ミズタマリから誘惑されたあとは

ミズタマリからの招待

（２）誘惑する水着

　俺は小学校の跡地の外に止めていた車まで戻ったところでその袋から中身を取り出した。それはやはり競泳水着のようだった。素材はラバーともレザーともとれるようなモノであった。しかし直観的にそれは忌み嫌うべき存在だと直感した。もし身にまとったら河童になった二人と同じ運命になると。だから処分しないといけないと！

　それで俺は外に放り出す事にした。本当なら元あった場所に戻せばよかったけど、もし入っているところを警察などに見られたら面倒くさい事になると思い、そこらへんの茂みのなかに投げ飛ばした。

　それで俺はその水着は問題を起こさないと思っていた。しかしそれは甘かった。その次の日、無理矢理俺は職場のバーベキューという名の懇親会に引っ張り出されてしまった。会場は経営者一族が所有する別荘、とはいうものの市内にある会社所有の保養所というなの古い農家の屋敷だった。そこは海辺にあるのでバーベキューに都合がいいということだったが、社員の中でも若手の俺はていの良いバーベキュー係にされていた。まあ、その分おこずかいを幾らかくれるというので我慢していたが。

　参加者は社員の家族も含め50人ほどだったので、それなりに盛大なものであったが、あまりに暑いので参加者の中には水着姿になるものもいた。そんな水着姿になった女のなかに昨日捨てたはずのあの水着を着用しているのがいた！

　「あのー、その水着ってどうしたの？」

　俺が尋ねたのは、社内でも気が合う女社員の知美だった。とはいうものの彼女ではなかったが。

　「これ？　なんか家の前にあったのよ。結構良いでしょ！」

　よく考えると、俺が水着を捨てたのは知美の家の前だったことに気付いた！　これはまずい・・・

　「恰好良いと思うよ。でも身体がむずむずしない？」

　「しないわよ！　なんで変な事を聞くのよ！　でも、なんだか私の身体に張り付いているような気がするわね」

　それって・・・まさか？　と思ったが相手は女。無理に脱がすことは出来ないし頼むこともできなかった。でも、あの二人を誘惑した水着と一緒だったらどうなるのかを想像しただけで恐ろしかった。もし想像通りなら知美は半魚人というか河童のような姿になってしまうと！