17 / 18
17
何とか情報を聞き出した所によると、どうやらリーダーであるトリスは別行動しているらしい。
一緒にいるのは回復役の僧侶だということ。
聞くだけ聞いて、やはり思うところがあったのかザクロは戦士風の男を一発殴った。
先程ヴァンに話していたことはなんだったのか、と思ったイオだったが、二人の師に教えてもらった人の心は複雑怪奇であるという教えのことを改めて思い出し、何も言わなかった。
躊躇いや容赦の無さこそイオに劣るものの、ザクロは一度も飼い主たるイオにお伺いを立てることなく元仲間を殴ったのだ。
きっとイオが止めていたとしても、そして、あとで躾が待っていたとしてもきっと彼はその拳を収めることはなかったはずである。
まさに満身創痍、というよりも魔法使いの方は虫の息だったが、そんな二人を放置した。
念の為回復用のポーションなど所持していないかくまなく調べて、没収しておいた。
痛み止めの薬草すらイオは情け容赦なく巻き上げた。
聞き出した情報によると、ザクロの元仲間であり、現パーティのリーダーでもあるトリスは先に最上階で待っているらしい。
どうやら、先程の二人がザクロを含めたほかの参加者達を倒すことを信じていたようだ。
それは、イオのことを舐め腐っていたなによりの証拠であった。
ザクロがコロシアムから出てきた経緯、そしてイオが示したニュース。
さらにコロシアムの公式サイトに投稿されている、ザクロとイオの対戦動画を見て、舐めたのだろうと思われる。
動画や、実際生中継を見ていた人間ですらイオとザクロはほぼほぼ同格の強さで、殴りあっていたように見えたのだから。
トリス達がそれを確認していたとすると、もしかしたら、都合よくイオがザクロに苦戦していたように見えていたかもしれない。
と、なれば二年前ですらザクロの実力を見誤り、親戚一同という数の暴力を使って嵌めたトリスが、戦士風の男と援護役の魔法使いで十分どころか、余裕で倒せると考えた可能性がある。
現実は見ての通りだが。
「あちこちに死体があるけど、さて、あといったいどれくらい生き残ってるやら」
イオが歩きながら呟いた。
「イオさん、もういっその事最上階に行って奴隷王の元仲間を先に倒して、残りのパーティが来るの待った方がいいんじゃ?」
「まぁ、たしかにパーティ同士で潰しあってるし。
歩き回ってエンカウント待つより、もうここまで来たらそっちのほうが効率いいか」
イオもヴァンの提案に頷く。
効率云々と言っているが、正直なところ歩くことに飽きた風であった。
そこから三人は最上階へと歩を進めた。
何度か待ち伏せやら、たまたま鉢合わせしたが故の遭遇戦となったが、そこからの戦闘は九割がたイオが殴り飛ばし、残りの一割をザクロが処理する流れ作業となっていった。
ヴァンはずっと実況していたが、この階段を登れば最上階、という場所まで来て、こんなことを言い出した。
「掲示板を見ている人達からの安価で、奴隷王がボスを倒して欲しい、ということなんですけど良いかな?」
「あんかー? ってなんだ?」
聞きなれない言葉に、ザクロが首を傾げて訊ねる。
ヴァンは、自分の携帯端末の画面を見せながら、言葉の説明をした。
イオもその画面を覗き込む、そして、首を傾げた。
「この各書き込みしている人達の前に番号がついているの、わかるかな?
