ナナシノハナシSideH

雪本 歩

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SideH「君の代わりに。」

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 とある街の裏路地をナナシが覗き込むと、露天を広げる男を見つけました。大きな道から離れていることもあって、人が通る事などほとんどないでしょう。商人はぷかぷかと薄紫色の煙を吐きながら、路地の少し奥まった場所で静かに佇んでいたのです。
 高い建物に囲まれているからか、そこは薄暗く、雨も降っていないのに少しだけ地面が湿り気を帯びています。よくよく目を凝らして見ると、商人が寄り掛かっている赤茶のレンガには、僅かに苔が生えていることに気が付きました。
 ナナシは商人ではありませんが、こんな場所で物を並べても誰にも見てもらえないことはわかります。もしかしたら、危ない物を売っているのかもしれません。
 ナナシは少し考え、自分から危険に近寄ることはないと、その場から離れようとしました。

「そこの旅人さん、運が良い。ちょうど『ミガワリ』が入荷してるよ」

 離れるよりも早く、大きな声が路地から響きました。声の方を見ると、商人が薄笑いを浮かべて手招きをしています。
 そのままその場を立ち去っても良かったでしょう。しかし、聞いたことのない品物に興味を惹かれ、ナナシは思わず露天に近寄ってしまいました。

「いらっしゃい、旅人さん」

 商人は骨の凹凸がわかるほどやせ細った上半身と対照的に、大きなカボチャのようなズボンを履いています。片手に持つ金属の管からは、先ほど見えた煙がゆっくりと漂い出て、空中に消えていきました。
 地面に広げられた布の上には、見たことのない物が並んでいます。
 透き通っていて七色に光を反射している生き物の頭蓋骨に、一輪の紅いバラが浮かぶ瓶詰め。吊り下げ型のランタンの中では、青い炎をまとった目の無い鳥が、低く小さな声で鳴き続けています。
 どの品も奇妙な物だとわかるのに、不思議と全てがとても魅力的に見えました。

「先ほど言っていた品はどれですか?」

 品を眺めながらナナシが尋ねると、商人は口元の薄ら笑みを大きくしました。

「『ミガワリ』が欲しいのかい? わかるよ、旅をする上でこいつは便利だからね」

 言いながら、商人が傍らの薄汚れた大きな鞄から何かを取り出します。

「普段はすぐに全部売れちまうんだ。あんたは運が良い、ちょうど一人分残っているよ」

 商人はナナシの前にひとつの箱を差し出してきました。
 模様も柄も無い薄汚れた無地の木箱は、三角屋根の小さな家のようでした。側面には四角い穴が等間隔に三つ開いていて、屋根と壁の境目には金属の蝶番が付いています。中に何か居るのか、穴に耳を近づけると小さな物音と鳴き声のようなものが聞こえてきました。

「開けてもよいですか?」

 ナナシが尋ねると、商人は声を出さず、首を縦に動かしました。
 屋根の端を持って箱を開くと、中には小さな生き物が一匹、おしりを床につけて座りこんでいました。見た目は、布を被ったおばけに似ていました。しかしお化けとは違い、暗めのみかん色の布から黒い脚が見えています。
 黒い顔に浮かぶ白い目が、ナナシに気づいて見つめてきました。


「そいつが『ミガワリ』だよ。普段なら高値を付けるんだがな、そのミガワリはミガワリにしちゃ臆病で、少し難がある。主のミガワリをちゃんとできるか、些か不安だ」

 じっと箱の中を見つめていたナナシに向かって商人が言いました。

「旅人さん、それでもよければ、そいつを連れて行ってもいいぜ」

 ナナシは驚いて顔を上げ、商人を見ました。

「それは、どういうことですか?」

「こっちもそれの扱いに困っていたから、ここは助け合いの精神でいこうじゃないか」

「ボクがこの子を連れて行くことで、あなたの助けになるんですか?」

「そうさ。そしてミガワリは、旅人さんの役に立つだろう。絶対という保証はしないから、役に立たなくても文句を言わないのが条件さ」

「そうですか」

 ナナシは箱の中でじっとしている「ミガワリ」を見つめました。
 隠れる場所を探しているのか、ミガワリは落ち着きなく箱の中を見回しています。その姿が、ナナシにはなんだか可哀想に思えてしかたがありません。

