元虐げられた公爵令嬢は好きに生きている。

しずもり

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レンとリアの旅 〜過去編〜

リア、旅に出る

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唐突ですが、レンとリアがアトラータ帝国に行くまでの道中の話(過去編)になります。

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 ロレアル国を出て隣国パーテーンで冒険者になったリアは、図らずも有名になりすぎて些か居心地が悪くなってきた事とディバイン公爵家が彼女を探している可能性を考え、旅に出る事にした。


元指導担当者ほごしゃのS級冒険者レンと共に。


「おい、リア!

いいか?移動中と人がいる場所では必ずマントのフードを被っているんだぞ。」


「・・・・・・・・・・・・。」


 それは四六時中フードを被っておけ、という事ではないのか、とアメリアは思いつつ、見た目と違って、この中々に世話焼きな指導担当者のレンを少しばかり不満に思う。


 冒険者ギルドの受付嬢のリリーさんの勧め?もあり、旅慣れていてボディーガードとしても役に立つらしいレンが、アメリアが冒険者として" 一人前 "、となるまでで一緒に旅をしてくれるらしい。


" 一人前 "ってどうやって判断するの?


 アメリアの素朴な疑問は、『俺が認めるまで。』というレンの言葉に、アメリアの眉間に皺が寄ったがレンは見えないフリをする。


 アメリアの身体能力とレンの指導の甲斐あって?僅か三ヶ月ほどで、アメリアはF級からE級冒険者に昇格している。

S級冒険者であるレンは指導者としても優秀なのだろう。優秀ではあるが、些か" 一人前 "の基準が曖昧すぎる。


それに四六時中、片時もアメリアの傍を離れようとしないのは少々鬱陶しい。いや、かなり、、、。


アメリアは他人ひとに構われるのに慣れていない。


 元々、アメリアを構う者など今までに居なかったからだ。生家のディバイン公爵家では義母と義妹にはで構われてはいたけれど。


嫌がらせをする為だけに義母たちや使用人たちも、" よく飽きもせずアメリアに寄ってくるなぁ。" 、と思ってはいたが、彼女たちはに関心があった訳ではない。


勿論、ソフィーとソフィーの母親は別だ。ソフィーなどはアメリアの一つ下だというのに、自分の事に無頓着なアメリアの世話を見えない所ではせっせと焼いていた。

 ソフィーの母親は" 放っておいたらお嬢様が死んでしまう!"という懸念とアメリアの母に対する忠誠心から世話をしていたのではなかろうか。

確かに普通に考えたら三歳児など放っておいたら死ぬ。だからアメリアにとってそれは必要なお世話だったのだろう。


しかし、ソフィーの母やソフィーの" お世話 "は、レンのような構い方ではなかったように思うのだ。


 レンの世話焼きは" それ、必要?"と思ってしまうたぐいのお世話、所謂、が多分に含まれている気がするのは何故だろう?


世話を焼かれる事に慣れていない所為なのか、居心地が悪いような気分になるので、" もう少し放っておいて欲しい。"というのが、アメリアの本音だ。


だってアメリアはディバイン公爵家を出たあの夜から一人で国境を越えて、隣国パーテーンまで旅をして来たのだ。

確かに一人旅といっても乗り合い馬車を乗り継いで、ロレアル国にほど近い街ラックスに来ただけである。日数でいえば約七日間。

たった七日間という勿れ。

屋敷の外へと出た事の無かったのアメリアにとっては大冒険に近い旅のようなもの。

きっとであったのなら、深夜の王都の街を歩く事も、乗り合い馬車に乗っているだけの旅でさえも出来なかっただろう。

初めての一人旅をやり遂げたアメリアは" 旅をする事 "に自信を持っている。
それは第三者から見れば、過信以外の何ものでもないのだが。


 そうでなくともアメリアはリリーやレンから見れば、" しっかりしているようで割と抜けている。"と思われているのだが、アメリアは気付いていない。

 何しろ本人的には前世の記憶があるから、実年齢以上に大人な思考でしっかりしていると思っているのだ。

なまじ転生した瞬間からの記憶があるので" 前世の人格=アメリア "の感覚でいる。
だが、その意識があるからこそ、自身に年相応の子どもっぽさがある事に気付いていない。
いや、もしかしたら実年齢以下の幼い部分がある、といえる。

だから時々、無自覚に突拍子もない行動に出る。全く予測がつかない。

それだけでもレンはアメリアから目を離せないと思うのに、全く自分の容姿に無頓着なのだからたちが悪い、というのが指導担当者レンの偽りない本心だろう。いや、愚痴か?


パーテーンで冒険者登録した際に、レンとの模擬試合で彼を投げ飛ばすのを見ていた有象無象の輩たちでさえ、アメリアの本当の姿を見てだと錯覚する。

自分自身が投げ飛ばされたとしても、アメリアの姿を目に映せば" 守ってあげたい!"、" 何としても手に入れたい!"と思ってしまうのだ。

前者ならばまだ良い。だが後者ならばアメリアの見た目から、力づくで手に入れる事が出来る、と考える馬鹿は多い。

結果的にアメリアに投げ飛ばされた者が後を立たなかった訳だが、それはあくまででの事で男共に油断があった事も否めない。

それ故のレンの過保護ともいえる行動にアメリアは気付いていない。

まぁ、レンの方もアメリアに並々ならぬ執着がある事にまだ気付いていないので、過保護世話焼きが過ぎてアメリアに疎ましがられている事に彼自身は気付いていない。どっちもどっちか。


二人が今まで拠点にしていたラックスの街を出て三日。

乗り合い馬車を降り、昼飯を食べる店を探そうとレンが辺りを見回していたたったの数分の事。
背後で歓声が上がり、振り返ると同時に隣で歩いていた筈のアメリアが居ない事に気付く。

何故、大男が地面に転がっている傍でアメリアが立っているのか?

旅に出てたった三日で既に見慣れつつあるこの光景にレンは脱力する。
レンの小言が炸裂する理由をそろそろアメリアも察していい頃ではなかろうか?


そんなレンの心境を知らず、アメリアはアメリアで憤慨している。

町に着く度に、こういうが何故かアメリアに絡んでくる。

自分はそんなにカモにしやすい旅人か!
旅人をカモにしようと絡んでくる輩がいるから、レンが過保護になって口煩く世話を焼いてくるのだ。

家を出た時よりもE級冒険者になっている自分は、そんなに弱々しい見た目をしているのだろうか?

全く解せない。


八つ当たりでこの大男の腹を踏みつけてやろうか。

アメリアが本気で考えていると不意に目の前が暗くなる。背後からバサリとフードを被せられたのだ。


「何故、フードを外した?」


背後から漂う威圧に流石のアメリアもブルリと体を震わせ、『あぁ、この威圧が出せたらなのだな。』、と少しだけ納得したのだった。


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ここまでお読み下さりありがとうございます。


元々、不定期連載ではありましたが、随分と間が空いての投稿になってしまいました。
今後はもう少し頻度を上げて投稿する予定です。
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