この番号、スレッド番号って言うんだけれど、奴隷王にして欲しいお題を募集して、指定されたスレッド番号に書き込まれたものを実行するという、まぁお遊びというか」
「なるほど、ようするに俺にして欲しいお題がトリスとの直接対決だと」
「はい。イオさんが強いのはわかったし、正直イオさんの無双に飽きてきたから、そろそろ奴隷王の活躍が見たい、というのがこの実況掲示板をROMってる人達の総意というか」
「ロム?」
またも聞きなれない単語が出てきて、ザクロが不思議そうな顔をするが、そっちの説明は無かった。
「俺がなるべく関わりたくないな、と考えてるのは無視されるわけか」
ザクロもただ呟いただけだったようで、とくに説明がなくても気にしていないようである。
「はい。安価は絶対なので」
ヴァンがにこやかに返した。
そんな訳で、最上階に着いたら先行が入れ替わることになった。
「うーん、ヴァンさんのこと守れるか自信ないなぁ」
本音なのか謙遜なのか卑屈なのか、よくわからない言葉をイオは呟いた。
「とりあえず近づいてきたら今まで見たいに殴り飛ばしておけばいいだろ」
ザクロにもしっかりと聞こえていたらしく、そう言われてしまう。
「ま、それもそっか」
そして、イオは単純なのでそのまま受け取ってしまう。
そうして、会談を上り最上階へとたどり着く。
雰囲気はほかの、展望台といったところだ。
広い通路があり、側面にはガラスが嵌め込まれいてとても見晴らしが良い。
外の景色をそれなりに楽しみながら通路を進んで行くと、やがてコテコテとした装飾が施されたいかにもな巨大な扉が見えてきた。
そして、その扉を背もたれに暇そうにしているザクロの元仲間二名。
ザクロがゆっくりと、剣を鞘から抜いて歩いていく。
ある程度のところで、イオとヴァンは立ち止まって成り行きを見守ることにする。
「そう言えば、不思議だったんですよ」
イオがヴァンにそう話しかけるのと、ザクロの存在に気づいたトリス達が驚きの表情を浮かべるのは同時だった。
「ちょうどいいんで今聞いてもいいですか?」
ザクロとトリスの戦闘が始まる。
ヴァンはそれを見ながら、携帯端末の画面に文字を打ち込んでいく。
しかし、ちゃんとイオに返してくれた。
「何をかな?」
「なんで、ここまで俺たちに協力してくれたんですか?
いや、違う、か。
なんで、ヴァンさんはわざわざここまで着いてきたんですか?
実況のため?
なるほど、たしかに理由としては最もですけど、それならザクロはともかく俺だって携帯端末を持ってるし、リアタイの実況は出来なくても、合間合間に報告として掲示板に書き込むことくらい出来ました。
なにより、一番不思議なのはたかが犯罪奴隷と外国からきた子供に肩入れして、こんな命の危険がある場所までくっついてきたことなんですよ。
いくら冤罪かもしれないとしても、犯罪奴隷にここまで肩入れしますか?
出会ってせいぜい数時間の外国人の子どもに、特権階級、ここではスラングとして上級国民と呼ばれてる一族出身の男の罪を暴く為とはいえ、今回みたいな協力を持ちかけるなんてそもそもおかしいんですよ。
ヴァンさん、改めて問います。
なんで、ここまで着いてきたんですか?
そして、なんで嘘をついたんですか?」
「……嘘?」
ヴァンが反応したのは、イオの最後の言葉にだけだった。
それ以外には、答える気が無いようである。
「さっき、貴方がザクロに見せた掲示板。
あれはたしかに今までここの事を実況してきた掲示板でした。
でも、安価なんてそもそもやってないですよね?
ザクロはそもそも掲示板を利用したことすら無かったから、見方、この場合は読み方が分からなかったんでしょう。
だから、気づかなかった。
ザクロは、ヴァンさん、貴方の嘘に気づかなかった」
「…………」
「勘違いしないで欲しいのは、俺は貴方を責めてるんじゃないです。
ただ、不思議なんです。
そして、その不思議の答えを貴方から聞きたいなと考えているからなんです。
それと、子供を利用する大人はどこにでもいますから。
善意の仮面を被って他者を利用しようとする輩は、人生経験豊富な大人が多いですし。
」
「その口振りからするに、イオさん、全部わかってるでしょ」
「想像でいいなら話しますよ。
……復讐、ですよね。
この予選へ参加する俺たちを利用した、これはあなた達の復讐です。
そりゃ、貴方からすれば最愛の妹でありアーサーさんからすれば婚約者であった女性と、新しく生まれてくるはずだった命、その二つを理不尽な理由によって奪われたんですから、殺したくもなりますよね。
でも、正攻法じゃ上級国民は殺せない。逆に握りつぶされる。
権力という、別次元の実力を持つ存在へ復讐するにはどうするか、もしかしたら貴方達はずっと考えていたのかもしれないですね。
だから、絡め手である今回のやり方を考え出した。
せめて空想の中でもいいから、犯人をぶっ殺したいと妄想していたりしたんじゃないですか?」
「…………」
実況を打ち込んでいた、ヴァンの手が止まる。
「闘技大会の予選は、おそらく何もかもがちょうど良かったんじゃないですか?
