広がる世界

mahiro

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久しぶりに聞こえる声に、思わず胸がざわめき出してしまい、すぐさま電話を切りたくなった。
何故電話に出てしまったのか、その理由は俺が荒巻さんを嫌っているから一緒に暮らしたくないと勘違いされたくない一心だったのだ。
何故勘違いされたら困るのか、それは。


『似た者でもいいやぁ。嶋貫ー!俺のこと嫌いじゃないってホント?!』


「嫌いではありませんよ」


『それじゃあ好き?!』


「……………」


荒巻さんのその問いかけに思わず、開けていた口を閉ざしてしまった。
この『好き』とは、友達の意味の『好き』なのだろうか。
それとも一般的に異性に感じる『好き』だろうか。
どれが正しいのか分からない。
一般的には同性に問われるこの質問に、迷う必要などなく、友達としての『好き』だとしか思い浮かべないだろう。
だけど、俺の場合はそうじゃない。


「嶋貫」


何も返答を返さない俺に、目の前で真剣な表情を向けた宇佐美さんがいた。


「考えてるようなこと、迷っているようなこと、全て吐いちゃえよ。きっと、それを荒巻は望んでるぞ」
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