「ボクと一緒に来ますか? 無理にとは言いません」

 箱を一度地面に置き、ナナシはミガワリを手のひらに乗せました。自分の顔の近くまで持ち上げてやると、その小さな存在に優しく声をかけました。
 するとミガワリは少しの間身動きを止めて、じっとナナシを見つめていました。それからナナシの親指をぎゅっと抱きしめるようにして、答えを示してくれました。

「わかりました。この子はボクが連れて行きます」

「まいどあり」

 商人は紫色の煙を吐き、自分の思い通りになって満足したように笑いました。

 * * *

 ミガワリを鞄の中に入れ、ナナシは商人の側を離れました。そろそろ夜がやってきます。人々が各々の家や宿を目指して歩き始める中、ナナシは、はたっと道端で立ち止まりました。
 ナナシは名前も記憶も、何にも持っていない旅人です。鞄は持っていても中にあるのは少しばかりの食糧だけで、この街に流通している「通貨」は持っていません。もちろん、お金に換えることができる宝飾品や貴重品も。
 街の外に出てから野宿をしても良いのでしょうが、鞄の中のミガワリを思うと、できれば屋根のあるところで寝かせてあげたいと思いました。

「旅人サン、旅人サン」

 すると本当に小さな呼び声が聞こえて、ナナシは驚いて当たりを見回しました。周囲にナナシを呼び留めるような人影はまったくありません。
 何度も呼ぶ声に耳を澄ませてみると、声が腰のあたりから聞こえてきたことに気づき、ナナシは肩掛け鞄に目を落とします。すると、鞄の蓋を押し上げている小さな顔――先ほど譲り受けたミガワリと目が合いました。

「旅人サン」

 ミガワリが言います。

「ドウシタノ? 何か、困ってル?」

 ナナシはミガワリが声を発したことに驚き、手のひらに乗せて尋ねました。

「キミは、言葉が話せるんですか?」

「旅人サン、何か困ってル? 役に立てること、アル?」

 ミガワリはナナシの問いには答えず、同じ問いかけをまたしてきました。
 どう答えたら良いか少し悩んだ後、ナナシは正直にミガワリに言いました。

「夜になるのに、ボクたちは今泊まる場所がありません。お金もないのでなんとか食糧と交換で、泊めてくれる場所を探してみましょう」

「……それなら」

 ミガワリはどこか言いづらそうに顔をしかめながら、ナナシに言いました。

「お店で、代わりになる。タブン、大丈夫」

 ミガワリはそれだけ言うと俯いてしまい、何も言わなくなってしまいました。ナナシにもらわれたばかりでまだ不安なのか、ミガワリは押し黙り、動こうとしません。
 最初に顔を合わせた時のあの不安げな様子に逆戻りしてしまい、ナナシはどうしたものかと考えました。ひとまず鞄の中に戻してやりながら、ナナシは大事なことを聞いていなかったことに気づいて、ミガワリに聞きました。

「キミに名前はありますか? 何と呼んだらいいんでしょうか」

 するとミガワリは鞄の縁から顔を出し、ナナシをじっと見つめて言いました。

「――ミガワリはミガワリだよ。他にも仲間はたくさんイルケド、みんなミガワリだからミガワリって呼バレルノ」

「じゃあ名前は無いんですね、ボクと同じだ」

 ナナシが言うと、ミガワリは小さな目を大きくしてナナシに言いました。

「旅人サン、名前がナイノ?」

「ボクは名前も記憶も、何にもないんです。気づいた時には旅をしていました。今は、自分の名前や、自分を探すという目的があることが、唯一ボクにあるものです」

「それじゃあ、ナナシの旅人サンだ」

 ナナシには何が面白いのかわかりませんが、ミガワリがクフクフと小さく声を出して笑いました。

「じゃあ、キミのことは『ジユ』と呼びますね。ミガワリと呼ぶのは、なんだか嫌なので」

 お返しとばかりにナナシがそう言うと、ミガワリ――ジユは、目の下辺りを少し赤くして「ミガワリに名前ツケル、ナナシは変」と、小さな声で言うや、鞄の中に隠れてしまいました。
 二人は一軒の小さな宿場を見つけて中に入りました。すぐ側にあったテーブルに眠たげに座っていた主人が、驚いた顔をしてナナシを見ました。土埃で少し汚れた緑の外套を目に留めて、主人は眉間にシワを刻みます。

