛けた。けれどリアの突然の爆弾発言に笑顔だったリリーは固まった。そして直ぐに我に帰ったリリーによってアメリアは応接室に連れて行かれた。
「リ、リアちゃん?さっき言った事は本気なのかな?」
リリーが何をそんなに焦っているのか、アメリアにはさっぱり分からない。
この三ヶ月、この冒険者ギルドを拠点として依頼を受けていたが、拠点を移る冒険者は多い。国外に出る者は多くは無いかも知れないけれど、冒険者が国中を渡り歩くのはよくある事だ。
「はい。旅費も貯まったので他の国へ行こうと思っています。」
「こ、この事はレンさんには相談したのかしら?」
「え?レンさんですか?別に相談してませんけど?」
焦るリリーにアメリアが答えた瞬間、応接室の扉が大きな音を立てて開いた。
「リア。お前が此処を離れる、と野郎どもが騒いでいたが?」
魔王だ!魔王が怒りのオーラ全開で立っている!
リリーには黒い笑顔のレンが魔王にしか見えなかった。心なしか殺気の様なものも漏れ出ている気がする。
「そうですよ?それで今、リリーさんにお薦めの国を聞いているところです。」
鈍いのか、大物なのか?レンのどす黒オーラも殺気にも臆する事なくアメリアは平然と答える。
「冒険者になってまだ三ヶ月だ!俺に相談もなく何故、この国を出ようとするんだ?」
ツカツカと部屋の中に入って、アメリアの正面に座るレンに、リリーは『怖いから隣に座らないで欲しい』と強く思う。そしてリアに『これ以上、レンを刺激しないで。』とも。
「えっ?指導担当って三ヶ月ぐらいまでですよね?この国を出る事が決まったらレンさんにも報告しようと思っていましたけど?」
アメリアにとってはレンはあくまで指導担当者だった。冒険者の心得から実践まで丁寧に指導してくれた事は感謝している。依頼の時以外も四六時中、一緒に行動しなければいけないのは面倒ではあったけれど。
「リ、リアちゃん?なんでそんなに急いでこの国を出て行きたいの?国内の他のギルドに移動するのも良いと思うんだけど?」
「国内、、、あー、、、、。」
アメリアはリリーの言葉に気まずそうに目を逸らす。
確かに国内の他の拠点に移動するのも良いかもしれない。けれど、冒険者登録をした日に有名人のS級冒険者のレンを投げ飛ばしたリアはちょっとした有名人になってしまっていた。
ギルドの建物で他所から来た知らない冒険者に声を掛けられる事も多かったのだ。
『お、君が噂のリアちゃんだろ?』
と。そしてレンが側に居ないのを見て取るとコソっと聞いてくるのだ。
『S級のレンを投げ飛ばしたんだって。』
そんな風に声を掛けられたのは一度や二度では無い。有名人になっているのはアメリアの容姿も関係はあるのだが、レンの前でアメリアを口説く命知らずは居ない。大抵、リアの背後には魔王がいるのだから。
それでも何とかリアに話しかけたい者たちが、先ず最初に言ってくるのがレンを投げ飛ばした話だった。後からレンの知るところとなっても" 口説いていた "と思われないように。
リアの容姿も含めての有名人である事を知らないアメリアは、母国から出たとはいえ、隣国の冒険者たちの間で有名人になっている事に危機感を覚え始めていた。
もし、ディバイン公爵が人を雇って私を探すなら冒険者ギルドに依頼する事もあるんじゃない?
リアと名乗っているし髪色もアメリアは公爵によく似ていた。だから早めにこの国をでた方が良いかも知れないと思ったのだ。
「えーとね、リアちゃん。この国を出なきゃいけない理由があるなら教えてくれないかな?協力出来る事があれば力にもなるし。」
本人は全くの無自覚だが、しっかりしているようでどこか抜けていてちょっと残念なところのあるリアの事をリリーは気に入っていた。気に入っているというよりも勝手に妹の様に思っているというべきかも知れない。
そんな事を思われているとは知らないアメリアは思案する。自分の事情はあまり話たくはない。
しかし、リリーは冒険者ギルドの受付嬢だ。もし、自分を探す依頼がギルドに回ってきたら気づくかも知れない。気付かなかったとしても手配書の様に依頼用の掲示板に貼り付けられたら誰かが気づくかも知れない。
それなら多少の事情を話して『協力する』という言葉を信じて、依頼書を揉み消して貰う事も出来るかも?
