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セーラー服から

撮影開始!

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 事務所の先輩のモデルで十八禁作品に女優として参加した人の話で、フェチ作品ばかり制作しているフェアリーアローの撮影は面白いと聞いたことがあった。世の中にはこんなことにフェチ、ようは性的嗜好を持つ人がいるもんだなと発見できるからだという事だった。

 先輩の話ではものすごい拘束感というか閉塞感を感じる衣装を身に着けることで、普段はそんなにエッチな気分にならないはずなのに、解放されたかのようにエロスが爆発するということだった。最初聞いたときにはありえないとおもったが、いままさにわたしのフェチが目覚めようとしていた。

 わたしの場合は”機械娘フェチ”、そう機ぐるみを着ることにフェチを感じることに気が付いた。だから早くキャサリンのスーツを着たかった。

 撮影が始まろうとしていた時、わたしは簡単なあらすじを監督から聞かされた。この機械娘フェチの撮影がいつも簡単なコンセプトを決めてはいても、撮影が始まってからアドリブで作品内容を変えるということだった。

 それってよく言えば即興による発想の発露かもしれないけど、フツーは行き当たりばったりというんじゃないのかな?

 「クルミちゃん。とりあえず撮影はあなたをそこの鉄棒に両手両足を手錠で拘束してから、機械娘に改造するからね。このシリーズはいつも生身の女の子を機械娘にする場面が売りだからね」

 わたしはそれを聞いてぎょっとした。わたしはセーラー服を着たまま機械娘にするということなの? それってロリコンもあるんじゃないの? そんなことを考えてしまった。でも撮影は始まってしまった。

 ます撮影場所のマンションの階段を上がる場面から撮影が始まった。夏服のセーラー服を着たわたしの後ろをカメラが追っかけてきた。そしてベルを鳴らし施錠を解除してもらいドアを開けると、そこにはプリスがいた。そして彼女のセリフが始まった。

 「あなた学校で嫌な事があったのでしょ。そんな時には人の身体を捨て機械になることで嫌な事を忘れることが出来ます。これからあなたは機械娘になっていただきます」

 わたしは作品世界では現実逃避の手段として機械娘にしてもらう”女子校生クルミ”なのだ。だからセーラー服を着て・・・ちょっとまってよ、わたしは二十一歳だってば! でも、いいか十八禁作品なんだから。三十路前後でも先輩の中には女子校生役をしたひとは何人もいるから、わたしもその仲間にはいっただけなんだから。
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