8 / 25
レンとリアの旅 〜過去編〜
リア、旅に出る
唐突ですが、レンとリアがアトラータ帝国に行くまでの道中の話(過去編)になります。
=====================
ロレアル国を出て隣国パーテーンで冒険者になったリアは、図らずも有名になりすぎて些か居心地が悪くなってきた事とディバイン公爵家が彼女を探している可能性を考え、旅に出る事にした。
元指導担当者のS級冒険者レンと共に。
「おい、リア!
いいか?移動中と人がいる場所では必ずマントのフードを被っているんだぞ。」
「・・・・・・・・・・・・。」
それは四六時中フードを被っておけ、という事ではないのか、とアメリアは思いつつ、見た目と違って、この中々に世話焼きな元指導担当者のレンを少しばかり不満に思う。
冒険者ギルドの受付嬢のリリーさんの勧め?もあり、旅慣れていてボディーガードとしても役に立つらしいレンが、アメリアが冒険者として" 一人前 "、となるまで義務で一緒に旅をしてくれるらしい。
" 一人前 "ってどうやって判断するの?
アメリアの素朴な疑問は、『俺が認めるまで。』というレンの言葉に、アメリアの眉間に皺が寄ったがレンは見えないフリをする。
アメリアの身体能力とレンの指導の甲斐あって?僅か三ヶ月ほどで、アメリアはF級からE級冒険者に昇格している。
S級冒険者であるレンは指導者としても優秀なのだろう。優秀ではあるが、些か" 一人前 "の基準が曖昧すぎる。
それに四六時中、片時もアメリアの傍を離れようとしないのは少々鬱陶しい。いや、かなり、、、。
アメリアは他人に構われるのに慣れていない。
元々、アメリアを構う者など今までに居なかったからだ。生家のディバイン公爵家では義母と義妹には違う意味で構われてはいたけれど。
嫌がらせをする為だけに義母たちや使用人たちも、" よく飽きもせずアメリアに寄ってくるなぁ。" 、と思ってはいたが、彼女たちはアメリア自身に関心があった訳ではない。
勿論、ソフィーとソフィーの母親は別だ。ソフィーなどはアメリアの一つ下だというのに、自分の事に無頓着なアメリアの世話を見えない所ではせっせと焼いていた。
ソフィーの母親は" 放っておいたらお嬢様が死んでしまう!"という懸念とアメリアの母に対する忠誠心から世話をしていたのではなかろうか。
確かに普通に考えたら三歳児など放っておいたら死ぬ。だからアメリアにとってそれは必要なお世話だったのだろう。
しかし、ソフィーの母やソフィーの" お世話 "は、レンのような構い方ではなかったように思うのだ。
レンの世話焼きは" それ、必要?"と思ってしまう類のお世話、所謂、余計なお世話が多分に含まれている気がするのは何故だろう?
世話を焼かれる事に慣れていない所為なのか、居心地が悪いような気分になるので、" もう少し放っておいて欲しい。"というのが、アメリアの本音だ。
だってアメリアはディバイン公爵家を出たあの夜から一人で国境を越えて、隣国パーテーンまで旅をして来たのだ。
確かに一人旅といっても乗り合い馬車を乗り継いで、ロレアル国にほど近い街ラックスに来ただけである。日数でいえば約七日間。
たった七日間という勿れ。
屋敷の外へと出た事の無かった箱入り娘のアメリアにとっては大冒険に近い旅のようなもの。
きっと本当の箱入り娘であったのなら、深夜の王都の街を歩く事も、乗り合い馬車に乗っているだけの旅でさえも出来なかっただろう。
初めての一人旅をやり遂げたアメリアは" 旅をする事 "に自信を持っている。
それは第三者から見れば、過信以外の何ものでもないのだが。
そうでなくともアメリアはリリーやレンから見れば、" しっかりしているようで割と抜けている。"と思われているのだが、アメリアは気付いていない。
何しろ本人的には前世の記憶があるから、実年齢以上に大人な思考でしっかりしていると思っているのだ。
なまじ転生した瞬間からの記憶があるので" 前世の人格=アメリア "の感覚でいる。
だが、その意識があるからこそ、自身に年相応の子どもっぽさがある事に気付いていない。
いや、もしかしたら実年齢以下の幼い部分がある、といえる。
だから時々、無自覚に突拍子もない行動に出る。全く予測がつかない。
それだけでもレンはアメリアから目を離せないと思うのに、全く自分の容姿に無頓着なのだから質が悪い、というのが元指導担当者レンの偽りない本心だろう。いや、愚痴か?