だって、合法的人を殺すことの出来る、頭のおかしい大会ですから。
運が良ければ俺かザクロがあの元仲間達を手にかけるでしょうし、もし半殺しで終わったとしてもダンジョンを出れば待ってるのは社会的な制裁。
結果として、アーサーさんとヴァンさんは自分の手を汚すことなく精神的にも肉体的にも、妹さんを殺した犯人とそのお仲間を殺すことができるって寸法です。
たとえ今回の件が失敗しても、その責任を取るのはコロシアムのことで有名になった俺です。
外からきたイキった子供が痛い目を見た。
そして、消える。ただそれだけです。
さて、穴だらけで推理でもなんでもない、絵空事ですが、掠ってたりします?」
「あはは!」
唐突に、ヴァンは顔を両手で覆って笑い始めた。
ただ、少しだけ鼻声であった。
「うん、大当たりだよ。
でも、イオさん凄いね。いつの間にそこまで調べたの?
時間なんてあった?」
「調べ方はコツを知ってるので、ただ俺今朝言いましたよね?
おかげで寝不足なんです」
つまり、一晩で調べあげたのだ。
と、イオが少しだけイタズラっ子のような顔をしていまだ両手で顔を隠しているヴァンへ試すように言った。
「ところで、このやり取り既視感覚えません?」
そこで、ヴァンが気づいた。
気づいてしまった。
イオは携帯端末を所持している。
そして、この帝国にも掲示板があることに驚き、そして喜んでいた。
つまり、イオは掲示板の使い方を知っていたのだ。
そして、利用するだけなら匿名性があるということも、きっとよく知っていた。
特定厨というコテハンを使用していたアーサーよりも先に、ヴァンの妹であり彼の婚約者の情報を打ち込んだ存在がいた。
アーサーもヴァンも、その辺は出来ることなら書き込むことを避けたかった。
でも、他人であり画面の向こうの人間はその辺を気にせずズカズカと踏み込んで情報をばら蒔いてしまった。
結果的にはよかったのだろう。
何故ならそれは、ヴァンにもアーサーにも出来なかったことなのだから。
そして、その情報は他の他人へと共有され、特定厨が提示した個人情報の拡散へと繋がったのだから。
「あ、決着つきますよ!」
イオは、ヴァンの返答を待たず、少しだけ明るい声でザクロとトリスの方を指さした。
回復役だった僧侶は既に体力、気力、魔力と尽きていていつの間にか床へ倒れて荒く息を吐いている。
ザクロの剣が閃く。
次の瞬間には、トリスの片目が潰れ、肩から先が切り落とされて血飛沫を上げていた。
トリスの悲鳴が響く。
それを視認した僧侶の悲痛な叫びも響く。
それらを見たヴァンが、憑き物が落ちたようなサッパリとした笑顔で呟いた。
「汚ねぇ声、ざまぁみろ」
「アハハ、ヴァンさんって性格真っ黒ですね。
邪悪呼ばわりしてたアーサーさんのこと言えないですよ」
とくに引くことも怯むこともなく、イオが明るく言った。
「さて、それじゃ言質とりましょうか」
イオが携帯端末を見せながら、今だ泣き叫び続けるザクロの元仲間達に近づいていく。
そして、イオはザクロの肩をぽんぽんと叩いて声をかけた。
「お疲れ様。ザクロ、そこの僧侶さん取り押さえて」
「は?」
戸惑いながら、しかしザクロは飼い主の指示に従う。
それから、イオはこのままではまず間違いなく失血死するだろうトリスへと近づいて、落ちていた腕を近づけて背負っていたバックパックから上等な回復薬を取り出して、彼へとぶちまけた。
みるみるうちに、腕がくっついていく。
トリスの悲鳴もおさまる。
かと思いきや、イオはトリスを右足で踏んづけた。
「がっ! なにを?!」
呻いて言葉を発するトリスに、イオは言った。
「はい、それじゃそこの僧侶さんに質問です。
貴族のどら息子、こいつはザクロの母親を殺したよな?」
「なんの」
トリスが非難めいた声を上げる。
その顔を、イオが蹴りつけた。
「お前には聞いてない」
冷たいイオの声。
ザクロに拘束されている僧侶の少女は、訳が分からず顔を真っ青にしてブンブンと顔を横に振った。
「し、知らない、わたし、知らない!!」
「そうか、じゃあ質問を変えましょう。
貴方達は、その事件で捕まったザクロの金を山分けした。
違う?」
「そ、それは、だって、トリスが!!」
「あ、なるほど、そうだったそうだった。全部リーダーであるトリスさんの指示で行った。
そういう事ですね? 欠片も自分たちには非がない、と?」
「…………っ! このクソアマ!!
