5 / 8
ミズタマリからの誘惑
結章:隠匿された悲劇
しおりを挟む
自分ら三人は半漁人のような姿になっていた。全身鱗に覆われ、両手両足の先に水掻きがあり、特に足の指は大きく伸び、蛙のような足になっていた。気持ち悪くてしかたがなかったが、このとき頭によぎったのは、もう人間に戻れないという事だ。
さらに身体の変化は続いたが、もうどうする事も出来ないとおもったとき、さらにおそろしいことが起きたのだ。大勢の半漁人がミズタマリからはい出してきたのだ。奴らは大変気色悪いものであったが、仲間だという意識があったので、懐かしくもあった。
奴らのうち、身体が大きく風格のあるのが出てきた、そしてこう挨拶をしはじめたのだ。
「お前ら、我々の用意したものを着てくれてありがとな。久しぶりだからのう子供が仲間になるのはなあ。はよう入れミズタマリに!」
そういわれ、自分ら三人は意に反して身体が自然にミズタマリへと向かっていた。だが、入ったら最後、もう後戻りできないと思った自分はミズタマリの淵でわざと転んで踏み止ろうとした。
「なんだお前抵抗するのか? もう我々と同じ半漁人になっているのにさあ! そんな抵抗をせずに早く入れ!」
そういうと何人、いや人ではないのは確かなので頭と言ったほうが妥当かもしれないが、奴ら半漁人を名乗る者が自分の周りを取り囲んだ。それを見た先にミズタマリに入った二人が大きな声で呼んでいた。
「なんじゃあアキラ、まだ入っていなかったんかよ。はよう入れ、人間なんかつまらないモノを辞めて半漁人の仲間になろうや! 本当に気持ちいいぞ!」
「なんだ、お前はアキラというのか? でもミズタマリに入って我々の仲間になったら相応しい名前を授けてやるぞ! この池にあった祠は我々とこの世界を結びつける出入り口だったんだ。
そして周囲にある池は機動させるためのエネルギーを集積する装置であったが、お前ら人間が破壊したのだ。でもこうして年に何回かはこうしてゲートを開く事ができるのだ。前回、池を埋め立てた忌々しい学校とやらの中に、呪いの水着を古いタンスの中に隠したんだが、運よくお前ら三人が着てくれたんだ。本当は女の女がよかったが、この際男でもいいぞ。これから半漁人としてしっかり教育してやるからな」
そういうと半漁人たちは自分を担ぎ上げてミズタマリに落とそうとした。もうそれまでと思ったところ、後ろから何本もの竹竿が飛んできた。
「やい、清之介! またそうやって誘惑するなよな。そろそろ子供をさらう頃だと思って来たら、もう始めていやがっていたんかよ! それ以上好き勝手にはさせないぞ!」
竹竿を投げたのは大勢の男達だったが、よくみると学区の防犯パトロール隊や消防団員だった。
「遅かったなあ、既に二人俺たちの仲間になっているのだぞ。まあお前の顔を立ててやるから、こいつは返すぞ! でも、覚えときよ。またやってくれからな!」
そういうと半漁人たちはミズタマリに入った直後、あっというまにミズタマリは消えてしまった。ケンタとイサムも消えていった。後には半漁人の姿になった自分が残された。
こんな化け物になった自分はどうなるか心配していたところ、さっきの半漁人のように男たちが取り囲んだ。そしていきなり唾を吐きかけてきた。なんて汚い事をするのかと思っていると、全身に激痛が走ったのだ。
「坊主すまんのう。お前さんを人間に戻す方法はこれしかないんだ。運がよかったんだぞ。あのミズタマリに入ったら身も心も半漁人になって人間に戻れないからな」
その言葉のように、自分を覆っていた半漁人の鱗や皮が裂けてボロボロになって崩れ落ち、中から血が滲み傷だらけの人間の自分が出てきた。
「痛い、痛いよ! 助けてくれい!」
「わかっとる。わかっとるから、我慢せい! すぐに病院に連れて行ってやるぞ! そのかわり今日起きた事は死ぬまで秘密にしろ! だから友達の事はわすれろ!」
そういわれたあとで、自分は激痛のために気を失った。後に警察によって発表された事件のあらましは、自分は校庭内の高い木から落ちて全身打撲。ケンタとイサムの二人は何者かに拉致され行方不明になったとされた。半漁人の企てについては一切公表されなかった。全ては隠蔽されたのだ。
自分は周りの大人たちの指示に従ったが、そうせざるを得なかったからだ。真相は地区の大人たちの大多数が知っていることだったが、知らないのはその時小学生だった世代のみだった。自分以外の・・・
その後、中学と高校に進学したが、同級生ですらケンタとイサムがいたという事すら忘れてしまった。二人の家族もミズタマリの一件の後で、地区のお偉方に何らかの因果を含まされて、遠い町に引っ越していってしまった。そのため、二人の事を口にするものはいなくなってしまった。
自分も半漁人になった二人がどうなったかについて興味はなかった。しかし再びミズタマリから誘惑されるまでは・・
さらに身体の変化は続いたが、もうどうする事も出来ないとおもったとき、さらにおそろしいことが起きたのだ。大勢の半漁人がミズタマリからはい出してきたのだ。奴らは大変気色悪いものであったが、仲間だという意識があったので、懐かしくもあった。
奴らのうち、身体が大きく風格のあるのが出てきた、そしてこう挨拶をしはじめたのだ。
「お前ら、我々の用意したものを着てくれてありがとな。久しぶりだからのう子供が仲間になるのはなあ。はよう入れミズタマリに!」
