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装着編!

後悔

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 少女は後悔していた。目の前にある衣装にため息をついていた。

 新製品の宣伝キャンペーンガールになりませんか? そういわれ採寸したのが一昨日、そして今日は試着ということだったけど、目の前にあるのはどう見ても全身タイツにしかみえなかった。

 「あのう、これでは息が出来ないし何も見えなくなるんじゃありませんか?」

 その衣裳の頭部に相当する部分に目や口が露出する穴がなかった。そんなもの着たら何も見ることが出来なくなるのは自明の理ではないかと。

「それはインナーですよ、こちらの方が本番ですよ」

 そう言われて見せられた画像は、綺麗なメタリックな光沢を放つロボットだった。そのロボットは女性型のようで胸は大きく腰はふっくらとしていてウエストがくびれていた。そんな体に生まれてきてたらよかったのにと思わずにはいられないといった気がした。

 少女は身長こそあるが、少しお腹が出ているし、出るところは出ていないなあ、というコンプレックスを持っていた、そう少女はその画像のロボットに少し嫉妬していた。

「これって一体何ですか?」

「 聞いていなかった それにあなたに着てもらうのよ」

「着るってその一体何のこと」

 少女は少し動揺していた。ロボットを着るってどういうことなのよ!

 「何のことかって言われても、こっちの方が困るよ。まあ簡単に言えばね、中の人になってもらうのよ。そのロボットはね、一応新作のロボットの発表会に出展を予定していたんだけどね、内部構造の開発が手間取ってね・・・」

 アルバイトというのは、ロボットの中にいないということだった。少女は後悔した。
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