あとで覚えてろ!!」
トリスが僧侶を罵倒する。
「じゃ、責任とらないとですね」
実にいい笑顔でイオは言って、このダンジョン挑戦中に拾った暗殺者のナイフを取り出すと、トリスに馬乗りになってその腕を掴んで僧侶へとまるで見せびらかすようにヒラヒラさせる。
「人のものを盗むのだって犯罪ですよ。
はい、スパンっ!」
ほとんど音はしなかった。
しかし、次にはトリスの指が呆気なく落ちた。
「うわ、切れ味良すぎ。これじゃ尋問にならないや」
遅れてやってきた痛みと、イオの奇行にトリスが暴れ出すがその体は不思議なほどビクともしない。
「やめ、やめろ!
やめろやめろやめろ!!!!」
「やめて欲しいですか。なら本当のことを言ってください。
貴方はザクロの母親を殺しましたか?」
沈黙。
仕方ないので、そこからはゆっくりと痛めつける方向へやり方を変える。
それでも、トリスは口を割らなかった。
それどころか。
「俺じゃない! 殺したのはあの僧侶だ!!」
「おや、意外と口が硬い。
なら、僧侶さん、次は貴方の番です」
「え?」
「だって、主犯が自供しないんですもん。
んで、その主犯が貴方が殺したって言うんですもん。
ザクロの貯金もとってますし、両手首を落とすだけで済みますから」
「え、え??
違う、私じゃ、ない!!」
「あ、じゃあ交換条件です。
誰がザクロの母親を殺したのか、そしてザクロのお金を懐に入れたのは誰なのか、正直に言ったら貴方の手首を落とさないであげても良いですよ」
こういった尋問に慣れていないであろう少女は、呆気なく陥落した。
そこからはまさにトントン拍子で話が進んでいった。
どうやらトリス達が最後の相手だったらしく、死ぬか戦闘不能として他のパーティは処理され、結果的にイオをリーダーとするパーティ【もふもふ団】が攻略成功ということになった。
ちなみに、尋問のあと心をぶち折られたトリス達は戦闘不能と解釈された。
どこからともなくファンファーレが鳴り響き、扉がゆっくりと開いた。
中に入ると、ここのダンジョンのダンジョンマスターが流れ作業よろしく予選としての攻略の証であるメダルをくれた。
メダル入れはもっているかと訊かれ、イオが無いと答えると専用のメダル入れを渡してくれた。
そして、攻略者用の出口を指し示して、そちらから出るように言われる。
言葉に従って歩き出すと、
「よーし、じゃ、次のパーティが待ってるからチャチャッと掃除おわらせるぞー」
そんな、ダンジョンマスターがのんびりと号令が聞こえてきた。
おそらく清掃員用の通路と出入口もあるのだろう。
イオは、どこからともなく清掃員が現れてダンジョンの様々な階層に散っていく様子を思い浮かべてしまった。
なんだかおかしくて、一人笑っているとザクロが声をかけてきた。
「お前、楽しそうだな」
「まぁ、暴れ足りないんでちょっと不満だけど。
そこそこ楽しかったからね」
「あんだけえげつない拷問しておいてよく言うな」
そう喋る二人の背中を見ながら、少し遅れてヴァンが着いていく。
その表情は、やはりどこかサッパリとしていたのであった。
一緒にいるのは回復役の僧侶だということ。
聞くだけ聞いて、やはり思うところがあったのかザクロは戦士風の男を一発殴った。
先程ヴァンに話していたことはなんだったのか、と思ったイオだったが、二人の師に教えてもらった人の心は複雑怪奇であるという教えのことを改めて思い出し、何も言わなかった。
躊躇いや容赦の無さこそイオに劣るものの、ザクロは一度も飼い主たるイオにお伺いを立てることなく元仲間を殴ったのだ。
きっとイオが止めていたとしても、そして、あとで躾が待っていたとしてもきっと彼はその拳を収めることはなかったはずである。
まさに満身創痍、というよりも魔法使いの方は虫の息だったが、そんな二人を放置した。
念の為回復用のポーションなど所持していないかくまなく調べて、没収しておいた。
痛み止めの薬草すらイオは情け容赦なく巻き上げた。
聞き出した情報によると、ザクロの元仲間であり、現パーティのリーダーでもあるトリスは先に最上階で待っているらしい。
どうやら、先程の二人がザクロを含めたほかの参加者達を倒すことを信じていたようだ。
それは、イオのことを舐め腐っていたなによりの証拠であった。