パーテーンで冒険者登録した際に、レンとの模擬試合で彼を投げ飛ばすのを見ていた有象無象の輩たちでさえ、アメリアの本当の姿を見て庇護欲を唆られるか弱い美少女だと錯覚する。
自分自身が投げ飛ばされたとしても、アメリアの姿を目に映せば" 守ってあげたい!"、" 何としても手に入れたい!"と思ってしまうのだ。
前者ならばまだ良い。だが後者ならばアメリアの見た目から、力づくで手に入れる事が出来る、と考える馬鹿は多い。
結果的にアメリアに投げ飛ばされた者が後を立たなかった訳だが、それはあくまで一対一での事で男共に油断があった事も否めない。
それ故のレンの過保護ともいえる行動にアメリアは気付いていない。
まぁ、レンの方もアメリアに並々ならぬ執着がある事にまだ気付いていないので、過保護が過ぎてアメリアに疎ましがられている事に彼自身は気付いていない。どっちもどっちか。
二人が今まで拠点にしていたラックスの街を出て三日。
乗り合い馬車を降り、昼飯を食べる店を探そうとレンが辺りを見回していたたったの数分の事。
背後で歓声が上がり、振り返ると同時に隣で歩いていた筈のアメリアが居ない事に気付く。
何故、大男が地面に転がっている傍でアメリアが立っているのか?
旅に出てたった三日で既に見慣れつつあるこの光景にレンは脱力する。
レンの小言が炸裂する理由をそろそろアメリアも察していい頃ではなかろうか?
そんなレンの心境を知らず、アメリアはアメリアで憤慨している。
町に着く度に、こういう輩が何故かアメリアに絡んでくる。
自分はそんなにカモにしやすい旅人か!
旅人をカモにしようと絡んでくる輩がいるから、レンが過保護になって口煩く世話を焼いてくるのだ。
家を出た時よりもE級冒険者になっている自分は、そんなに弱々しい見た目をしているのだろうか?
全く解せない。
八つ当たりでこの大男の腹を踏みつけてやろうか。
アメリアが本気で考えていると不意に目の前が暗くなる。背後からバサリとフードを被せられたのだ。
「何故、フードを外した?」
背後から漂う威圧に流石のアメリアもブルリと体を震わせ、『あぁ、この威圧が出せたら一人前なのだな。』、と少しだけ納得したのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここまでお読み下さりありがとうございます。
元々、不定期連載ではありましたが、随分と間が空いての投稿になってしまいました。
今後はもう少し頻度を上げて投稿する予定です。
=====================
ロレアル国を出て隣国パーテーンで冒険者になったリアは、図らずも有名になりすぎて些か居心地が悪くなってきた事とディバイン公爵家が彼女を探している可能性を考え、旅に出る事にした。
元指導担当者のS級冒険者レンと共に。
「おい、リア!
いいか?移動中と人がいる場所では必ずマントのフードを被っているんだぞ。」
「・・・・・・・・・・・・。」
それは四六時中フードを被っておけ、という事ではないのか、とアメリアは思いつつ、見た目と違って、この中々に世話焼きな元指導担当者のレンを少しばかり不満に思う。
冒険者ギルドの受付嬢のリリーさんの勧め?もあり、旅慣れていてボディーガードとしても役に立つらしいレンが、アメリアが冒険者として" 一人前 "、となるまで義務で一緒に旅をしてくれるらしい。
" 一人前 "ってどうやって判断するの?
アメリアの素朴な疑問は、『俺が認めるまで。』というレンの言葉に、アメリアの眉間に皺が寄ったがレンは見えないフリをする。
アメリアの身体能力とレンの指導の甲斐あって?僅か三ヶ月ほどで、アメリアはF級からE級冒険者に昇格している。
S級冒険者であるレンは指導者としても優秀なのだろう。優秀ではあるが、些か" 一人前 "の基準が曖昧すぎる。
それに四六時中、片時もアメリアの傍を離れようとしないのは少々鬱陶しい。いや、かなり、、、。
アメリアは他人に構われるのに慣れていない。
元々、アメリアを構う者など今までに居なかったからだ。生家のディバイン公爵家では義母と義妹には違う意味で構われてはいたけれど。
嫌がらせをする為だけに義母たちや使用人たちも、" よく飽きもせずアメリアに寄ってくるなぁ。" 、と思ってはいたが、彼女たちはアメリア自身に関心があった訳ではない。
勿論、ソフィーとソフィーの母親は別だ。ソフィーなどはアメリアの一つ下だというのに、自分の事に無頓着なアメリアの世話を見えない所ではせっせと焼いていた。
ソフィーの母親は" 放っておいたらお嬢様が死んでしまう!"という懸念とアメリアの母に対する忠誠心から世話をしていたのではなかろうか。
確かに普通に考えたら三歳児など放っておいたら死ぬ。だからアメリアにとってそれは必要なお世話だったのだろう。
しかし、ソフィーの母やソフィーの" お世話 "は、レンのような構い方ではなかったように思うのだ。
レンの世話焼きは" それ、必要?"と思ってしまう類のお世話、所謂、余計なお世話が多分に含まれている気がするのは何故だろう?
