元虐げられた公爵令嬢は好きに生きている。

しずもり

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レンとリアの旅 〜過去編〜

リア、ライバル現る!? 1

 リアは機嫌が良かった。いや、上機嫌である。

 隣国ラクスの街ダフではダンジョンに入れず残念だった。だが、後から冒険者ギルドのお姉さんが有益な情報を教えてくれた。

ダフから東へ馬車で二日行ったところに一年ほど前に、ダンジョンが発見されたという話を聞いたからだ。

一年前?ダンジョンを発見?

それは凄い発見なのではないだろうか?

言ってしまえば、エジプトで新たなピラミッドが発見されたとか、そこまでではなくとも戦国時代の有名武将が建てたとされる城の土台が発掘されたと新聞に載るぐらいには凄いことではなかろうか?


それなのに何故、レンはその事を知らなかったのか?
レンは冒険者が誰もが憧れるS級冒険者ではなかったのか?

曲がりなりにも、アメリアに冒険者を舐めていると怒り、冒険者ギルドで指導担当者を買ってでるぐらいには、冒険者である事を誇りに思っているのではなかったのか?

それなのに何故知らないのだ。

前世では新聞もテレビも普通にあって、全国ニュースから地方のニュースまで割と手軽に見て聞いて、興味のない話も何となくは知っていたりしたものだ。流石にテレビや新聞が無くとも、冒険者としてこういう情報には敏感なはずではないのか?

それなのに何故!
S級冒険者を名乗る者が、ダンジョン発見のニュースを知らぬままだったのか!

アメリアが不審そうな目でレンを見ていると、冒険者ギルドのお姉さんがフォローをしていた。

「あの、クリンの街のダンジョンはですね。地下と地上を合わせても十階層もない規模の小さいダンジョンだったんですよ。しかも出てくる魔物もF級でも倒せるような弱い魔物が多いそうです。
その為、初心者向けのダンジョンと言われてまして、D級以上の冒険者には不人気のようなんです。ですからあまり冒険者の方たちの間でも話題に上がらないみたいです」

なるほど。全国的に有名な遊園地と違って、低年齢向けの遊園地とも言えない地元民しか知らない遊園地みたいな扱いか。
それならば、この国に居なかったレンが知らなかったのは仕方のないことだろう。


「初心者向けのダンジョンか。それはアメリアには良いかもしれないな。俺もついていることだし、全階層踏破も出来るんじゃないか?」

アメリアが一人で納得していると、レンがアメリアを喜ばすような事を言うではないか。



よく分からないが、何とも魅力的な響きに聞こえる。

 冒険者になって数ヶ月のアメリアは、まだまだ冒険者の事はよく分かっていない。いや、基本的な事は講習も受けているし、何しろ指導担当者がS級冒険者だったのだ。
レンもアメリアに惚れていても、それはそれ。これはこれ。指導はきっちりと行っていた。

けれど、ダンジョンはまだ未体験。ダンジョンのことは、聞き齧った内容程度のことしか知らない。だからよくは分からないが、それでもという言葉は、乙女心ならぬ冒険者心をくすぐる言葉という事だけは雰囲気で分かる。

そしてレンは『!』と、アメリアにそう言ったのだ。


いや、言ってない。


 アメリアの心の内を知っていれば、流石のレンも冷静にツッコミを入れていただろう。
しかし、割と無表情なのが通常のアメリアの表情からは、レンがアメリアの考えを読み取ることは残念ながら出来なかった。


でも、読み取れなくても大丈夫。D級の冒険者ですら見向きもしない小さなダンジョンなのだから。


アメリアとレンの心情は微妙にズレていたようだが、初心者向けの小さなダンジョンだ。問題など起こるはずもない。

レンはアメリアと仲直りが出来た上に、更にクリンの街の小さなダンジョンの情報で、アメリアの機嫌が一層良くなったことでホッとしていた。

少しばかり浮かれていたのかもしれない。何しろ、気持ちは、地獄から天国、だったので。

そう、レンは油断していたのだ。色々と。


まさか、アメリアの気分が上機嫌から不機嫌になるような事が、レンがまだ行った事もないクリンの街で起こるなどとは。

そしてその原因がまたも自分にあっただなんて。
しかもそれが女性問題!?

クリンの街へ向かう馬車の中で、上機嫌なアメリアの様子を愛でていたレンには予想など出来るはずもなかった。

それはアメリアとて同じ事ではあったのだが。
まあ、アメリアはアメリアなので、終始あたふたとしていたのはレン一人だけ。

そういう厄介ごとがクリンの街で待ち受けていたのだった。





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