「この街に旅人が来るなんて! お前さん、金はあるんだろうな」

「申し訳ないのですが、通貨と呼ぶ物は持っていません。いくらか食糧をお譲りするので、一泊だけさせてもらうことはできませんか」

 ナナシが言うや、主人はあからさまな溜息を吐きました。

「ダメだ、ダメだ。うちで泊まるのに物を差し出されても困るんだよ。悪いが、他所をあたってくれ」

 素気無く扱われては、ナナシも何も言いようがありません。

「ナナシ、ナナシ……これ、使ってイイヨ」

 何か言わなければと思っていたところ、鞄の中から布に包まれたジユの腕が出て、ナナシに何かを見せています。ジユの手には、服のボタンがひとつ、握られていました。
 それを受け取ると、手はすぐに鞄の中へと消えてしまいます。
 使って良いと言われても、何かはわからないボタンひとつで店主が心変わりするとは思えません。困ったようにボタンを眺めていると、店主がナナシに言いました。

「おい、その手に持っているものはなんだ」

「これは、今ジユが……ミガワリの子が、渡してくれました」

「ミガワリだって?」

 その名を口にしたとたん、宿場の主人は色めき立った声を上げて言いました。

「旅人さん、ミガワリを持っているなら話が早い。部屋だけならそのミガワリのボタンひとつで構わない。もしミガワリを渡してくれれば、食糧や旅の荷物も用意するよ。どうするかい?」

 矢継ぎ早に話す主人は、先ほどとは真逆に歓待の表情を浮かべていました。
 突然の変わりようにナナシは驚くばかりです。しかし、ここで不必要にジユを見せるのは良くないと思い、手にしていたボタンを押し付けるように主人に手渡しました。それから差し出された部屋の鍵を半ば奪うように受け取ると、慌ててあてがわれた部屋に駆け込みました。

「ジユ、ジユ。これはどういうことですか?」

 部屋に入って心を落ち着けてから、ナナシは鞄の蓋を開けて中を覗き込みました。他の荷物に囲まれて少し居心地悪そうにしていたジユが、ナナシを見上げて言います。

「お金の代わりをしたんダヨ。ナナシ、困ってイタカラ、役に立チタクテ」

「お金の代わり? そんなことが、できるんですか」

「デキルヨ。だって、『ミガワリ』ダカラ」

 ジユはさも当たり前のように言い切りました。
 その様子にナナシは困って尋ねました。

「その『ミガワリ』というのは何ですか?」

「ミガワリは、ミガワリだよ。ぼくらは、代わりになることがデキテ、代わりになることが使命で、幸セなの。代わりになれればナンデモいいの」

 そこまで言って、ジユは寂しそうに口元を下げて言葉を続けます。

「でも、ナナシの代わりにはナレナイ。ナナシと代わってあげても、ナナシが『ミガワリ』になるだけ。ナナシは『ミガワリ』ナリタイ? ナリタイなら、代わってあげる」

 ジユの話を聞いても、まるで理解ができません。
 ジユが言うには、「ミガワリ」という種族には価値があって、様々な価値や物の代わりができるということです。先ほど渡されたボタンはジユの服に付いていたもので、宿で一泊できる価値の代わりになったのです。
 確かに、ジユが着ている服のお腹の辺りには糸のほつれた跡がありました。ボタンひとつで一泊できるなら、ジユ自体の価値は相当なものです。
 それを渡してきた商人の表情を思い出しながら、ナナシは心の奥底から濃い灰色の雲が湧き出てくるように、胸元がざわめきました。でもその気持ちを明確な言葉にすることができません。

「ボクは、ボク自身を旅で見つけるから、ジユが代わりになる必要はないですよ」

 そう言って、ジユの提案を断ることしか、今のナナシにはできませんでした。

 * * *

 翌日の朝。主人にジユの姿を見せないようにして、ナナシは宿を後にしました。宿を出る時にも主人はとても愛想良く、旅の準備は必要無いかと尋ねては、しきりに鞄の方を見ていた気がしたからです。
 ナナシは、それはそれは丁寧に何度も断って、その街を早々に出ることにしました。
 ジユはナナシ以外の人が怖いのか、最初はナナシが肩から下げる鞄の中に身を落ち着けていました。ですがそこはあまり快適とは言えないようで、ナナシが走れば鞄も跳ね、ナナシが飛び跳ねれば鞄の中は天変地異が起きたかのように揺れ動きます。
 しばらくしてジユが音を上げ、今ではすっかりナナシの頭の上が定位置になりました。

