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序章

変身ブレスレット

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 博美は躊躇していた。いくらなんでもお風呂でもないのに室内でハダカになるなんて! それにしてもなんでなのよ!

 「ママ! ハダカにならないといけないの?」

 ダダをこねながら聞いた、するとママは少しどや顔で説明書を指さしながらいった。

 「いけないもなにも、ここに書いておるんだよ! 変身するときにハダカにならないと、着ている服が消えてしまうんじゃと! そんなことしたら、面倒じゃないのよ、制服って高いのよ! あんた分かってんでしょ!」

 そう、変身する時って着ているものはどうなるんか知らなかったけど、ビリビリになってしまうようだ。でも変身が解除された後も? そう思っていたけど、とどめを刺されてしまった。

 「とりあえず、脱いで脱いで! あんたがそのブレスレットに変身してもいいと判断してもらわないと行けないからね!早うしてよ! もうすぐみんな帰ってくるんだからね! パパに見られたくないんでしょ!」

 言われる通り、家族と言えども男にハダカを見せるわけにいけなかった。それで、部屋のカーテンを閉めて、着ている服を脱ぎ始めた。そして一糸まとわぬ生まれたばかりの姿になった。

 「はずかしいわよ、ママ!」

 「心配しないでいい! 取りあえずこれをはめて!」

 渡されたブレスレットは、魔法少女なんかが使う派手な宝飾も付いておらず、ただの黒い腕の輪みたいなものだった。しかも、なぜか細かった! 取りあえず左手に嵌めた。

 「ママ、これでいいの?」

 「そうよ、そうだけど・・・読みにくいんだよね、この取り扱い説明書! そこの拡大鏡をだしてもらえんかの?」

 その様子はまるで、初めてスマホを買った時に全部の機能を使うはずもないのに熱心に読んでいた時と一緒だった。でも、まってよ! 使うの私なんだよと思う博美だった。
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