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(3)戦闘マシーンの内臓から生還した少女

顔がある!

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 中に入って来たのは女ばっかりだったが、なぜか中にはロボットのようなものもいた。

 「先生、なかなかの完成度ですね。ここまで限りなく再生できるのは素晴らしいですね」

 そう看護師の一人から先生と言われたのはロボットみたいなものだった。

 「そうやね、ここまで出来るとは思っていなかったわ。あたしと違って素体の元の状態が分かったしね、それに技術も進歩したからね。本当にラッキーでよかったわね、君!」

 そういって近づいて来たロボットみたいな先生はどうやらエイリアンに改造され生還したらしかった。

 「挨拶していなかったわね、あたしは君の主治医のオ・マンソク。まあ気付いているだろうけど、改造された人間を可能な限り元の姿にする整形外科医よ。
 それにしても、可愛い顔だったんだね。この顔を覚えているよね?」

 そう言われたけれど、鏡に映る自分の顔は、正直なところ何も思い出せなかった。どうやら記憶は戻りつつあるけど、過去のパーソナルな部分は大きく欠落したままであった。

 「この顔が私ですか? なんか感動しているのですが、自分のものなんて意識が湧いてこないのですけど・・・それに、なんていったらいいのかな、その・・・私って名前ありました? 認識番号は覚えていますが・・・」

 そこまで言ったところでオ医師が手を出した。それは、待った! といったジェスチャーのようだった。

 「もう、言わなくても良いわよ! 洗脳がまたかかったら困るやさかい! 取りあえず、最初に君を見つけてくれた人がとりあえず、ミチルといっていたから。取りあえずミチルさんという事にしないかい? あとで、本当の名前が分かったら変えればいいからさかい!」

 ミチルという名前を聞いて、顔よりもなんか記憶があった。遠い昔、といっても改造される前にそう呼ばれていたような気がした。それにしても今の自分の年齢って何歳なんだろう? 名前を思い出せないし、どこに住んでいたかもわからなかった。ただ、日本語は理解できるようなので、そういうことなんだろうとミチルは思う事にした。
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