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落ち着きのある低過ぎず高過ぎもしない声は、今まで一度も聞いたことないものだった。
俺の記憶にあるゲルハルトの声は、まだ声変わりもしていない子供のものだけだけれど、俺が生まれ変わってからもう十年の月日が経ったとすると、ゲルハルトは今十八才なわけだから声も顔も背丈も記憶にあるものから変わっていて当然だ。
「………そうだけど、誰?」
警戒するようにそう訊ねて見れば、口角を綺麗に上げて名乗った。
「ゲルハルト・シェン。特級の魔法使いだよ」
「特級………」
記憶にあった人物で当たったことよりも、特級という位に驚きが隠せない。
どれだけ若くても二十歳以上でないと特級にはなれないと言われていたのに、それをまた覆したのか。
ホントにエリートはどこまでもエリートのままということを嫌なほど実感させられる。
「そ、特級。ちょっと時間がないから自己紹介はここまでにして、用件を伝えさせて貰うよ」
戸惑いを隠せない俺を放って一歩一歩近付いてくるゲルハルトに、俺はそれに合わせるように後退するも足のコンパスが異なるせいであっという間に、俺の目の前にゲルハルトが立った。
近付いたことにより、フードの下にあるシェン一族特有の白髪と黒い瞳がはっきりと見えた。
「今、ヨーゼフの能力に制限がかかっていてうまいこと任務が進まないんだ。それを解除するためにイヴ君にも協力して貰いたくて来たんだ」
俺の記憶にあるゲルハルトの声は、まだ声変わりもしていない子供のものだけだけれど、俺が生まれ変わってからもう十年の月日が経ったとすると、ゲルハルトは今十八才なわけだから声も顔も背丈も記憶にあるものから変わっていて当然だ。
「………そうだけど、誰?」
警戒するようにそう訊ねて見れば、口角を綺麗に上げて名乗った。
「ゲルハルト・シェン。特級の魔法使いだよ」
「特級………」
記憶にあった人物で当たったことよりも、特級という位に驚きが隠せない。
どれだけ若くても二十歳以上でないと特級にはなれないと言われていたのに、それをまた覆したのか。
ホントにエリートはどこまでもエリートのままということを嫌なほど実感させられる。
「そ、特級。ちょっと時間がないから自己紹介はここまでにして、用件を伝えさせて貰うよ」
戸惑いを隠せない俺を放って一歩一歩近付いてくるゲルハルトに、俺はそれに合わせるように後退するも足のコンパスが異なるせいであっという間に、俺の目の前にゲルハルトが立った。
近付いたことにより、フードの下にあるシェン一族特有の白髪と黒い瞳がはっきりと見えた。
「今、ヨーゼフの能力に制限がかかっていてうまいこと任務が進まないんだ。それを解除するためにイヴ君にも協力して貰いたくて来たんだ」
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