きっと、あなたは知らない

mahiro

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それから暫く浜砂としたわけなのだが、話せば話すほど平松の後輩にしておくのは勿体ない。
と私は思ってしまうわけ何だけど、浜砂にとってはエースなわけで。
しかも、聞いた話じゃ平松に憧れてこの高校に入ったのだとか。
まさか憧れていた人があんなんでがっかりしたかと思えば、それを支えるのが俺ですとか言える15歳っているのが驚き。

私の前じゃダメな男でも、私が見ていないところではしっかりエースとしているわけね。

そこをマドンナに見せれば良いのでは?と思うんだけど、見せる機会がないんだよね。
唯一見せられたのがだらけた姿というか情けない姿というかなんというか。

どうにかならないのか、と悩んでいたとき、なんとマドンナと話す機会が訪れたのです。


私は文化祭で衣装担当だから、舞台とかには立たないけれど、その人たちとは関わりがあるわけで。


樋ノ上ひのえさん!」


マドンナこと樋ノ上真由香さんに演劇部から借りた衣装を両手に持って駆け寄れば、まっすぐな黒髪を靡かせて振り返ってくれた。
まつげ長いし、色白だしスタイル良いし何なんだろう。
私と同じ人間ですか?


「ちょっとこれ着てみてくれないかな?もし調整必要なら調整するから」


「うん、ありがとう」


そう言って衣装を受け取り、着替えに行ってくれた。
いや、特別樋ノ上さんと不仲とかじゃなかったんだけど、話す機会もなかったし。
話そうと思っても話しにくい雰囲気がクラス全体であったしな。
こういうイベントでもなければ、話しにくい。
今も十分話しにくいけど、平松が来なくなったせいか以前よりかは話しやすくなったかな。
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