カランコエの咲く所で

mahiro

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「ヨーゼフ……本物か?」


まだ僅かに円やかさの残る頬や先生に似たまっすぐな金色の髪に触れてみれば、その手に俺よりも大きな手に包まれた。


「うん、僕が見せた夢の世界にいた僕じゃないよ。まぁ、ここも夢と言えば夢の世界ってことになるのかもしれないけど、この間見せていたような昼間に見る夢じゃなくて夜眠っているときに見る夢の世界ってところかな」


「それじゃあ、目が覚めれば忘れてしまうのか?」


「忘れてしまうかもしれないね」


残念そうに笑うヨーゼフのこの顔も体温も全て忘れてしまうのか。
やっと、会えたというのに。
失ってしまったかもしれない、あの小さな命がこんなにも大きくなって目の前に立っているというのに。


「忘れたくない………」


「僕も忘れて欲しくないな。でも、本来僕とイヴが眠ったタイミングが合わなくちゃ成立しなかったものを無理やりな形でつなぎ合わせたから、その障害で忘れちゃうかも………きっと、ゲルハルトさんならそんな障害なくやれちゃうんだろうけど」


悔しそうなヨーゼフに、ゲルハルトはヨーゼフにとって憧れであり、目標となるような人物であるのかなぁと何となく思った。
このヨーゼフももしかして、先生のような魔法使いになりたいのだろうか。
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