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レンとリアの旅 〜過去編〜
リア、ライバル現る!? 2
リアとレンはクリンの街に到着すると、真っ直ぐ冒険者ギルドにやって来た。ギルドで登録手続きをする為だ。
冒険者は依頼されない限りは個人の判断で活動拠点を決め、国内だけでなく、国内外を自由に渡り歩いている。だからといって、全てが自由なわけではない。
拠点を移せば、必ず冒険者ギルドへの報告と登録手続きが必要になる。依頼を受けたり、ダンジョンに入るには冒険者ギルドの許可が必要になるからだ。又、違反等問題を起こした場合、冒険者ギルドに記録が残るようにもなっている。
冒険者といっても、単に定職に就けずに冒険者になった者。腕っぷしが自慢なだけの荒くれ者など冒険者とは名ばかりの犯罪者スレスレの者なども存在するらしい。
そのような輩が、大人しく冒険者ギルドで登録するのか?という疑問もあるが、依頼は冒険者ギルドに登録している者しか受けられないのだからどんな冒険者でも登録せざるを得ない。
そして依頼の達成時にもギルドで内容を精査される。故に冒険者ギルドには冒険者たちの様々な情報が集まるようになっており、全ての冒険者ギルドで情報の共有化もされているのだとか。
そうして今、レンがクリンの冒険者ギルドで受付嬢相手に登録手続きをしているところだった。アメリアはレンの半歩後ろで手続きが終わるのを待っていた。
「きゃあ~!レン?レンじゃない?」
ドンッ!!
若い女性の甲高い声がアメリアの背後から聞こえた瞬間、アメリアを押しのけるように背後から当たられ、たたらを踏んだ。なんとか転ぶのは回避出来たが、タックル並みの強いあたりだった。
昔もこんな経験した事があったような・・・。
アメリアは怒るよりも先に、思い出しかけた昔の記憶が気になって数秒考え込んだ。
ああ、そうだ。新しく出来たスーパーの開店日に並び、開店と同時に一気に客が店内に入ろうとした時に後ろから押された事があった。
他人のことなんかお構いなしに、目的のコーナーに我先にと向かっていく人たち。あの時も確か転びそうになったんだっけ。
どこの世界にも似たようなことをする人がいるんだ。と、そこまで考えて、アメリアはふと思った。
ここは冒険者ギルドで、スーパーではないし、何かのセールでもない。受付で早いもの順で依頼を受けるわけでもないのに、何故、私は後ろから押されたんだろう?
「え~?その人、ベロニカさんの知り合いなんですかぁ~?」
「うっそ!もの凄くカッコいい!」
「ベロニカさん!私たちにも紹介して下さいよ」
またもアメリアの背後から、はしゃいだ声が聞こえてきたが、今度は押されることはなかった。
「だ、誰だ?!手を離せ!」
「やだぁ~。レンったら私を忘れちゃったの?アタシのこと、あんなに可愛がってくれたのにぃ」
アメリアは考えるのをやめて、声のする方に視線を向けた。手続きをしていたレンの左腕に真っ赤な髪の女性が抱きついていた。
え?この人、何でこんな場所でこんな格好をしているの?
アメリアは後ろ姿でも前面の姿が分かる女性のその服装に純粋に驚いていた。
対するレンは、リアの目の前で自分の左腕に抱きついてきた女の出現に心底驚いていた。そして自分のことをレンと呼んでいるこの女のことはすぐには思い出せないが、どうやら顔見知りであろう事に焦っていた。
歳はレンよりも四、五歳は若い気がする。赤い髪に、踊り子がよくしているような化粧をして、蠱惑的な大きな瞳で右目の下に泣きぼくろのある女。
さっぱり分からない。
覚えていないという事は、親しい仲になどなったことはないはず。たぶん・・・。
それに、確かに男好きのする顔の女ではあるがレンの好みではない。寧ろ、嫌いなタイプといえよう。
今もレンの腕を離さずに、ぐいぐいと自身の胸を押し付けてくるこの手のタイプの女を好む男もいるだろう。
だが、俺は違う!
何より、リアの前でこれは駄目だ!しかも俺がこの女を可愛がっただと!?
何だ。その誤解を招く言い方は!