そういわれ、自分ら三人は意に反して身体が自然にミズタマリへと向かっていた。だが、入ったら最後、もう後戻りできないと思った自分はミズタマリの淵でわざと転んで踏み止ろうとした。
「なんだお前抵抗するのか? もう我々と同じ半漁人になっているのにさあ! そんな抵抗をせずに早く入れ!」
そういうと何人、いや人ではないのは確かなので頭と言ったほうが妥当かもしれないが、奴ら半漁人を名乗る者が自分の周りを取り囲んだ。それを見た先にミズタマリに入った二人が大きな声で呼んでいた。
「なんじゃあアキラ、まだ入っていなかったんかよ。はよう入れ、人間なんかつまらないモノを辞めて半漁人の仲間になろうや! 本当に気持ちいいぞ!」
「なんだ、お前はアキラというのか? でもミズタマリに入って我々の仲間になったら相応しい名前を授けてやるぞ! この池にあった祠は我々とこの世界を結びつける出入り口だったんだ。
そして周囲にある池は機動させるためのエネルギーを集積する装置であったが、お前ら人間が破壊したのだ。でもこうして年に何回かはこうしてゲートを開く事ができるのだ。前回、池を埋め立てた忌々しい学校とやらの中に、呪いの水着を古いタンスの中に隠したんだが、運よくお前ら三人が着てくれたんだ。本当は女の女がよかったが、この際男でもいいぞ。これから半漁人としてしっかり教育してやるからな」
そういうと半漁人たちは自分を担ぎ上げてミズタマリに落とそうとした。もうそれまでと思ったところ、後ろから何本もの竹竿が飛んできた。
「やい、清之介! またそうやって誘惑するなよな。そろそろ子供をさらう頃だと思って来たら、もう始めていやがっていたんかよ! それ以上好き勝手にはさせないぞ!」
竹竿を投げたのは大勢の男達だったが、よくみると学区の防犯パトロール隊や消防団員だった。
「遅かったなあ、既に二人俺たちの仲間になっているのだぞ。まあお前の顔を立ててやるから、こいつは返すぞ! でも、覚えときよ。またやってくれからな!」
そういうと半漁人たちはミズタマリに入った直後、あっというまにミズタマリは消えてしまった。ケンタとイサムも消えていった。後には半漁人の姿になった自分が残された。
こんな化け物になった自分はどうなるか心配していたところ、さっきの半漁人のように男たちが取り囲んだ。そしていきなり唾を吐きかけてきた。なんて汚い事をするのかと思っていると、全身に激痛が走ったのだ。
「坊主すまんのう。お前さんを人間に戻す方法はこれしかないんだ。運がよかったんだぞ。あのミズタマリに入ったら身も心も半漁人になって人間に戻れないからな」
その言葉のように、自分を覆っていた半漁人の鱗や皮が裂けてボロボロになって崩れ落ち、中から血が滲み傷だらけの人間の自分が出てきた。
「痛い、痛いよ! 助けてくれい!」
「わかっとる。わかっとるから、我慢せい! すぐに病院に連れて行ってやるぞ! そのかわり今日起きた事は死ぬまで秘密にしろ! だから友達の事はわすれろ!」
そういわれたあとで、自分は激痛のために気を失った。後に警察によって発表された事件のあらましは、自分は校庭内の高い木から落ちて全身打撲。ケンタとイサムの二人は何者かに拉致され行方不明になったとされた。半漁人の企てについては一切公表されなかった。全ては隠蔽されたのだ。
自分は周りの大人たちの指示に従ったが、そうせざるを得なかったからだ。真相は地区の大人たちの大多数が知っていることだったが、知らないのはその時小学生だった世代のみだった。自分以外の・・・
その後、中学と高校に進学したが、同級生ですらケンタとイサムがいたという事すら忘れてしまった。二人の家族もミズタマリの一件の後で、地区のお偉方に何らかの因果を含まされて、遠い町に引っ越していってしまった。そのため、二人の事を口にするものはいなくなってしまった。
自分も半漁人になった二人がどうなったかについて興味はなかった。しかし再びミズタマリから誘惑されるまでは・・
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
意味がわかると怖い話
邪神 白猫
ホラー
【意味がわかると怖い話】解説付き
基本的には読めば誰でも分かるお話になっていますが、たまに激ムズが混ざっています。
※完結としますが、追加次第随時更新※
YouTubeにて、朗読始めました(*'ω'*)
お休み前や何かの作業のお供に、耳から読書はいかがですか?📕
https://youtube.com/@yuachanRio
女子切腹同好会
しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。
はたして、彼女の行き着く先は・・・。
この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。
また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。
マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。
世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる