召喚先は打ち切り漫画作品の世界!? 異世界の終末を救うには役だたずかもしれないけど(完結)

ジャン・幸田

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召喚の書

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 ヴェロムははっきり言えば弱虫でダメな勇者だ。ダメな勇者という言い方は矛盾があるけど、そういう説明だから仕方なかった。ただ話が進むにつれて都合がいいというか、主人公なのだからと説明するしかないのだが、ドンドン強くなって無双するようになって、仲間も増えていった。

 その仲間は元悪役令嬢のカザン、甲冑蟲に寄生された少女のエリン、筋肉バカな怪力男バルカンで、四人はパーティーとなっていろんな冒険をしているはずだった。しかし、ここ五話ほどは何故かよく分からない武闘大会に参加する話になっていた。

 そんな展開に対し、スマホで見た掲示板では、ヴェロムに死亡フラグが立ったと囁かれるようになっていた。俺は何の事なのか分からなかったが、それは「週刊少年チャンプ」の傾向だということだ。人気が低迷しはじめた作品のテコ入れとして、主人公たちを人気が出るかもしれない格闘展開にしてみるということだった。でもヴェロムは失敗だといえた。話が破綻していたからだ、本当に訳がわからなくなっていた。

 今までヴェロムに弱い面があって、それを自分に合わることが出来たのであるのに、なんでもかんでも上手くいくなんて都合よすぎるといえた。ああ、話についていけなくなった自分に気付いていた。

 
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