婚約破棄された悪役令嬢が実は本物の聖女でした。

ゆうゆう

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いきなり

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私達が拠点のテントへ戻るとパドック様達はまだ戻ってはいませんでした。

「パドック殿はまだみたいだな」
馬を繋ぎに行ったカイルが戻って来て言った。

「まだ時間かかるかしら? 皆が帰って来たら何かお腹に入れられるといいよね?」
私は荷物を置いてある場所で食料の物色を始めます。

すぐ食べられる物はもう残っておらず、お芋と、玉ねぎ等の野菜と干し肉が出てきた。

「うーん、私が作れるのは教会で手伝っていた、スープぐらいね」
籠に野菜と干し肉を入れて外へ持ち出しました。

「カイル、火を起こしてくれたの?」
あっという間に火を準備をしているカイル。

「ああ、水汲んでくるか?」
桶を持って聞いてくる。

「なんで、王子なのに、そんなに手慣れているの?」
相変わらず王子らしくないカイルについつい質問したくなった。

「うーん、王宮にいるより、騎士達と遠征に出たり、他の国に視察に行ったりする事の方が多いからかな?
火起こしなんて夜営で慣れているしね」
なんて事ない様に言ってくる。

「きっと料理を作っても慣れない私より上手いのよね?」
ちょっと落ち込みそう。
結局カイルにいつも手助けされてばかりだもの。

「エレーナ? こんなの慣れだろ? 君は今まで貴族の令嬢として生きてきたんだからそんな事出来なくて当たり前だろ?
こんな所へ来ている事だって普通はなかった筈なんだし」
私の頭を撫でながら言うカイルはいつも以上に優しいく声を掛けてくれた。

「そうだけど、パルフィートへ行ってから私もいろいろ出来るようになったでしょ?
でもカイルはそういった事を難なくやっちゃうんだもの」
変なの、2人きりになったらつい甘えたくなってしまった…
思った以上に疲れているのかも、体も精神的にも… 何だか気分が後ろ向き。

うつ向いて黙った私を覗き込みもう一度名前を呼ばれる。
それでも黙っていると、
「凄いのはエレーナの方だろ?
森を浄化して、結界を直して。
君にしか出来ない事だ。
火を起こす事も、料理も練習すれば誰でも出来る事だよ。
でも森を浄化するなんて聖女である君にしか出来ない。
僕はそんな君をサポートして支えるために同行しているんだ。
もっと甘えて、頼ってよエレーナ」

そう言って抱き締められました。

でもそれは一瞬の事。

「水汲んでくるよ」
直ぐに体を離し足早に行ってしまった。

残された私はしばらくその場に立ち尽くす事になった。
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