オレに触らないでくれ

mahiro

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告白が終わりではないと知って

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「で?恥ずかしくなって逃げてきたと?」


「ハイ」


はぁ、と璃生に溜め息を吐かれた。
あの後、宮永に徐々にリハビリ頑張っていこうな、オレ応援するから?とか言って逃げようとしたらまた捕まって、卒業後、大学近くのアパートにルームシェアしようと言われて深く考えもせずに頷いたらやっと解放され、宮永の家を出て真っ先に璃生の家に走ってきました。
良いんだ、幸輝は今日部活の大会で遠方に行っていて帰れないし、日夏も女友達の家に泊まりに行ったし。
オレの合格祝いはどうせ明日以降だったし。


「色んな意味でおめでとう」


パチパチと乾いた拍手を叩かれたが、璃生の顔は無表情だし目は座ってる。
面倒なんだよな、分かるけど聞いてくれよ。


「ありがとう……喜ぶべきことなんだろうけど、オレの頭が全くついていかないんだよ」


「超難関校受かっといてそれってどうなんだよ」


「それとこれは別だろ………勉強が出来ても恋愛は出来ない奴とかいるじゃん世の中………」


「いるかもしれないけど、両立できてる人もいるだろ」


「オレはそんな器用なマネできないっての!こちとら初恋が実ってえらいこっちゃなんだよ…そんでもって好きな人がオレに触れてガタガタ震えてるんだよ。日夏のときは震えてても頑張ってる姿みて頑張れ、日夏なら出来るぞって思いながら見れていたけど、宮永の場合はそんなに頑張らないでくれって言いたくなっちゃうんだよ!」


「そこは同じ様に応援してやれよ。むしろ宮永の方を頑張って応援しろよ。好きな人に触れたいのに触れられない方が辛いの分かるだろ?」


「そりゃ……分かるけど」


オレの場合、側にいられることも二人きりで話せるとも思ってなかったし、両思いになんてなれるわけがないと思っていたから触れる、触れないの問題なんか一度として考えたことなかったんだ。


「俺は葵に毎日触れたいし、葵がもし同じ状況ならさりげなく側にいて毎日どこかに触れて慣れさせるけど?震えていたら安心するまで握りしめててやるし」


やりそう。
璃生ならやりそう。


「それで葵が震えなくなったら、そのときは葵の様子を見つつステップを上げてくけど?」


「やめてくれ………友人のそういう話しは聞きたくない…」


「聞かされてる俺はどうなるんだよ」


「すまん……。そうだよな、オレが聞かせてるよな」


はははは、と力なく笑って項垂れる。
そこへ璃生の手が乗せられた。


「俺から言えるのは……そうだな、宮永が頑張ってるんだからお前も逃げずに頑張れよ。ルームシェアするってことは今まで以上に生活を共にするってことなんだから気合い入れておけ」


わしゃわしゃと頭を撫でられる。
そうだよな、宮永が頑張ってるのにオレは逃げてばっかりだな。
璃生の言う通り、逃げないで宮永と向き合わないと。


「ちなみにお前はされる側だな」


「は?!いきなりなんだよ?!」


「いや、何かお前がする側とは到底思えないと思って」


撫でられた手を退けて璃生の顔を見れば、やはり人を馬鹿にしたような顔でオレのこと見てるし!
少しでも良い奴だと思ったオレが悪かった!


「分からないだろ!オレだって男なんだから」


「分かる。お前はやる側じゃない。だって、宮永に痛い思いをさせるより自分がそちらの立ち位置になるって思うだろ?」


「そりゃ……確かに宮永にそんな思いをさせるならオレが、とは思うけど、それとこれとは」


「別じゃないね。俺、葵にそんなこと思わないもんな。そんな思いをしてでも俺を受け入れて欲しいって思ってるから」


「お、おぉ……」


聞いてるこっちが恥ずかしくなくるような内容をよくスラスラ言えるな、こいつ。
これが恋愛経験の差か。


「頑張れ、恋愛初心者」


「頑張ります……」
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