「ナナシ、ナナシ」

 ジユがとんがり帽子の中からナナシを呼びます。

「ナナシはなんで、自分を探してイルノ? 何にも無いコトは、悪いコトじゃないと、ジユは思ウ」

 ジユにそう尋ねられ、ナナシは少し考えました。


 確かに自分が無いということは、望めばどんな自分にでも成れるということです。例えばジユが言ったように、ジユと代わってもらって「ミガワリ」に成ることもできるのでしょう。例えば物語の中のように、世界を救う英雄になることもできるでしょう。
 でもそれらを考えても、ナナシの心にはしっくりとこないのでした。与えられた自分は本当に自分なのだろうか。望んだ姿になったとしても、それは自分のモノなのだろうか。そう考えてしまうのです。
 でもそれをジユに伝えても、ジユには理解できないでしょう。だからナナシは言いました。

「何にも無いのは不安だし、とても弱いことです。先日のように、お金が無いと屋根の下で眠ることができません。安全にお腹を満たすこともできないし、自分が何者か、ボク自身が説明できないことは、なんだか心細いのです」

「説明デキナイ、どうなるの?」

「ボク自身をこういう人ですと説明ができないと、人はボクが悪い人なのか良い人なのかが判断できません。記憶や名前、いろんなものに、その人を証明するものが詰まっているとボクは思うんです。
 今のボクにはそれが無いので、人はボクを信頼してはくれません。悪い人なのか、良い人なのか、過去も名前も無いボクにもわからないからですよ」

 ナナシの言葉に、ジユは小さなうなり声を上げて何やら考えているようでした。
 しばらく悩むような声が帽子の中に響きます。そうして、小さく「よくワカラナイ」と言いました。

「ナナシ、ジユがダメなの知ってて連れて行ってくれた。ナナシは良い人。それじゃダメ?」

「ジユがそれで良いなら、良いんですよ」

 ジユの言葉に、ナナシは小さく笑いながら答えました。
「ミガワリ」という生き物がどんなものなのかナナシはまだよく知りませんが、ジユの言葉に裏や偽りがあるとは思えませんでした。今も楽しげに足をパタパタと動かしている様子を知ると、ナナシよりも幼い思考の持ち主なのだと感じます。人とすれ違う時には帽子の中に隠れ、誰も居ない時は楽しげに外の世界を見ているのと、臆病だけど好奇心が旺盛な子なのだとわかります。今ではどうしてこの子が「不良品」などと言われていたのか、とても不思議でなりません。

「ナナシ! 足元危ナイ!」

 聞いたことのない鼻歌を歌うジユの声を聴いていたら自然と気を取られていたのか、ナナシは足元に大きな石があることに気づかず、そのまま片足を突っ掛けてしまいました。慌てて倒れないよう地面に片手をついて、もう片手で帽子を押さえてジユが落ちないようにするのがやっとでした。

「ナナシ、ナナシ。大丈夫?」

 抑えた帽子の中でジユが暴れています。ナナシは身の回りを確認してから、頭の上のジユをそっと手のひらに乗せました。

「ジユ、ケガはしていませんか?」

「ジユは大丈夫だよ。ナナシ、膝ケガしているよ」

 ぴょんと手のひらから飛び降りて、ジユはナナシの膝を覗き込みました。ぶかぶかのズボンが破けていて、そこに少しだけ血が滲んでいます。
 ナナシはジユに言われて初めて自分がケガをしていることに気づきました。旅をしていればよくある小さなケガのひとつです。

「これくらいなら大丈夫です」

 血の滲んだ布を見て、ジユがそっと布に覆われた両手を差し出し言いました。

「痛いの痛いの、ジユが代わってアゲル」

 擦りむいた箇所を優しく撫でながら、ジユが何度も何度も言いました。それは子供にする「おまじない」と同じで、ナナシの膝に何かが起きたりはしません。それでもそんな姿を見ていると、傷の痛みが無くなっていく気さえしました。

「ありがとう、ジユ。ボクは大丈夫ですよ」

 ナナシが言っても、ジユは何度か「おまじない」を続けました。数回繰り返してようやく満足したのか、ナナシの手のひらに乗り込みました。
 頭の上に戻ったジユは、しばらくするとまた鼻歌を歌い始めました。

 * * *

 次に訪れたのは小さな農村に近い町でした。外壁から続くなだらかな牧草地で、牛追いをしている様子が見られるのどかなところです。ナナシと同じくらいの少年が「ラーイレイ、ラーイレイ」と、その地域独特の追い声と共に牛たちを寄せ集めています。
 小屋の近くでは大人たち数人が、何やら一匹の牛を囲んで話しておりました。

