鶴の恩返し 二次創作

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鶴の恩返し 二次創作

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むかしむかし、一人の若い娘が住んでいました。
娘は若くして両親を亡くし一人さみしく生きていましたが、とても心の優しい娘でした。
ある冬の朝、里で山菜取りをしていると
罠にかかった鶴がいるのを見つけました。
「かわいそうに」
見かねた娘はその鶴を助けてあげました。
鶴は何か言いたげに娘を見ると
そのまま飛び立っていきました
その日の晩、娘が床に就こうとしたときに外から声が聞こえます
コンコン
「すいません、少しだけ中に入れてくれませんか」
「どなたですか?」と娘は返します
「遠いところから旅をしに来たものです」
「道に迷ってしまいまして」
「少しだけ中に入れてほしいんです」
「それは大変ですね…。冬も厳しい土地です。うちでよければ一泊していってください」
そういうと娘は戸を開けて招き入れました
旅人は端正な顔をした娘と同じ年頃のの男性でした
娘はその青年に食事と風呂をふるまいました
「いろいろお世話になりありがとうございます」
「恩返しをしたいのですが奥の部屋を貸してください」
「でも、決して戸を開けないでくださいね」
「えっ....ええ.....わかりました」
そういって男は戸を閉めました
しばらくすると戸の向こうから
ギッタンバッタンと音がします
(なにしてるんだろう.....)
娘は怪訝に思いますが男との約束を思い出し気にせず床に就こうとしました
ギッタンバッタン・・・ギッタンバッタン
夜通し音が聞こえてきて娘はとても眠れませんでした
(旅人さん大丈夫かな.....)
娘は心配になり戸を少し開け中をのぞいてしまいました
(え.....)
するとそこには鶴が自分の羽を毟り、機織り機で織物を作っていました
(な....なんで....)
「決して開けないでといったのに…」と寂しさと悲しさが入り混じった表情をして家の窓から飛び出していきました
娘はすぐさま追いかけます
え....ちょっと....!
待ってよ!
しかし羽をむしり過ぎたため鶴は飛び立つことができませんでした
バタバタ・・・バタバタ・・・
必死に飛び立とうとしますがうまくいきません
すぐに娘は鶴に追いつきました
「ねっ.....ねえ.....大丈夫......?」
「実は私は今朝助けていただいた鶴なんです」
「やっぱり....」
「どうしてもお礼がしたくて自分の羽で織物を織っていたんですが・・・・」
「そんなっ.....」
「お礼なんていいのに.....」
「せめて新しい羽が生えるまでうちにいてください…」
鶴は娘の言う通り、一緒に生活することになりました
一人で暮らしていた娘は男のおかげでとても楽しいひと時を送ることができました
やがて春になり…
「おかげで新しい羽根が生えました」
「私のことを2度もたすけていただいてありがとうございます」
「おぉ.....やっと生えたんですね......」
「これはそのお礼です」
男は娘に自分の羽の織物で作った白無垢を差し出しました
「こんなもの.....」
「いいんですか....?」
「一緒に暮らしているうちにあなたのことが好きになってしまいました」
「私と結婚してくれませんか?」
「けっ......結婚.....?//」
「私なんかでいいんですか......?」
「はい、あなたを愛しています」
「嬉しい....//」
そうして二人は満開の桜の下で結婚式を挙げ
末永く幸せに暮らしましたとさ
めでたしめでたし
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