元虐げられた公爵令嬢は好きに生きている。

しずもり

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レンとリアの旅 〜過去編〜

リア、ライバル現る?! 7

相手が恥をかかないようにこっそりと伝えたはずなのに・・・。


何故、勝負しろ!と言われているのか、アメリアにはさっぱり分からない。

そりゃあ、自分の至らないところを皆の前で指摘されたら怒るのも分かる。だけどアメリアはそうならないように、他の人には聞こえないように伝えたつもりだ。頑張って背伸びまでして。


でも、余計なお世話、というやつだったのか。ここでアメリアが『え?ちょっと意味が分からないんですけど?』なんて感じで勝負を断ったら、この人はもっと恥をかかされた!と感じるかもしれない。ならば仕方がない。


「よし、その勝負!受け」

アメリアの返事の途中で、レンに腕を引っ張られ抱きしめられた・・・ようにも見える。

傍目には見ての通り、脈絡もなくレンがアメリアを抱き寄せただけに見えるのだが、レンはリアの口を塞ごうとしただけに過ぎない。事実、勢いよくレンの胸元へと引き寄せられたので、アメリアは勢いそのままに顔をぶつけている。


痛い・・・そして、なぜ?


「リア、お前なぁ。何も考えずに受けて立とうとするなよ」


レンの腕の中で、じとり、と上目遣いに睨んでくるリアは可愛い。可愛いが、よく知らない相手との勝負を簡単に引き受けるんじゃない。

レンがリアに対して過保護であるのは事実だが、流石に元指導担当者としても、これは止めに入るのが普通だろう。


しかし、周囲から見れば、いきなり若い男女、しかも美男美少女がいちゃつき出した、という風に見えなくもない。

特にレンをロックオンしているベロニカからしたら、すぐにでもレンからこの小娘を引き剥がしたい。そこでベロニカはふと思った。

確かにこの小娘は、世間でいうところの美少女だとは思う。だが、ベロニカが見ていたレンは、可愛いよりも美人系が好みだったような気がする。

事実、当時レンが付き合っていたエリカは、美人で女性から見ても憧れるような良い女タイプだった。

冒険者たちの間では高嶺の花的な女性で、冒険者としても腕の立つエリカは『私よりも強い奴じゃないとね』が口癖だった。実際にエリカは本当に強かった。それなのにエリカよりも強いレンでさえ、簡単に落とせなかった女がエリカなのだ。


エリカの目を盗んでレンにアピールをしていたベロニカだが、エリカに憧れてもいた。だからビキニアーマー姿なのだ。

エリカと同じ格好をしていると自分も強くて良い女になった気がする。いや、きっとあと少しでエリカと肩を並べるぐらいにはなっていると自負している。まだちょっと冒険者ランクが届いていないだけ。


そして今!
レンと再会したのは、運命だと思っている。なのに何故、そのレンが冒険者ランクの低い小娘とパーティーを組んでいるわけ?

今まで誰ともレンがパーティーを組んでいなかったのは、レンの身分が関係しているからだとベロニカは思っていた。

レンとエリカが別れたと知った時、ベロニカは嬉しい気持ちもあった。だが、冒険者たち門前払いし続けていたエリカが認めた相手がレンだ。

そのレンはエリカの隣に相応しい男で、レンの隣に相応しい女もエリカだ。悔しいがベロニカでもそう思っていた。


なのに、何故、別れたのか?


珍しく深酒をして酔っていたエリカにベロニカは聞いてしまった。何故、二人は別れたのか?と。


『仕方ないのよ。冒険者同士なら問題はなくても、は王族だからさ』


たぶん酔っていたから聞けた言葉だったのだろう。その後も二年ほどエリカの下にいたが、エリカがレンの名を口にすることは一度もなかった。


こっそりと調べてみれば、レンはアトラータ帝国の第二王子だった。こっそりと調べるほどではなく、アトラータ帝国ではレンが冒険者をしているのは周知の事実であった。

ただ、面倒ごとを避ける為か?レンが自分の出自を口にすることはない。それを知った冒険者たちも。

単に友人として言いふらさないだけか。それとも下手に王族だと認めると気軽に接することが出来なくなるのを厭っただけなのか。

まあ、そんなわけで隠しているわけではないが、レンのことは知る人ぞ知る、という感じだったのだ。

しかし、エリカと一緒だった時のレンとは少々雰囲気が違っているように見える。数年も経てば変わることもある。だが、今のレンは何というか・・・。

そこまで考えて、ベロニカは嫌な考えが頭をよぎってしまった。


「レン。まさか帝国の第二」

「っ!!」

帝国の第二王子であるレンがこんな小娘を嫁にする気なのか?

ベロニカはそう尋ねようとして、ここでまたも素早い動きを見せたレンによってベロニカの口は塞がれた。


レンは間一髪、ベロニカの言葉を阻止することが出来た。

だがそこには大きな犠牲が伴っていた。



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