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「どうした?」
不思議そうに私とジュリアンを見るローランドに、私は言った。
「あのね、彼女、ジュリアンっていう子なんだけど、ローランドの家で働かせてくれないかしら?」
「え?」
「ふむ……」
ジュリアンは私の言ったことに驚き、ローランドは私を探るように見つめてきた。
きっと、何か意図があってそう言ってきたのだろうけど、それが何なのか考えている所だろう。
正直に前の『私』の味方であった人物だと言えないのが辛いが、今でも大切な人物であることに変わりはない。
少しでもジュリアンにも幸せになれる環境を作ってあげたいのだ。
こんな、良い思い出のない城で、常に見張られているような生活ではなく、伸び伸びとした環境でジュリアンがやりたいと願うことをやって欲しいと願ってしまう。
それを行える場所は、今だとローランドの家しか思い付かない。
「あの、ローレンス様?」
ジュリアンは慌てたように私に駆け寄り、耳打ちをしてきた。
「お嬢様、私はこの城から離れることは」
「大丈夫よ。ジュリアンが私と殿下を監視したり、接する場所を作らなくて良くなるようになったから」
「それでも……そう簡単にあのお二人が私を外に出して下さるかどうか……」
ジュリアンは私の腕に力なく触れ、今にも泣きそうな表情で私を見つめた。
まるで、『私』が今から地下牢に連れていかれる前のときのようだ。
「ん………何だかよく分からないが、良いぞ?君がどうしてもと言うのなら」
「どうしても!」
間髪置かずにそう答えれば、ローランドは何やら満足そうに笑って決定だ、と言った。
それを見ていたジュリアンは瞳を開いたまま、ボタボタという音が立ちそうな程に大きな粒の涙を流し始めた。
不思議そうに私とジュリアンを見るローランドに、私は言った。
「あのね、彼女、ジュリアンっていう子なんだけど、ローランドの家で働かせてくれないかしら?」
「え?」
「ふむ……」
ジュリアンは私の言ったことに驚き、ローランドは私を探るように見つめてきた。
きっと、何か意図があってそう言ってきたのだろうけど、それが何なのか考えている所だろう。
正直に前の『私』の味方であった人物だと言えないのが辛いが、今でも大切な人物であることに変わりはない。
少しでもジュリアンにも幸せになれる環境を作ってあげたいのだ。
こんな、良い思い出のない城で、常に見張られているような生活ではなく、伸び伸びとした環境でジュリアンがやりたいと願うことをやって欲しいと願ってしまう。
それを行える場所は、今だとローランドの家しか思い付かない。
「あの、ローレンス様?」
ジュリアンは慌てたように私に駆け寄り、耳打ちをしてきた。
「お嬢様、私はこの城から離れることは」
「大丈夫よ。ジュリアンが私と殿下を監視したり、接する場所を作らなくて良くなるようになったから」
「それでも……そう簡単にあのお二人が私を外に出して下さるかどうか……」
ジュリアンは私の腕に力なく触れ、今にも泣きそうな表情で私を見つめた。
まるで、『私』が今から地下牢に連れていかれる前のときのようだ。
「ん………何だかよく分からないが、良いぞ?君がどうしてもと言うのなら」
「どうしても!」
間髪置かずにそう答えれば、ローランドは何やら満足そうに笑って決定だ、と言った。
それを見ていたジュリアンは瞳を開いたまま、ボタボタという音が立ちそうな程に大きな粒の涙を流し始めた。
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