ザクロがコロシアムから出てきた経緯、そしてイオが示したニュース。
さらにコロシアムの公式サイトに投稿されている、ザクロとイオの対戦動画を見て、舐めたのだろうと思われる。
動画や、実際生中継を見ていた人間ですらイオとザクロはほぼほぼ同格の強さで、殴りあっていたように見えたのだから。
トリス達がそれを確認していたとすると、もしかしたら、都合よくイオがザクロに苦戦していたように見えていたかもしれない。
と、なれば二年前ですらザクロの実力を見誤り、親戚一同という数の暴力を使って嵌めたトリスが、戦士風の男と援護役の魔法使いで十分どころか、余裕で倒せると考えた可能性がある。
現実は見ての通りだが。
「あちこちに死体があるけど、さて、あといったいどれくらい生き残ってるやら」
イオが歩きながら呟いた。
「イオさん、もういっその事最上階に行って奴隷王の元仲間を先に倒して、残りのパーティが来るの待った方がいいんじゃ?」
「まぁ、たしかにパーティ同士で潰しあってるし。
歩き回ってエンカウント待つより、もうここまで来たらそっちのほうが効率いいか」
イオもヴァンの提案に頷く。
効率云々と言っているが、正直なところ歩くことに飽きた風であった。
そこから三人は最上階へと歩を進めた。
何度か待ち伏せやら、たまたま鉢合わせしたが故の遭遇戦となったが、そこからの戦闘は九割がたイオが殴り飛ばし、残りの一割をザクロが処理する流れ作業となっていった。
ヴァンはずっと実況していたが、この階段を登れば最上階、という場所まで来て、こんなことを言い出した。
「掲示板を見ている人達からの安価で、奴隷王がボスを倒して欲しい、ということなんですけど良いかな?」
「あんかー? ってなんだ?」
聞きなれない言葉に、ザクロが首を傾げて訊ねる。
ヴァンは、自分の携帯端末の画面を見せながら、言葉の説明をした。
イオもその画面を覗き込む、そして、首を傾げた。
「この各書き込みしている人達の前に番号がついているの、わかるかな?
この番号、スレッド番号って言うんだけれど、奴隷王にして欲しいお題を募集して、指定されたスレッド番号に書き込まれたものを実行するという、まぁお遊びというか」
「なるほど、ようするに俺にして欲しいお題がトリスとの直接対決だと」
「はい。イオさんが強いのはわかったし、正直イオさんの無双に飽きてきたから、そろそろ奴隷王の活躍が見たい、というのがこの実況掲示板をROMってる人達の総意というか」
「ロム?」
またも聞きなれない単語が出てきて、ザクロが不思議そうな顔をするが、そっちの説明は無かった。
「俺がなるべく関わりたくないな、と考えてるのは無視されるわけか」
ザクロもただ呟いただけだったようで、とくに説明がなくても気にしていないようである。
「はい。安価は絶対なので」
ヴァンがにこやかに返した。
そんな訳で、最上階に着いたら先行が入れ替わることになった。
「うーん、ヴァンさんのこと守れるか自信ないなぁ」
本音なのか謙遜なのか卑屈なのか、よくわからない言葉をイオは呟いた。
「とりあえず近づいてきたら今まで見たいに殴り飛ばしておけばいいだろ」
ザクロにもしっかりと聞こえていたらしく、そう言われてしまう。
「ま、それもそっか」
そして、イオは単純なのでそのまま受け取ってしまう。
そうして、会談を上り最上階へとたどり着く。
雰囲気はほかの、展望台といったところだ。
広い通路があり、側面にはガラスが嵌め込まれいてとても見晴らしが良い。
外の景色をそれなりに楽しみながら通路を進んで行くと、やがてコテコテとした装飾が施されたいかにもな巨大な扉が見えてきた。
そして、その扉を背もたれに暇そうにしているザクロの元仲間二名。
ザクロがゆっくりと、剣を鞘から抜いて歩いていく。
ある程度のところで、イオとヴァンは立ち止まって成り行きを見守ることにする。
「そう言えば、不思議だったんですよ」
イオがヴァンにそう話しかけるのと、ザクロの存在に気づいたトリス達が驚きの表情を浮かべるのは同時だった。
「ちょうどいいんで今聞いてもいいですか?」
ザクロとトリスの戦闘が始まる。
ヴァンはそれを見ながら、携帯端末の画面に文字を打ち込んでいく。
しかし、ちゃんとイオに返してくれた。
「何をかな?」
「なんで、ここまで俺たちに協力してくれたんですか?
