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謁見

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パルフィートに戻って2週間が過ぎた。

教会内の手伝い以外はのんびりとさせてもらって、心身共に元気で力が有り余っている程だった。

アランソルから追放された時からいろんな事があったけど、今が1番何も悩まず日々穏やかに過ごしていると思う。

今日はパルフィート国の国王陛下に改めてこの国で暮らしていく事をお許し頂いたお礼の挨拶に行きます。

アランソルでお父様と和解をして、改めてパシュレーヌ侯爵の令嬢と言うことになった。

以前国王陛下と謁見を許された時には聖女マリナの親族と言うあやふやな身元のまま挨拶をしていた。
それもセシリアと言う偽名で。

その事はカイルと大叔母様が説明していた事だけど、一国の王に嘘をついてしまったと思うとなんと言う不敬をはたらいたのだろう。
寛大な陛下に感謝だわ。

今回はアランソル国のパシュレーヌ侯爵令嬢としての謁見になった。


「エレーナパシュレーヌ侯爵令嬢面をあげてくれ。
アランソルでの活躍はカイラードから聞いた。
あちらでも不名誉な冤罪はぬぐえたようだがそれでも我が国に留まってくれるのかな?」

カイルの父親でこの国の国王陛下であるアイザック三世陛下に優しく問われる。

「はい、陛下にお許し頂ければ、大叔母様のもとで聖女の勉強をしていきたいです」

「そうか、我が国に留まってくれる事は願ってもない事だ。
だが、出来ることならば我が息子の嫁としてこの国に迎えたいところなんだがな。
エレーナ嬢にその気はあるかな?」

「え?」
一瞬誰が誰の嫁? 
ってわからなくなった。

私がカイルもとい、カイラード殿下の嫁って事は王子妃になるって事?

「そんな…私など畏れ多い事でございます」

私が決めていい事でもない。
カイルは好き、だけどカイルが王子と言う立場に戻った時私では…

「話しによると、そなたはアランソルの王子の婚約者として王妃教育も受けていたと聞く。
そして身分も侯爵令嬢だ。
何の問題もないと思うが?」

「た、確かに私はアランソルでは一時そのような立場にありましたが、婚約破棄と言う不名誉な傷物令嬢ですし…
それにカイラード殿下がどう思われますか…」

「息子の気持ちは昨夜聞いたから、そなたにも聞いているのだよ」

コツコツ

靴の音に後ろを振り向くと、カイルではない王子の姿のカイラード殿下が立っていた。

「後は2人でゆっくり相談してくれ。
私の意向はもう伝えたからな」

そう言って国王陛下は退席されてしまった。
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