2 / 51
2
冷えきった部屋の電気をつけ、暖房のスイッチをすぐに入れた。
「汚いですが、適当に座ってください」
玄関で立ち尽くす男性に声をかければ、茶髪のふわふわした、髪の隙間から赤くなった目をこちらに向けた。
「………?」
「どうして」
こんなことをしてくれるのか、だろうか。
別にそんなの理由が必要だろうか。
困っている人がいたら助ける、なんてヒーローみたいなことは言えない。
けれど、出来ることがあるならやれる範囲でやる、のは当然のことなのではないだろうか。
「理由なんて良いじゃないですか。ほら、玄関は冷えますよ」
俺がそう言えば、男性は諦めたのか漸く中に入ってきた。
まさかこんなに背の高い男性とは思わず、着替えはない。
当たり前だがパンツだってサイズが合うとは思えない。
でもとりあえずシャワーでも浴びて貰うか。
いや、いきなりそんなこと言ったらよけいに警戒されるか。
「………凄い資料の山ですね」
「あぁ、散らかっていてすみません。今退けますね」
床に資料の束があり、それを退けようとすれば首を横に振られた。
「別にそのままで大丈夫ですから」
「そうですか?邪魔なら退かしてください」
そう言えば、男性は頷き空いているスペースに腰を降ろしたのでクッションを手渡しそれの上に座らせた。
お茶まだあったような、と台所の戸棚を見ていれば、ラスト1つあった。
今度買ってこなければダメだな、と思いながら最後のそれを準備し男性の前にそれを差し出した。
「はい、暖かいうちにどうぞ」
「ありがとうございます」
素直にそれを受け取った男性は恐る恐るそれに口をつけて、暖かい、と言っていた。
もしかして俺が思っているよりも長い時間あそこに座り込んでいたのだろうか。
「………お兄さん、いい人ですね」
「そうですか?別に俺は自分のことそうとは思えませんけど」
着ていたジャケットを脱いでハンガーにかけ、ネクタイを外して元の定位置に戻した。
「いい人ですよ………普通、あんなところに座り込んでいた人が居たら見て見ぬふりしますよ」
「ううん………それも出来たでしょうけど、家に帰って気にして過ごすよりはまだ良いと思いましてね」
「やっぱりいい人です………」
両手でお茶の入ったコップを握る男性の横顔は憂いを帯びていて、何となくこの人は女性にモテそうだなと思った。
「そんないい人に、俺の話を聞いて貰っても良いですか?」
「汚いですが、適当に座ってください」
玄関で立ち尽くす男性に声をかければ、茶髪のふわふわした、髪の隙間から赤くなった目をこちらに向けた。
「………?」
「どうして」
こんなことをしてくれるのか、だろうか。
別にそんなの理由が必要だろうか。
困っている人がいたら助ける、なんてヒーローみたいなことは言えない。
けれど、出来ることがあるならやれる範囲でやる、のは当然のことなのではないだろうか。
「理由なんて良いじゃないですか。ほら、玄関は冷えますよ」
俺がそう言えば、男性は諦めたのか漸く中に入ってきた。
まさかこんなに背の高い男性とは思わず、着替えはない。
当たり前だがパンツだってサイズが合うとは思えない。
でもとりあえずシャワーでも浴びて貰うか。
いや、いきなりそんなこと言ったらよけいに警戒されるか。
「………凄い資料の山ですね」
「あぁ、散らかっていてすみません。今退けますね」
床に資料の束があり、それを退けようとすれば首を横に振られた。
「別にそのままで大丈夫ですから」
「そうですか?邪魔なら退かしてください」
そう言えば、男性は頷き空いているスペースに腰を降ろしたのでクッションを手渡しそれの上に座らせた。
お茶まだあったような、と台所の戸棚を見ていれば、ラスト1つあった。
今度買ってこなければダメだな、と思いながら最後のそれを準備し男性の前にそれを差し出した。
「はい、暖かいうちにどうぞ」
「ありがとうございます」
素直にそれを受け取った男性は恐る恐るそれに口をつけて、暖かい、と言っていた。
もしかして俺が思っているよりも長い時間あそこに座り込んでいたのだろうか。
「………お兄さん、いい人ですね」
「そうですか?別に俺は自分のことそうとは思えませんけど」
着ていたジャケットを脱いでハンガーにかけ、ネクタイを外して元の定位置に戻した。
「いい人ですよ………普通、あんなところに座り込んでいた人が居たら見て見ぬふりしますよ」
「ううん………それも出来たでしょうけど、家に帰って気にして過ごすよりはまだ良いと思いましてね」
「やっぱりいい人です………」
両手でお茶の入ったコップを握る男性の横顔は憂いを帯びていて、何となくこの人は女性にモテそうだなと思った。
「そんないい人に、俺の話を聞いて貰っても良いですか?」
あなたにおすすめの小説
伝導率30%の体温
温 詩夏
BL
良太は優しくて真面目な、普通の会社員。
一人で生きると決めていたけれど、同期だった修真に恋をした。
好きだと気づくまでに時間がかかって、
好きだと分かってからも心が追いつくのには時間がかかる。
そんな、初めての恋の温度に静かに触れていく物語です。
*
読んでくれる方にこの子の背中をそっと見守ってもらえたら嬉しいです。
バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる
衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。
男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。
すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。
選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。
二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。
元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。
刺されて始まる恋もある
神山おが屑
BL
ストーカーに困るイケメン大学生城田雪人に恋人のフリを頼まれた大学生黒川月兎、そんな雪人とデートの振りして食事に行っていたらストーカーに刺されて病院送り罪悪感からか毎日お見舞いに来る雪人、罪悪感からか毎日大学でも心配してくる雪人、罪悪感からかやたら世話をしてくる雪人、まるで本当の恋人のような距離感に戸惑う月兎そんなふたりの刺されて始まる恋の話。
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
本気になった幼なじみがメロすぎます!
文月あお
BL
同じマンションに住む年下の幼なじみ・玲央は、イケメンで、生意気だけど根はいいやつだし、とてもモテる。
俺は失恋するたびに「玲央みたいな男に生まれたかったなぁ」なんて思う。
いいなぁ玲央は。きっと俺より経験豊富なんだろうな――と、つい出来心で聞いてしまったんだ。
「やっぱ唇ってさ、やわらけーの?」
その軽率な質問が、俺と玲央の幼なじみライフを、まるっと変えてしまった。
「忘れないでよ、今日のこと」
「唯くんは俺の隣しかだめだから」
「なんで邪魔してたか、わかんねーの?」
俺と玲央は幼なじみで。男同士で。生まれたときからずっと一緒で。
俺の恋の相手は女の子のはずだし、玲央の恋の相手は、もっと素敵な人であるはずなのに。
「素数でも数えてなきゃ、俺はふつーにこうなんだよ、唯くんといたら」
そんな必死な顔で迫ってくんなよ……メロすぎんだろーが……!
【攻め】倉田玲央(高一)×【受け】五十嵐唯(高三)