「ナナシ、アレは何をしているの?」

 帽子の中から顔を出し、ジユが言いました。指さした先では、数人の大人たちが居る方です。

「なんでしょう。聞いてみましょうか」

 ナナシも興味を持ったので、自由に草を食む他の牛を刺激しないように気をつけながら、大人たちに近づいて行きました。

「困ったなぁ。そうは言われても、出せてもこいつくらいだぞ」

「他の若い牛を出すわけにはいくめぇ」

 大人たちは頭を突き合わせ、何やら暗い顔で話をしています。
 ナナシはジユが見えないように深く帽子を被り直してから、彼らに声をかけました。

「こんにちは。ボクは名前を探して旅をしています。良ければお話を聞かせてくれませんか?」

 ナナシの姿を見とめて、大人たちは一瞬迷ったように顔を見合わせました。

「領主様にな、牛を差し出さねばならんのさ」

 その中でも一番年老いているだろう男が一人、ナナシに向かってかすれた声で言いました。

「領主様がな、ここらの土地を良くするために税を増やすと言ったんだ。ここは見ての通り田舎で、銭の税は出しづらい。だからなんとか交渉して牛の肉を出すことになったんだが、言われた量が多くてな。少し、困っているんだ」

 大人たちの間に居る牛は、少し年老いたメスの牛でした。もう子供を生むことも、乳を出すこともできないのか、彼女はつぶらな黒目をしょぼしょぼと瞬きさせながら、大人たちの間で静かに立っています。
 他の牛と比べると小柄な彼女からとれる肉の量は、あまり多くないでしょう。

「他の若い奴らを出すと過剰になるし、何より働き手が減ってしまう。かといって少ない肉では領主様も納得しないだろう。銭を追加で出せと言われても困ってしまう。だもんでな、どうしたものかと話し合っていたのさ」

「ここらの土地を良くするったって、俺たちが必死に耕し肥やした場所だ。今さら何をしてくれるっていうんだろうな」

 側に立っていた若い一人が、小さな声で吐き捨てるように言いました。

「なるほど、それは大変です」

 ナナシは話を聞いて何の助けもできないと解り、申し訳のない気持ちになりました。体を使うことだったら手助けもできたでしょうが、ナナシは通貨を持っていません。それどころか、持ち物だってほとんど無いに等しい状態です。
 それでもせめて気の利いた慰めの言葉をかけられたら良かったのでしょうが、ナナシにはそれ以上の言葉が何も出てはきませんでした。

「ナナシ、ナナシ」

 頭の上で小さな声が呼びました。

「困ッテルノ? ジユ、何か役に立てる?」

 その言葉に、ナナシはハッとしました。
「ミガワリ」なら、きっと領主の言う「ちょうど良い税」の代わりになるのではないか。
 ナナシは「ミガワリ」にどれほどの価値があるかは知りませんが、ナナシと代わろうと思えば代わることができるのです。人と代われるということは、きっとちょうど良い量の肉など、簡単に代わることができるでしょう。
 そのことに気づいて、ナナシは鞄の紐をぎゅっと握りました
 ジユを渡せばナナシは感謝される――それは何にもないナナシにとっては魅惑的なものです。「ナナシ」の自分が人から感謝されることは基本ありません。ここで、ジユを渡せば、とても感謝されるでしょう。
 ジユを犠牲に手に入れる感謝――それは何の苦労もせず得られるものです。

「ナナシ?」

 ジユに呼ばれ、ナナシは心の世界から戻りました。帽子の中から心配そうに呼びかけるジユの声を聴いて、ナナシは心に決めました。


「この人たちは、とても困っているようです。ジユ、少しだけ『代わり』になることはできますか?」

 町の人たちに見られないよう背中を向けてから、ナナシはジユに言いました。全部じゃなくとも一部だけなら、なんとかなるかもしれないと思ったのです。
 ナナシの言葉にジユは少し考えて「できるよ、ナナシのお願いナラ!」と、元気の良い返事をしました。それから一度隠れたかと思うと、次に顔を出した時、ジユは自分の片袖を差し出してナナシに言いました。

「これ、代わりしてイイヨ」

 ジユから片袖を受け取った瞬間、ナナシは驚きました。
 ただの布を渡されたと思ったそれには、少しの重みと形があります。露出した腕があると思っていたジユの身体の左側に、腕はありませんでした。