世話を焼かれる事に慣れていない所為なのか、居心地が悪いような気分になるので、" もう少し放っておいて欲しい。"というのが、アメリアの本音だ。
だってアメリアはディバイン公爵家を出たあの夜から一人で国境を越えて、隣国パーテーンまで旅をして来たのだ。
確かに一人旅といっても乗り合い馬車を乗り継いで、ロレアル国にほど近い街ラックスに来ただけである。日数でいえば約七日間。
たった七日間という勿れ。
屋敷の外へと出た事の無かった箱入り娘のアメリアにとっては大冒険に近い旅のようなもの。
きっと本当の箱入り娘であったのなら、深夜の王都の街を歩く事も、乗り合い馬車に乗っているだけの旅でさえも出来なかっただろう。
初めての一人旅をやり遂げたアメリアは" 旅をする事 "に自信を持っている。
それは第三者から見れば、過信以外の何ものでもないのだが。
そうでなくともアメリアはリリーやレンから見れば、" しっかりしているようで割と抜けている。"と思われているのだが、アメリアは気付いていない。
何しろ本人的には前世の記憶があるから、実年齢以上に大人な思考でしっかりしていると思っているのだ。
なまじ転生した瞬間からの記憶があるので" 前世の人格=アメリア "の感覚でいる。
だが、その意識があるからこそ、自身に年相応の子どもっぽさがある事に気付いていない。
いや、もしかしたら実年齢以下の幼い部分がある、といえる。
だから時々、無自覚に突拍子もない行動に出る。全く予測がつかない。
それだけでもレンはアメリアから目を離せないと思うのに、全く自分の容姿に無頓着なのだから質が悪い、というのが元指導担当者レンの偽りない本心だろう。いや、愚痴か?
パーテーンで冒険者登録した際に、レンとの模擬試合で彼を投げ飛ばすのを見ていた有象無象の輩たちでさえ、アメリアの本当の姿を見て庇護欲を唆られるか弱い美少女だと錯覚する。
自分自身が投げ飛ばされたとしても、アメリアの姿を目に映せば" 守ってあげたい!"、" 何としても手に入れたい!"と思ってしまうのだ。
前者ならばまだ良い。だが後者ならばアメリアの見た目から、力づくで手に入れる事が出来る、と考える馬鹿は多い。
結果的にアメリアに投げ飛ばされた者が後を立たなかった訳だが、それはあくまで一対一での事で男共に油断があった事も否めない。
それ故のレンの過保護ともいえる行動にアメリアは気付いていない。
まぁ、レンの方もアメリアに並々ならぬ執着がある事にまだ気付いていないので、過保護が過ぎてアメリアに疎ましがられている事に彼自身は気付いていない。どっちもどっちか。
二人が今まで拠点にしていたラックスの街を出て三日。
乗り合い馬車を降り、昼飯を食べる店を探そうとレンが辺りを見回していたたったの数分の事。
背後で歓声が上がり、振り返ると同時に隣で歩いていた筈のアメリアが居ない事に気付く。
何故、大男が地面に転がっている傍でアメリアが立っているのか?
旅に出てたった三日で既に見慣れつつあるこの光景にレンは脱力する。
レンの小言が炸裂する理由をそろそろアメリアも察していい頃ではなかろうか?
そんなレンの心境を知らず、アメリアはアメリアで憤慨している。
町に着く度に、こういう輩が何故かアメリアに絡んでくる。
自分はそんなにカモにしやすい旅人か!
旅人をカモにしようと絡んでくる輩がいるから、レンが過保護になって口煩く世話を焼いてくるのだ。
家を出た時よりもE級冒険者になっている自分は、そんなに弱々しい見た目をしているのだろうか?
