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誘われて

なんでエッチなことを機械娘にさせるわけなの?

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 カナコが機械娘の「衣装」をチェック間、わたしは機械娘になったアミの身体を見ていた。テレビや雑誌などでパワードスーツを見たことはあったけど、こうして女性型パワードスーツの一種である機械娘の実物を見るのは初めてだった。

 アミは少し太め(わたしは細すぎるといわれるけど)の女の子で、ぽっちゃり顔が可愛らしかった。でも今は2033年式クレアのフェイスの下に隠れていた。

 このクレアの特徴は強化グラスファイバーの外骨格に傷がつきにくい超硬化樹脂加工を施した外装、そしてより人間らしさを持つAIであった。性格もカスタマーに応じて絶対服従型から小悪魔的ツンデレ型まで選択できるというのが売りだった。しかもオプションでいわゆるセクサロイド(エッチなラブドール)機能を持たせることが出来るというものがあった。
 そのような機能を持たせることには反対意見も多かったけど、メーカーは独身男性の願望であるなどといって正当化していた。

 「アミ、あなたなの? 本当のガイノイドみたいだけど。本当にアミなの内臓は?」

 「ええ、そうよ。でもねクルミ、いまはクレアに内蔵されているから、この姿でいる間はわたしをクレアと呼んでちょうだい。そうそう姉御さんも本当はプリスだけど、あの人は別格だけどね」

 「別格? どういうこと」

 「それはね、このガイノイドのセクサロイド機能の開発責任者なのよ彼女は! ああやって長期着用型の実証試験の合間にやっちゃたのよエッチなことを!」

 「まさか・・・十八禁的みたいなことを」

 「ええ、そうよ。ここだけのはなし、そんなエッチな作品を出しているそうよ。このフェアリーアロー・レーベルから!」

 「え?」

 クレアが言ったフェアリーアロー(妖精の矢)・レーベルは今日わたしが依頼されたいわゆるAV販売会社だった。もっとも今はネット配信専業(今世紀最初の頃はVHSやDVDも販売していたそうだけど)メーカーだった。
 わたしは知らなかったけど、このレーベルには「機械娘フェチ」という人気ジャンルがあって、収益の柱になっていた。

 「なんでも姉御さんは、セクサロイド機能開発の一環としてアダルト分野の女優を機械娘にしてエッチな事をさせていたそうよ。まあ被験者を集めていたわけね」

 「そんな・・・でも機械娘になりたいという女の子じゃダメなの?」

 そういうとクレアは少し妖艶なポーズをしてみせてから、こういった。

 「そりゃ、男の人なんかと一応エッチな事をするんだから言えないでしょ! まさか業務命令だと言われても! そんな一昔前の人をダマして無理やりAVに出すようなことをさせられないでしょ」

 そうは言われたが、わたしはエッチな事をするといわれて撮影に来たけど、機械娘にされる方を嫌がった場合にはどうなるのだろうかと思った。だから、わたしのように少しでも機械娘になりたい女の子を呼んでいるのかなと考えてしまった。
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