「ジユ、これは」

「ジユの腕が、代わりになるよ!」

 ナナシが声を震わせて尋ねると、ジユはにっこり笑って言いました。
 その笑顔を見て、ナナシは心臓がぐうっと掴まれたような感覚がします。掴まれたままの心臓は、ナナシの息を止めようとしてくるようでした。目の前がくらくらと揺れる中、ナナシは町の人たちに押し付けるようにジユの腕を渡しました。

「旅人さん、これはなんだい」

 不思議そうな顔をする町の人たちにミガワリだと説明すると、大人たちは一斉に喜びと驚きの声を上げました。やはり、ミガワリはその一部だけでも代わりにすることができたのです。

「旅人さん、貴重なものを本当にありがとう、これで領主様へ無事に税をお渡しできるよ」

 年老いた牝牛と共にジユの腕は馬車に乗せられ、ゆっくりと大きな町の方へと運ばれて行きます。興味深げに濃いみかん色の布地に鼻を寄せる牝牛の姿が、だんだんと遠ざかっていきます。それを見送りながら、ナナシは何度か靴の裏側を地面に擦り付けました。
 今ならまだ走っていけば、ジユの腕を取り返すことはできるでしょう。やはり貴重なものだからと言えば、きっと町の人たちも理解してくれるはずだと。
 でもナナシは、走り出すことができません。
 だってもう馬車は遠くまで行ってしまって、追いかけても追いつけないのだから。だってもう、渡してしまったものはこの人たちのものだから。
 誰かにとがめられているわけでもないのに、言い訳ばかりがナナシの中を飛び交います。
 頭上で小さく鼻歌を歌っていたジユが、ナナシの手の中にコロンと転がり落ちてきて言いました。

「ナナシの役に立てて、嬉シイナ!」

 心の底から嬉しそうに笑うジユを見ると、ナナシはこれで良かったんだと思いました。喉に何かが引っかかっているような違和感はありましたが、それもしばらくすれば気にならなくなるだろうと、思うことにしました。


 その日の夜。早々に小さな町を出た二人は、青黒い夜の中、森の中で一夜を過ごすことにしました。
 どうにも町に居る間中、ナナシは誰かにずっと見られているような居心地の悪さを感じていたのです。野外で一夜を過ごすのは快適とは言えませんが、その嫌な感じは、ずっとナナシの後を付いて回っていました。町を出て、木の多い森の中を進んでいるうちに、嫌な感じはいつの間にか消えていました。
 夕食のチーズを分け合いながら、ナナシはジユに尋ねました。

「ジユは、自分が差し出されることは怖くはないのですか?」

 ジユと出会ってから、ナナシがずっと気になっていたことでした。

「怖いって、ドウシテ?」

 ジユはチーズの欠片を口にしながら、ナナシに問い返します。

「ジユがしていることは、自分の身を犠牲にしているようにボクには思えます。いきなり腕を差し出されてボクはとても驚きました。ジユは、自分の腕を取るとき、怖いと思いはしなかったのですか?」

 しばらくチーズを食べることに専念しながら、ジユは空中を見ながら小さく唸りました。口の端に付いた欠片を取ってやると、勢いよくジユが顔を上げて言いました。

「怖カッタケド、ナナシのためって思ッタラ、すぐにできたよ」

「……やっぱり、怖かったのですか?」

 ジユが頷きました。

「ジユがね、不良品なのは、怖いと思うからなの。ミガワリはミガワリだから、怖いなんて普通は思わない。他のミガワリ、みんな自分から役に立ってる。ジユはずっとそれができなかった。それが、とっても悲しかった」

 片方しかない手も使って、ジユがナナシに必死に話続けます。

「ミガワリは、ミガワリだから。それ以上に扱う人はいないの。それが普通なの。
 でも、ナナシは『ジユ』って名前をくれた。ミガワリじゃなくてジユとして、ジユと話してくれた。変だなって思うけど、嬉しいなとも思ったの。だからジユは、ナナシのためにいっぱい頑張ろうと思ったの。ナナシのための、ミガワリとして役に立ちたいと思ったの」