そんな打算でアメリアは自分の事情を話す事にした。
「実は私は隣のロレアル国出身なんですけど、家の借金返済の為に60過ぎの男の後妻にと、親に売られるところだったんです。それで話を聞いたその日の内に家出してこの国に逃げて来たんです。」
よし、嘘は言ってないよね。嘘に真実を混ぜて相手を納得させる、なんて手を使っているのをドラマや小説で読んだけど、その嘘設定を覚えてられなさそうなんだよねぇ。
だったら本当の事を少し端折って伝えた方がいいでしょ。
「リアちゃんっ!そんな事があったなんて!辛かったわね。」
リリーさんが身を乗り出してアメリアの手を握ってくる。目には薄らと涙まで見える。
別に同情してもらおうと思った訳じゃないんだけどなぁ。
アメリアとしては母の死は悲しかったが、それ以外は辛いと思う事も特になかった。けれど、やはり世間一般としては同情を誘う話ではあるのだろう。
「親は支度金という名目でお金を既に受け取っていたので、もしかしたら私を探しているかも知れないんです。
レンさんが有名人だった所為で駆け出し冒険者の私も何故だか注目を集めてしまいました。
万が一、ロレアル国にまで噂が広がったり、ギルドに捜索依頼が掛かった時の為に、もっと遠くに行っておきたいんです。
それにあちこちの国を旅するのが夢だったんですよねぇ。」
「「・・・・・・・・・・・・・・。」」
アメリアはこれ以上、同情されても困るので最後はヘラリと笑って言ったが何故か二人とも黙ったままだ。
違うのっ!レンさんが有名人ってだけじゃなくて、リアちゃんが美少女冒険者だから有名なのよ!
俺の所為じゃなくてお前の容姿の所為だろっ!
二人はそれぞれそう思ったが、自分の容姿を全く気にしていないリアには言っても無駄だと知っている。
しかし、そんな理由があったのではリアがこの地を離れたがるのも無理はないと二人も結論付ける。けれど、、、。
「よし、分かった。俺もリアと一緒に拠点を移動する。」
「え、結構です。」
三ヶ月かけて野良猫を手懐けてきたつもりのレンだったが、アメリアはあっさりと断る。
だって一緒に旅をする理由など無いから。
「いや、お前の最初の指導担当者として、リアが一人前の冒険者になるまで責任を持って見守る義務が俺にはある!」
レンがあまりにも当たり前のようにキッパリと言い切るので、指導担当者とはそういうものなのか、と隣に座るリリーにアメリアは視線を向ける。
当然、そんな事は無いのだが、隣に座る魔王の圧が強すぎて、リリーは思わず首振り人形の様に何度も頷いた。
「そうですか。レンさんは他の国とかにも詳しいのですか?」
アメリアはいまいち納得出来ない様な表情を浮かべながらもレンに視線を戻して尋ねた。
「あぁ、この辺りの周辺国には行っているし立ち寄った冒険者ギルドも多い。それに観光名所も殆ど行った事があるから道案内も出来る。
S級冒険者には様々な特典もあるから利用しない手はないぞ。」
レンはそれはにこやかな笑顔で自分と一緒なら良い思いが出来るぞ、とプレゼンの如くアピールをする。
どうせ誰かと一緒に行動しなければいけないなら知り合いの方が良いかな。
「分かりました。一人前になるまでよろしくお願いします。」
リアは考え直してレンに頭を下げた。
警戒心は強いが、世間知らずのリアはこういう所が妙に素直というか何というか。
リリーがリアの仕事以上にリアに肩入れしてしまうのはこういう所だ、とリアの返事に途端に機嫌の良くなった隣の魔王をリリーはチラリと見て思う。
けれどレンが一緒ならばリアの安全は保証されたも同然だ。
それにこの魔王もリアの嫌がる事はしない筈だ。例えジワジワと外堀が埋められていこうとも悪い様にはしない、とそう思う。
いや、そうだと信じるしかない。
リリーも自分をそう納得させて旅に必要な準備について、リアにせっせとレクチャーする事にした。
こうしてリアとレンは二人で冒険者をしながら旅をする事になった。
レンはこの頃にはリアへの想いを自覚していたが、同時にリアの性格も理解しつつあった。そしてリアがレンを指導担当者としか見ていない事も。
だから旅をしながらリアが何を好み嫌がるのかをじっくり観察し、少しづつリアの信頼を獲得していった。
三カ国目に入った頃にレンはあくまでさりげなくリアに言った。
「リア、俺たち付き合わないか?」
一つの国に長く居ても半年ほど。腕が鈍らない程度に依頼を受けて、観光して。四六時中一緒に居る二人に割って入る者も居ない。
リアにとって親しくしている異性はレンぐらいだ。レンが意図的にそうしている部分もあったが、リアも特段、他の男に興味を持つ事もなかった。
勝算があるかと言われれば半々か、とも思ったがダメならダメで機を見て何度も言えばいい、そう思っての告白だった。そろそろレンも色々と限界だったのだ。
「え?私とレンが?」
この頃になるとアメリアもレンを呼び捨てにするほどには気を許していた。異性として好きか、と問われればそこまででは、という程度だった。
けれども告白を断るという選択肢は思い浮かばない程度には、アメリアなりにレンに好意はあったのだろう。
それに平民同士の付き合いならば、貴族のような結婚を前提に、という事もなく、振った振られたを繰り返す様なラフな付き合い方だろう、とアメリアは思っていた。
そう、前世の十代の彼氏彼女の感覚で。
「うん。いいよ。」
だからアメリアは軽い気持ちで答えてしまった。
その選択がアメリアの人生最大の選択になってしまうとは思いもよらないで。
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この作品を読んで下さりありがとうございます。
そしてHOT女性向けランキング4位ありがとうございます。(5/14現在)
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