リアの様子が気に掛かり、焦るレンではあるが、流石に女性を突き飛ばすわけにもいかない。そうしている内に、この女の仲間らしい女たちもレンを囲むように近寄ってくる。ギルドの建物内にいる他の冒険者たちの目も集まってきた。
悪目立ちしているこの状況にも困っていたが、リアの目の前でレンに馴れ馴れしい態度を見せるこの女に『離れろ!』と叫びそうになった時だった。
「ねぇ。なんで海にいるわけでもないのに、こんな場所でビキニ姿でいるの?」
アメリアは目の前でレンに抱きついている女に向かって、心底不思議そうに首を傾げながら言い放ったのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ここまでお読み下さりありがとうございます。
「いいね」やエールでの応援もいつもありがとうございます。
冒険者は依頼されない限りは個人の判断で活動拠点を決め、国内だけでなく、国内外を自由に渡り歩いている。だからといって、全てが自由なわけではない。
拠点を移せば、必ず冒険者ギルドへの報告と登録手続きが必要になる。依頼を受けたり、ダンジョンに入るには冒険者ギルドの許可が必要になるからだ。又、違反等問題を起こした場合、冒険者ギルドに記録が残るようにもなっている。
冒険者といっても、単に定職に就けずに冒険者になった者。腕っぷしが自慢なだけの荒くれ者など冒険者とは名ばかりの犯罪者スレスレの者なども存在するらしい。
そのような輩が、大人しく冒険者ギルドで登録するのか?という疑問もあるが、依頼は冒険者ギルドに登録している者しか受けられないのだからどんな冒険者でも登録せざるを得ない。
そして依頼の達成時にもギルドで内容を精査される。故に冒険者ギルドには冒険者たちの様々な情報が集まるようになっており、全ての冒険者ギルドで情報の共有化もされているのだとか。
そうして今、レンがクリンの冒険者ギルドで受付嬢相手に登録手続きをしているところだった。アメリアはレンの半歩後ろで手続きが終わるのを待っていた。
「きゃあ~!レン?レンじゃない?」
ドンッ!!
若い女性の甲高い声がアメリアの背後から聞こえた瞬間、アメリアを押しのけるように背後から当たられ、たたらを踏んだ。なんとか転ぶのは回避出来たが、タックル並みの強いあたりだった。
昔もこんな経験した事があったような・・・。
アメリアは怒るよりも先に、思い出しかけた昔の記憶が気になって数秒考え込んだ。
ああ、そうだ。新しく出来たスーパーの開店日に並び、開店と同時に一気に客が店内に入ろうとした時に後ろから押された事があった。
他人のことなんかお構いなしに、目的のコーナーに我先にと向かっていく人たち。あの時も確か転びそうになったんだっけ。
どこの世界にも似たようなことをする人がいるんだ。と、そこまで考えて、アメリアはふと思った。
ここは冒険者ギルドで、スーパーではないし、何かのセールでもない。受付で早いもの順で依頼を受けるわけでもないのに、何故、私は後ろから押されたんだろう?
「え~?その人、ベロニカさんの知り合いなんですかぁ~?」
「うっそ!もの凄くカッコいい!」
「ベロニカさん!私たちにも紹介して下さいよ」
またもアメリアの背後から、はしゃいだ声が聞こえてきたが、今度は押されることはなかった。
「だ、誰だ?!手を離せ!」
「やだぁ~。レンったら私を忘れちゃったの?アタシのこと、あんなに可愛がってくれたのにぃ」
アメリアは考えるのをやめて、声のする方に視線を向けた。手続きをしていたレンの左腕に真っ赤な髪の女性が抱きついていた。
え?この人、何でこんな場所でこんな格好をしているの?
アメリアは後ろ姿でも前面の姿が分かる女性のその服装に純粋に驚いていた。
対するレンは、リアの目の前で自分の左腕に抱きついてきた女の出現に心底驚いていた。そして自分のことをレンと呼んでいるこの女のことはすぐには思い出せないが、どうやら顔見知りであろう事に焦っていた。
歳はレンよりも四、五歳は若い気がする。赤い髪に、踊り子がよくしているような化粧をして、蠱惑的な大きな瞳で右目の下に泣きぼくろのある女。
さっぱり分からない。
覚えていないという事は、親しい仲になどなったことはないはず。たぶん・・・。
それに、確かに男好きのする顔の女ではあるがレンの好みではない。寧ろ、嫌いなタイプといえよう。
今もレンの腕を離さずに、ぐいぐいと自身の胸を押し付けてくるこの手のタイプの女を好む男もいるだろう。
だが、俺は違う!
何より、リアの前でこれは駄目だ!しかも俺がこの女を可愛がっただと!?
何だ。その誤解を招く言い方は!
リアの様子が気に掛かり、焦るレンではあるが、流石に女性を突き飛ばすわけにもいかない。そうしている内に、この女の仲間らしい女たちもレンを囲むように近寄ってくる。ギルドの建物内にいる他の冒険者たちの目も集まってきた。
悪目立ちしているこの状況にも困っていたが、リアの目の前でレンに馴れ馴れしい態度を見せるこの女に『離れろ!』と叫びそうになった時だった。
「ねぇ。なんで海にいるわけでもないのに、こんな場所でビキニ姿でいるの?」
アメリアは目の前でレンに抱きついている女に向かって、心底不思議そうに首を傾げながら言い放ったのだった。
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