 ジユからのまっすぐな気持ちに、ナナシはどう答えたら良いのかわかりません。ジユのミガワリとしての気持ち伝わってくればくるほど、ナナシは自分のした事に迷いが生じてしまうのです。
 あの時何もしなくとも、ナナシが感謝されないだけで、町の人たちは何とか税を集める事が出来たかもしれません。何にもない自分が役に立ちたいからとジユの腕を差し出しても、本当のところはナナシの功績では無いのです。町の人たちは当たり前のようにナナシにお礼を言ってくれましたが、身を挺して役に立ったのは、本当のところジユなのですから。
 それにと、ナナシは思います。
 服のボタンひとつ、片腕ひとつで人の態度があんなに変わるのです。「ミガワリ」というものの価値は、ナナシの想像を超えているのでしょう。
 そしてその価値を知る人が、世の中にはたくさん居るのです。

「明日からは、用心したほうが良いですね」

 ナナシはジユの頭を撫でながら、小さく呟きました。


 次の町に着いた時、ナナシは例の商人と再会することができました。商人はナナシに気が付くと、口角と目元を上げて言いました。

「前にも言ったが、文句は受け付けないぞ」

「あの子たちの話を、聞いても良いでしょうか」

「なんだい。難しい顔をして」

 ナナシは頭からジユを下ろし、商人に尋ねました。

「ミガワリは、どんな人たちが買うのですか? ボクのような旅人だけでしょうか」

 問いに、商人はしばらくナナシをじっと見つめて、何かを考えているようでした。そうして管から紫色の煙を吐きながら「他にもいるよ」と、答えました。

「ミガワリは、何も持ち主だけの代わりになるんじゃない。なんの代わりにでもなる。
 こんな言葉を聞いたことはないか、『惜しい人を亡くしました』って。こいつはそういう事の代わりにもなるので人気なのさ。有名人、特殊な技術を持つ人間、偉い人間。とにかく死んで欲しくない奴が死んでしまう事が起きると、こいつの値は跳ね上がる」

「人が、生き返るっていうんですか?」

 ナナシが驚いて声を上げると、商人は首を横に振りました。

「生き返るんじゃない。ミガワリこいつが代わりに死ぬんだよ。惜しい人を不慮の事故で亡くさずに済む、この事実を欲しがる人間がどれほどいるかわかるだろう? 自ら死を選びそうな人間に家族が付けておく、なんて事例もあるようだしな」

 商人は不良品を押し付けたつもりかもしれませんが、物が物です。不良品でも欲しがる人はたくさんいるでしょう。ナナシは突然不安になり、ジユを鞄の中に入れました。

「そうそう旅人さん。今の話を聞いていてわかるだろうが、ミガワリを狙った強盗なんてのも世の中には存在する。気を付けた方が良い。命はまぁ、取られても代わってもらえるがな」

 そう言って紫煙を吐く商人の笑みは、とても意地が悪いものでした。

 * * *

 ナナシは足早に町を後にし、山奥の方へ進みました。少しでも自分が「ミガワリ」を持っている事を気づかれないように、そして自分が「ミガワリ」を持っていることを知っている人が居ないところに行かなければと次第に足が早まっていきます。焦りのあまりに何度もつまずいたり、木の枝や鋭い葉の先がナナシを傷つけたりしていましたが、そんなこと気にしている余裕はありません。
 頭上ではジユが楽しそうに「オマジナイ」を繰り返していて、その声も、なんだかナナシを焦らせる要因のひとつになっていました。

「ジユ、おまじないはしなくていいですよ」

 ナナシが言うと、ジユが言いました。

「でもナナシ、ケガしてる。痛いの痛いの、ジユが代わってあげる」

 片腕を失ったことで頭の上でバランスを取ることが難しいのか、不安定に揺れながらジユがナナシの頭を撫でました。
 その時、ナナシは頬を苛んでいた切り傷が痛くないことに気づきました。
 それだけじゃありません。道無き道を走るように進んできて、本来であれば体中切り傷や擦り傷でいっぱいになっているはずなのに、山の中腹に立つナナシの外套や帽子に擦れた跡はあれど、身体に傷はひとつもありません。思い出して見てみると、数日前に転んだはずの足も痛みが無くなっています。
 ナナシは慌ててジユを頭の上から降ろすと、思わず顔をしかめました。
 出会ってまだ数日も立っていない、あの腕の件以来頼み事はしていないのに、ジユの見た目はすっかりボロボロになっていたのです。ずっとナナシの頭の上や鞄の中に居たはずなのに、服も擦り切れ、顔にはうっすらとした切り傷がたくさんついています。