いや、違う、か。
なんで、ヴァンさんはわざわざここまで着いてきたんですか?
実況のため?
なるほど、たしかに理由としては最もですけど、それならザクロはともかく俺だって携帯端末を持ってるし、リアタイの実況は出来なくても、合間合間に報告として掲示板に書き込むことくらい出来ました。
なにより、一番不思議なのはたかが犯罪奴隷と外国からきた子供に肩入れして、こんな命の危険がある場所までくっついてきたことなんですよ。
いくら冤罪かもしれないとしても、犯罪奴隷にここまで肩入れしますか?
出会ってせいぜい数時間の外国人の子どもに、特権階級、ここではスラングとして上級国民と呼ばれてる一族出身の男の罪を暴く為とはいえ、今回みたいな協力を持ちかけるなんてそもそもおかしいんですよ。
ヴァンさん、改めて問います。
なんで、ここまで着いてきたんですか?
そして、なんで嘘をついたんですか?」
「……嘘?」
ヴァンが反応したのは、イオの最後の言葉にだけだった。
それ以外には、答える気が無いようである。
「さっき、貴方がザクロに見せた掲示板。
あれはたしかに今までここの事を実況してきた掲示板でした。
でも、安価なんてそもそもやってないですよね?
ザクロはそもそも掲示板を利用したことすら無かったから、見方、この場合は読み方が分からなかったんでしょう。
だから、気づかなかった。
ザクロは、ヴァンさん、貴方の嘘に気づかなかった」
「…………」
「勘違いしないで欲しいのは、俺は貴方を責めてるんじゃないです。
ただ、不思議なんです。
そして、その不思議の答えを貴方から聞きたいなと考えているからなんです。
それと、子供を利用する大人はどこにでもいますから。
善意の仮面を被って他者を利用しようとする輩は、人生経験豊富な大人が多いですし。
」
「その口振りからするに、イオさん、全部わかってるでしょ」
「想像でいいなら話しますよ。
……復讐、ですよね。
この予選へ参加する俺たちを利用した、これはあなた達の復讐です。
そりゃ、貴方からすれば最愛の妹でありアーサーさんからすれば婚約者であった女性と、新しく生まれてくるはずだった命、その二つを理不尽な理由によって奪われたんですから、殺したくもなりますよね。
でも、正攻法じゃ上級国民は殺せない。逆に握りつぶされる。
権力という、別次元の実力を持つ存在へ復讐するにはどうするか、もしかしたら貴方達はずっと考えていたのかもしれないですね。
だから、絡め手である今回のやり方を考え出した。
せめて空想の中でもいいから、犯人をぶっ殺したいと妄想していたりしたんじゃないですか?」
「…………」
実況を打ち込んでいた、ヴァンの手が止まる。
「闘技大会の予選は、おそらく何もかもがちょうど良かったんじゃないですか?
だって、合法的人を殺すことの出来る、頭のおかしい大会ですから。
運が良ければ俺かザクロがあの元仲間達を手にかけるでしょうし、もし半殺しで終わったとしてもダンジョンを出れば待ってるのは社会的な制裁。
結果として、アーサーさんとヴァンさんは自分の手を汚すことなく精神的にも肉体的にも、妹さんを殺した犯人とそのお仲間を殺すことができるって寸法です。
たとえ今回の件が失敗しても、その責任を取るのはコロシアムのことで有名になった俺です。
外からきたイキった子供が痛い目を見た。
そして、消える。ただそれだけです。
さて、穴だらけで推理でもなんでもない、絵空事ですが、掠ってたりします?」
「あはは!」
唐突に、ヴァンは顔を両手で覆って笑い始めた。
ただ、少しだけ鼻声であった。
「うん、大当たりだよ。
でも、イオさん凄いね。いつの間にそこまで調べたの?
時間なんてあった?」
「調べ方はコツを知ってるので、ただ俺今朝言いましたよね?
