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ごめんな、日夏
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事件は起きてしまった。
よりによって学校が長引いてしまい、日夏のお迎えがいつもより遅くなってしまったのだ。
幸輝も空手の開始時間がいつもより早く、オレを待たずに一人で道場に向かったので日夏とは一度も会っていないそんなタイミング。
保育園に行ってもいつもの部屋には居なかったから嫌な予感はしたんだ。
いくら日夏の名前を呼んでも返事は返ってこないし、いつもなら出てくる先生も出てこないなんておかしいって。
慌てて部屋の中に入り、『職員以外立入禁止』と書かれたエリアに乗り込んだ所で日夏は発見したが、そのときの光景は一生オレの中から消えることはないだろう。
「日夏!」
今にも日夏に触れそうな男の大きな手。
今までに聞いたことのない日夏の叫び声。
そこに飛び込もうとした所、もう一人の共犯者と思わしき男の手がオレの頭に伸び大きな衝撃を受けたが、何とか踏み止まることが出来た。
こんなことで倒れてられるか!
とにかく日夏を助けなければ。
「あぁ、兄ちゃんが来ちまったよ」
「やっと可愛い日夏ちゃんに直接触れられたのに」
ゾワッとするほど粘着のある声。
クスクスと笑う耳障りな音。
オレの中で何かが切れた音がした。
「………許さない」
自分でもこんな低い声が出るのだと後になって思うくらい低い声を出し、男たちに近付いた所を最後にオレの意識は途絶えた。
意識を戻したときには、何故か見知らぬ病院の待合室にいて頭と手には包帯が巻かれていた。
何が起きたんだ。
「そうだ、日夏っ!」
日夏はどうなった。
オレが見たときはまだ男たちは日夏に触れて居なかった。
日夏も怯えてはいたが怪我をした様子もなかった。
きっと日夏はあの男たちから逃げて先生に助けを求めようとして中に入って逃げられなくなったのだろう。
その肝心な先生は一体何処に居たのか。
まさか、先生方にも何かしてないだろうな、あの男たち。
「兄さん」
そこへ暗い表情の幸輝がやってきた。
空手道場からそのまま来たのか格好がそのままだ。
「悪い、幸輝にも迷惑かけちゃったな。オレがいつも通り帰れればこんなことにならなかったのにな…」
「兄さんは悪くないよ。むしろ、兄さんが来なかったらどうなっていたか分からなかったし」
「そう、かな………」
だと良いが。
その後、それとなくあの後どうなったのか幸輝に聞けば、どうやらオレは男たちを逃がさないように捕まえて縛り上げ、警察を呼んだらしい。
警察の方で周りを見回った所、更に奥の部屋に先生方は閉じ込められていたようだ。
ある程度の事情聴取などを終えたところで帰ろうとしたら日夏が急に倒れ、オレが慌ててこの病院に駆け込んだらしい。
「………オレは保育園にパトカーが来た時点でおかしいと思って来てみたらそんな状況だったから、そのままそこにいて様子見てた」
「そっか…来てくれてありがとな、幸輝」
それから数時間後、先生らしき人が部屋から出てきて日夏は特に外傷はないと言われた。
だが、心の傷は別だとも。
先ほど幸輝とは普通に話せていたが、先生のような成人男性が近付くと怯えてしまうらしい。
それを聞いた瞬間、オレのせいだと思った。
よりによって学校が長引いてしまい、日夏のお迎えがいつもより遅くなってしまったのだ。
幸輝も空手の開始時間がいつもより早く、オレを待たずに一人で道場に向かったので日夏とは一度も会っていないそんなタイミング。
保育園に行ってもいつもの部屋には居なかったから嫌な予感はしたんだ。
いくら日夏の名前を呼んでも返事は返ってこないし、いつもなら出てくる先生も出てこないなんておかしいって。
慌てて部屋の中に入り、『職員以外立入禁止』と書かれたエリアに乗り込んだ所で日夏は発見したが、そのときの光景は一生オレの中から消えることはないだろう。
「日夏!」
今にも日夏に触れそうな男の大きな手。
今までに聞いたことのない日夏の叫び声。
そこに飛び込もうとした所、もう一人の共犯者と思わしき男の手がオレの頭に伸び大きな衝撃を受けたが、何とか踏み止まることが出来た。
こんなことで倒れてられるか!
とにかく日夏を助けなければ。
「あぁ、兄ちゃんが来ちまったよ」
「やっと可愛い日夏ちゃんに直接触れられたのに」
ゾワッとするほど粘着のある声。
クスクスと笑う耳障りな音。
オレの中で何かが切れた音がした。
「………許さない」
自分でもこんな低い声が出るのだと後になって思うくらい低い声を出し、男たちに近付いた所を最後にオレの意識は途絶えた。
意識を戻したときには、何故か見知らぬ病院の待合室にいて頭と手には包帯が巻かれていた。
何が起きたんだ。
「そうだ、日夏っ!」
日夏はどうなった。
オレが見たときはまだ男たちは日夏に触れて居なかった。
日夏も怯えてはいたが怪我をした様子もなかった。
きっと日夏はあの男たちから逃げて先生に助けを求めようとして中に入って逃げられなくなったのだろう。
その肝心な先生は一体何処に居たのか。
まさか、先生方にも何かしてないだろうな、あの男たち。
「兄さん」
そこへ暗い表情の幸輝がやってきた。
空手道場からそのまま来たのか格好がそのままだ。
「悪い、幸輝にも迷惑かけちゃったな。オレがいつも通り帰れればこんなことにならなかったのにな…」
「兄さんは悪くないよ。むしろ、兄さんが来なかったらどうなっていたか分からなかったし」
「そう、かな………」
だと良いが。
その後、それとなくあの後どうなったのか幸輝に聞けば、どうやらオレは男たちを逃がさないように捕まえて縛り上げ、警察を呼んだらしい。
警察の方で周りを見回った所、更に奥の部屋に先生方は閉じ込められていたようだ。
ある程度の事情聴取などを終えたところで帰ろうとしたら日夏が急に倒れ、オレが慌ててこの病院に駆け込んだらしい。
「………オレは保育園にパトカーが来た時点でおかしいと思って来てみたらそんな状況だったから、そのままそこにいて様子見てた」
「そっか…来てくれてありがとな、幸輝」
それから数時間後、先生らしき人が部屋から出てきて日夏は特に外傷はないと言われた。
だが、心の傷は別だとも。
先ほど幸輝とは普通に話せていたが、先生のような成人男性が近付くと怯えてしまうらしい。
それを聞いた瞬間、オレのせいだと思った。
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