氷の魔術師(引きこもり)のはずなのに、溺愛されても困ります。

入海月子

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確かめ合う③

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 彼の指と舌に翻弄されて、サナリの頭も身体もどんどん快感でいっぱいになってくる。

「ぁあああーーーッ」

 気持ちよさが極まって、サナリは背を反らせた。
 そこにシーファのものが入ってくる。

「あっ、あ、ま、待って……ああんっ……」

 ビクビクと痙攣している中を擦られて、さらなる快感がサナリを襲う。
 ぴったりと重なり合うと、シーファはサナリを抱きしめ、深いキスをした。

「僕のものだ、ぜんぶ」
「はい」
「なにかを自分のものと思えたのは初めてだよ、サナリ」

 後ほど、落ち着いたときにシーファは語ってくれた。
 孤児院ではなにもかもが共有物で彼のものはなかった。
 『先生』がシーファにいろいろ与えてくれたが、彼はすべて借り物のような気でいたそうだ。
 サナリが自分をすべて差し出してくれたのを感じて、ようやくシーファの心に自分のものという感覚が生まれたのだという。

「サナリ、愛してる。サナリをくれて、ありがとう。今度は僕のぜんぶをあげるよ」
「うれしいです、シーファ。私も愛してます」

 彼を受け入れ幸せそうに微笑むサナリにもう一度キスをして、シーファはゆっくり腰を動かし始めた。
 言葉の通り、自分のすべてを差し出すように。

 体の奥深くまでシーファを感じて、サナリは甘い溜め息を漏らす。
 心から思い合えた二人は満たされ、身体を擦りつけ合った。
 気持ちよさが倍増するような心地でサナリはこらえきれず喘いだ。幸福感に脳がしびれる。

「あ、んっ、あぁ、シーファ、きもちいっ、んんっ」

 かわいらしい声で彼の名を呼ぶサナリに、シーファは愛しさが高まり、その想いをぶつけるように身体を打ちつける。サナリも懸命にそれに応えた。
 互いに与え合い、求め合う。
 それはもう一方的な行為ではなかった。
 二人は腰を動かし、唇を合わせ、幸せな時間を過ごした。


 アルザラス地方を取り戻して、トッレ伯爵は生き生きしていた。
 早速、領地に戻ると、税率を下げ、次の収穫期に備えてあちこち飛び回っているらしい。領民も大歓迎で彼を迎えた。
 結婚を決めた二人はトッレ伯爵のもとを訪れた。

「サナリと結婚させてもらいたい」

 シーファが挨拶のあと、単刀直入に許可を求めた。
 寄り添い、仲睦まじい二人の姿を見て、伯爵は目を細める。

「君を誤解していて、すまなかった。アルザラス地方を取り戻してくれて、礼を言う。ありがとう」

 トッレ伯爵は謁見の間でのやり取りを見て、シーファをサナリの純潔を奪ったくせに責任を取ろうとしない卑怯な男だと憤っていたらしい。だが、事情を知った彼は反省して、改めてシーファに頭を下げたのだ。
 しかし、平民のままでいるというサナリの選択を伝えたら、当然のように猛反対された。
 せっかくシーファを見直したようだったトッレ伯爵だったが、それなら結婚を許さないと言う。
 出直して説得しようとしていたサナリだったが、そこに国王の介入まであって、結局、シーファはガレッティ公爵を継ぎ、トッレ伯爵令嬢を娶る形に落ち着くことになった。
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