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「君、すごくいいね」
普段はサングラスで隠している綺麗な瞳を見開き、何が起きたか分からないと自身の手を見ていた女の子がゆっくりと己の肩をがっしりと掴む男性の顔を見ていた。
その2人の姿に、あぁ、彼の興味が私から彼女に移ったのだと悟った。
彼の興味が私から消え失せたなら、もうここに私の居場所はないのだろうなと思いながら、私はそっとその場を後にした。
「ロマーヌさん、おはようございます!」
あんな場面を目にしたというのに、毎朝の習慣というのは恐ろしく、どんなに眠れずとも身体は勝手に動き、いつも使っている箒を手に落ち葉を掃いていた。
ほぼ無心で清掃していると昨日聖女としての力を手にした女の子が満面の笑顔をこちらに向け駆け寄っていた。
昨日は町娘のような格好だったのに、もう教会が用意した服を着用していた。
彼が色々手を回し部下に準備をさせ、彼女専用の部屋も確保したに違いない。
私の名前もどうせ彼が勝手に伝えたのだ、と思うと息を吐いてしまった。
「はよ。朝早いのな」
「アハハ、なんというかアドレナリンが出てて寝れなくってさ」
困ったように頬を掻きながらそう言った彼女はラシェル・アースというらしい。
昨日一緒に暮らしていたお爺さんが他界し、落ち込んでいた所、いつもお爺さんを訊ねてきていた人が怪我をしたという情報を入手し、その人のもとへ向かった際、偶然、ラシェルに聖女としての力が宿り、その力を使っていた所を彼が目撃したらしい。
そして、そのまま教会に連れて来られたのだとか。
彼ーーーナマン・キュリーは、ここ一体の長であり、守護神と呼ばれている人物だ。
そんな彼は困っている人や国に役立つと思った人物を身近に置きたがる。
私のことなど、厄介でしかないはずなのに、ナマンは私をここに連れてきた。
それに恩を感じているし、不満はないがラシェルとともにいる姿を見たとき、私がここにいる意味がなくなったと感じたのだ。
私も聖女としての力が備わっているが、ラシェルのような強力な力ではない。
他より少し変わった力と血筋が備わっているだけで所詮はそれだけの存在。
女避けとして使われることもあるが、それももう不要だろう。
準備が整えばすぐにでも出ていこう。
その方がこの2人のためだ。
普段はサングラスで隠している綺麗な瞳を見開き、何が起きたか分からないと自身の手を見ていた女の子がゆっくりと己の肩をがっしりと掴む男性の顔を見ていた。
その2人の姿に、あぁ、彼の興味が私から彼女に移ったのだと悟った。
彼の興味が私から消え失せたなら、もうここに私の居場所はないのだろうなと思いながら、私はそっとその場を後にした。
「ロマーヌさん、おはようございます!」
あんな場面を目にしたというのに、毎朝の習慣というのは恐ろしく、どんなに眠れずとも身体は勝手に動き、いつも使っている箒を手に落ち葉を掃いていた。
ほぼ無心で清掃していると昨日聖女としての力を手にした女の子が満面の笑顔をこちらに向け駆け寄っていた。
昨日は町娘のような格好だったのに、もう教会が用意した服を着用していた。
彼が色々手を回し部下に準備をさせ、彼女専用の部屋も確保したに違いない。
私の名前もどうせ彼が勝手に伝えたのだ、と思うと息を吐いてしまった。
「はよ。朝早いのな」
「アハハ、なんというかアドレナリンが出てて寝れなくってさ」
困ったように頬を掻きながらそう言った彼女はラシェル・アースというらしい。
昨日一緒に暮らしていたお爺さんが他界し、落ち込んでいた所、いつもお爺さんを訊ねてきていた人が怪我をしたという情報を入手し、その人のもとへ向かった際、偶然、ラシェルに聖女としての力が宿り、その力を使っていた所を彼が目撃したらしい。
そして、そのまま教会に連れて来られたのだとか。
彼ーーーナマン・キュリーは、ここ一体の長であり、守護神と呼ばれている人物だ。
そんな彼は困っている人や国に役立つと思った人物を身近に置きたがる。
私のことなど、厄介でしかないはずなのに、ナマンは私をここに連れてきた。
それに恩を感じているし、不満はないがラシェルとともにいる姿を見たとき、私がここにいる意味がなくなったと感じたのだ。
私も聖女としての力が備わっているが、ラシェルのような強力な力ではない。
他より少し変わった力と血筋が備わっているだけで所詮はそれだけの存在。
女避けとして使われることもあるが、それももう不要だろう。
準備が整えばすぐにでも出ていこう。
その方がこの2人のためだ。
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