全く解せない。
八つ当たりでこの大男の腹を踏みつけてやろうか。
アメリアが本気で考えていると不意に目の前が暗くなる。背後からバサリとフードを被せられたのだ。
「何故、フードを外した?」
背後から漂う威圧に流石のアメリアもブルリと体を震わせ、『あぁ、この威圧が出せたら一人前なのだな。』、と少しだけ納得したのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここまでお読み下さりありがとうございます。
元々、不定期連載ではありましたが、随分と間が空いての投稿になってしまいました。
今後はもう少し頻度を上げて投稿する予定です。
あなたにおすすめの小説
将来の嫁ぎ先は確保済みです……が?!
翠月 瑠々奈
恋愛
ある日階段から落ちて、とある物語を思い出した。
侯爵令息と男爵令嬢の秘密の恋…みたいな。
そしてここが、その話を基にした世界に酷似していることに気づく。
私は主人公の婚約者。話の流れからすれば破棄されることになる。
この歳で婚約破棄なんてされたら、名に傷が付く。
それでは次の結婚は望めない。
その前に、同じ前世の記憶がある男性との婚姻話を水面下で進めましょうか。
本当に現実を生きていないのは?
朝樹 四季
恋愛
ある日、ヒロインと悪役令嬢が言い争っている場面を見た。ヒロインによる攻略はもう随分と進んでいるらしい。
だけど、その言い争いを見ている攻略対象者である王子の顔を見て、俺はヒロインの攻略をぶち壊す暗躍をすることを決意した。
だって、ここは現実だ。
※番外編はリクエスト頂いたものです。もしかしたらまたひょっこり増えるかもしれません。
『病弱な幼馴染を優先してください』と言った妻が消えた翌日、夫は領地の会計書類が全て白紙になっていることに気づいた
歩人
ファンタジー
侯爵家に嫁いで五年。ルチアは夫エミルの領地会計・社交・使用人管理を全て一人で担ってきた。だがエミルはいつも幼馴染のアリーチェを優先する。「アリーチェは体が弱いんだ、お前とは違う」——その言葉を百回聞いた日、ルチアは微笑んで離縁届に署名した。「ええ、私は丈夫ですから。どうぞ幼馴染様をお大事に」。翌朝、エミルが目にしたのは——税務報告の締切、領民からの陳情の山、そして紅茶の淹れ方すら知らない自分。三ヶ月後、かつて「地味な妻」と呼ばれたルチアは、辺境伯の財務顧問として辣腕を振るっていた。
可愛らしい人
はるきりょう
恋愛
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」
「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」
「それにあいつはひとりで生きていけるから」
女性ながらに剣術を学ぶエレナは可愛げがないという理由で、ほとんど婚約者同然の幼馴染から捨てられる。
けれど、
「エレナ嬢」
「なんでしょうか?」
「今日の夜会のパートナーはお決まりですか?」
その言葉でパートナー同伴の夜会に招待されていたことを思い出した。いつものとおりライアンと一緒に行くと思っていたので参加の返事を出していたのだ。
「……いいえ」
当日の欠席は著しく評価を下げる。今後、家庭教師として仕事をしていきたいと考えるのであれば、父親か兄に頼んででも行った方がいいだろう。
「よければ僕と一緒に行きませんか?」
【完結】婚約破棄される未来見えてるので最初から婚約しないルートを選びます
22時完結
恋愛
レイリーナ・フォン・アーデルバルトは、美しく品格高い公爵令嬢。しかし、彼女はこの世界が乙女ゲームの世界であり、自分がその悪役令嬢であることを知っている。ある日、夢で見た記憶が現実となり、レイリーナとしての人生が始まる。彼女の使命は、悲惨な結末を避けて幸せを掴むこと。
エドウィン王子との婚約を避けるため、レイリーナは彼との接触を避けようとするが、彼の深い愛情に次第に心を開いていく。エドウィン王子から婚約を申し込まれるも、レイリーナは即答を避け、未来を築くために時間を求める。
悪役令嬢としての運命を変えるため、レイリーナはエドウィンとの関係を慎重に築きながら、新しい道を模索する。運命を超えて真実の愛を掴むため、彼女は一人の女性として成長し、幸せな未来を目指して歩み続ける。
《完結》 どうぞ、私のことはお気になさらず
ヴァンドール
恋愛
実家の伯爵家では、満足に食事も取らせてもらえず毎日、使用人以上に働かされた。
そして縁談が来たと思ったら火遊び好きな侯爵の隠れ蓑としての婚姻だった。