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(1)人形娘と機械娘

015.なるべき姿!

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 わたしは疑似的に人形娘にされた場合の感覚を仮想現実のなかで体験していたけど、美緒さんにそういわれると少し怖くなった。これが自分の明日からの姿だと言われると・・・

 「美緒さん、わたしこんな姿になるのは・・・」

 そういいかけたとき、美緒さんはわたしの唇にそっと指を重ねた。それは皆まで言うんじゃありませんよという仕草のようだった。その指は機械娘の硬質な材質に覆われた機械娘MIOの内臓とは思えない柔らかく温かいものだった。

 「奈緒美さん。分かっているわよあなた怖いんでしょ! わたしも機械娘になるのは怖かったわよ。そうそうわたしの場合はね、人形娘に最初調整するはずだったけどシステム上のトラブルで生命の危険にさらされてね、あなたの父上の機転で機械娘になったのよ。だから憧れちゃうね人形娘に」

 美緒さんはそういうと亜麻色の長い髪の毛を描き上げていた。でも、その姿は現実には存在しない姿なんだとわたしは気づいてしまった。そうだ、わたしはまだ人形娘じゃないんだと。

 「美緒さん、やっぱりわたしはこの人形娘にならないといけないの? いくら父に頼まれたといってもやっぱり不都合な事はないのですか?」

 「そうねえ、人形娘は・・・そうそう機械娘もだけど食事は全て流動食になるし体内の排泄物はまとめて機械の力で出すようになるわ。それに表情は変わらないわね。それと、知らない人が見たら人間扱いされないわよ」

 「やっぱそうなんだ・・・じゃあ良いことはありますか?」

 「それはねえ、エクスタシーを感じやすくなる事かしら? あっ、まだ奈緒美さんはヴァージンだったわね?」

 美緒さんがヴァージンという単語を出したのでわたしはエクスタシーはなんのことなんか見当がついた。それは性的興奮のことなんだと。そもそも父の秀夫の性格を考えると・・・とすると、わたしは父のトンデモ研究のモルモットというわけなの? それに気づいたけど、その時美緒さんはわたしの下腹部に指を突っ込んでいた。

 「あなたのアソコだけど、人形娘になったらもっと感じやすくなるわよ。こうやっていじられるだけで、でも今はお預けね。明日になったらどう開発するかわかるから」

 このとき、美緒さんがやった行動の意味がよく分からなかった。わたしはその時まだ初心だったからだ。でもそれはエッチな事だけは間違いなかった。
 それからわたしは仮想現実の中で人形娘の動き方を美緒さんに教えてもらった。その中には人形として静止するものもあった。

 そして最後に美緒さんはわたしにこういった。

 「ここで一通りやったのは、あなたがなるべき姿です! 明日は人形娘に調整しますからね」
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