「ジユ、この傷はどうしたんですか!」

 山の中にナナシの悲鳴のような声が響きました。
 ジユは首を傾げながらナナシに言います。

「ナナシのけが、代わってあげただけだよ」

「ボクは頼んでいません!」

「でも、ジユはナナシのミガワリだから、ナナシの役に立ちたい。そうじゃないと、ジユミガワリの意味がないよ」

 ナナシはぐっと言葉を飲みました。
 ジユの行動はあくまで「ミガワリ」としての生き方に基づいていて、それを咎めるのは彼の人生を咎めるのと同じことでしょう。
 でもナナシは、旅の仲間として共に過ごしているジユに様々な思いを抱いていました。
 ひとりの旅は寂しいものです。その孤独をジユは和らげてくれていたのに、軽率にミガワリにしてしまったことをとても後悔していました。
 ナナシはジユの頬に付いた血を拭ってやりながら言いました。

「とにかく、おまじないはもうなしです。小さな傷くらい、ボクは平気です。」

 ジユは丸い目を少し楕円にして何か考えているようでしたが、結局何も言いませんでした。
 その時、背後の草木が揺れ、人影がナナシの前に現れました。黒い衣服で口元を隠し、むき出しの刃をこちらに向けています。ナナシよりも体躯の良い男の隣に、また一人、二人とナナシを囲むよう姿を現して言いました。

「旅人さん、そいつを置いて行ってもらおう」

 どこかで聞いたことがあるような声で、男が言いました。
 ナナシはとっさにジユを背後に隠しました。

「そいつとは、何のことですか」

「『ミガワリ』のことだよ。どんな物にも代えられる、魔法のような生き物。まだ残っているんだろう?」

「そんなの、持っていません」

「隠しても無駄だ。緑の外套と帽子を被った旅人が、ミガワリを持ってる噂があるからね」

 ナナシを取り囲み、他の男たちも無言でナイフや鎌を向けてきます。

「我々も手荒な真似はしたくないんだ。事故だと思って、置いていきなさい。命の代わりになるんだから」

 そう言って、男たちはナナシとの距離を一歩近づき詰めてきました。
 ナナシは困惑しながらも、周囲を見渡した後、くるりと後ろを向いて走り出しました。無我夢中で、後ろから追いかけてくる怒声と足音から必死に逃れるように。
 ジユを胸に抱いていることもあり、ナナシは何度も転びそうになって、その度足を踏ん張って走り続けました。
 枝葉が多い茂る森の中では遠くを見通すのも難があります。見知らぬ山の中を走り続けて、走り続けて――

「ナナシ、前アブナイ!」

 生い茂る草木の向こう側に地面が無いことにも気づかずに、ナナシはそのまま転落してしまいました。
 背後で焦った男たちの声が聞こえます。
 彼らは崖を覗き込んだ後、誰かの「逃げろ!」という一声をきっかけに、どこかへ行ってしまいました。
 しばらくの間、ナナシは男たちの足音が無くなるまでじっとしていました。
 それから顔を上げ、自分の身体に大きなケガが無いことを確かめていると、抱いていたはずのジユが居なくなっていることに気づきました。

「ジユ! ジユ! どこですか!!」

 ナナシは声を出して周囲を探しました。
 枯れ葉が地面を覆い隠すほど積もっていて、落ちた時の衝撃を和らげてくれていたのがわかります。でも今はそれが邪魔をして、ジユの小さな体を隠しているのではと不安になり、ナナシは手が泥だらけになるのも気にせず必死にジユを探しました。

「……ナナシ、ナナシ」

 虫の鳴き声ほどの小さな呼び声を、ナナシは聞き逃さず音の方へ飛び付きました。
 ナナシたちが落ちてきた場所のすぐ真下に、ジユは小石のように転がっていました。先ほど見た時よりもボロボロの姿で、綺麗な円を描いていた目はもうほとんど開いていません。
 ナナシはそっと、手のひらに乗せて小さな声でジユを呼びました。
 ジユはナナシが無事だと気づいてか、笑いながら手を伸ばし、小さな手で頬を撫でて言いました。

「ジユが代わったから、まだ名前を探しに行けるね」

 笑ってそう言ったジユの体は急速に軽くなっていき、白い目がもう開くことはありませんでした。
 ナナシは胸が張り裂けそうな思いでジユを胸に抱きました。チーズの欠片を口元に残していた、あの子はもう動きません。

「ジユ……君の代わりは、どこにいるの」

 震えるナナシの声を聴いても、応えは返ってきませんでした。
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