おかげで寝不足なんです」
つまり、一晩で調べあげたのだ。
と、イオが少しだけイタズラっ子のような顔をしていまだ両手で顔を隠しているヴァンへ試すように言った。
「ところで、このやり取り既視感覚えません?」
そこで、ヴァンが気づいた。
気づいてしまった。
イオは携帯端末を所持している。
そして、この帝国にも掲示板があることに驚き、そして喜んでいた。
つまり、イオは掲示板の使い方を知っていたのだ。
そして、利用するだけなら匿名性があるということも、きっとよく知っていた。
特定厨というコテハンを使用していたアーサーよりも先に、ヴァンの妹であり彼の婚約者の情報を打ち込んだ存在がいた。
アーサーもヴァンも、その辺は出来ることなら書き込むことを避けたかった。
でも、他人であり画面の向こうの人間はその辺を気にせずズカズカと踏み込んで情報をばら蒔いてしまった。
結果的にはよかったのだろう。
何故ならそれは、ヴァンにもアーサーにも出来なかったことなのだから。
そして、その情報は他の他人へと共有され、特定厨が提示した個人情報の拡散へと繋がったのだから。
「あ、決着つきますよ!」
イオは、ヴァンの返答を待たず、少しだけ明るい声でザクロとトリスの方を指さした。
回復役だった僧侶は既に体力、気力、魔力と尽きていていつの間にか床へ倒れて荒く息を吐いている。
ザクロの剣が閃く。
次の瞬間には、トリスの片目が潰れ、肩から先が切り落とされて血飛沫を上げていた。
トリスの悲鳴が響く。
それを視認した僧侶の悲痛な叫びも響く。
それらを見たヴァンが、憑き物が落ちたようなサッパリとした笑顔で呟いた。
「汚ねぇ声、ざまぁみろ」
「アハハ、ヴァンさんって性格真っ黒ですね。
邪悪呼ばわりしてたアーサーさんのこと言えないですよ」
とくに引くことも怯むこともなく、イオが明るく言った。
「さて、それじゃ言質とりましょうか」
イオが携帯端末を見せながら、今だ泣き叫び続けるザクロの元仲間達に近づいていく。
そして、イオはザクロの肩をぽんぽんと叩いて声をかけた。
「お疲れ様。ザクロ、そこの僧侶さん取り押さえて」
「は?」
戸惑いながら、しかしザクロは飼い主の指示に従う。
それから、イオはこのままではまず間違いなく失血死するだろうトリスへと近づいて、落ちていた腕を近づけて背負っていたバックパックから上等な回復薬を取り出して、彼へとぶちまけた。
みるみるうちに、腕がくっついていく。
トリスの悲鳴もおさまる。
かと思いきや、イオはトリスを右足で踏んづけた。
「がっ! なにを?!」
呻いて言葉を発するトリスに、イオは言った。
「はい、それじゃそこの僧侶さんに質問です。
貴族のどら息子、こいつはザクロの母親を殺したよな?」
「なんの」
トリスが非難めいた声を上げる。
その顔を、イオが蹴りつけた。
「お前には聞いてない」
冷たいイオの声。
ザクロに拘束されている僧侶の少女は、訳が分からず顔を真っ青にしてブンブンと顔を横に振った。
「し、知らない、わたし、知らない!!」
「そうか、じゃあ質問を変えましょう。
貴方達は、その事件で捕まったザクロの金を山分けした。
違う?」
「そ、それは、だって、トリスが!!」
「あ、なるほど、そうだったそうだった。全部リーダーであるトリスさんの指示で行った。
そういう事ですね? 欠片も自分たちには非がない、と?」
「…………っ! このクソアマ!!
あとで覚えてろ!!」
トリスが僧侶を罵倒する。
「じゃ、責任とらないとですね」
実にいい笑顔でイオは言って、このダンジョン挑戦中に拾った暗殺者のナイフを取り出すと、トリスに馬乗りになってその腕を掴んで僧侶へとまるで見せびらかすようにヒラヒラさせる。
「人のものを盗むのだって犯罪ですよ。
はい、スパンっ!」
ほとんど音はしなかった。
しかし、次にはトリスの指が呆気なく落ちた。
「うわ、切れ味良すぎ。これじゃ尋問にならないや」
遅れてやってきた痛みと、イオの奇行にトリスが暴れ出すがその体は不思議なほどビクともしない。
「やめ、やめろ!
やめろやめろやめろ!!!!」
「やめて欲しいですか。なら本当のことを言ってください。
貴方はザクロの母親を殺しましたか?」
沈黙。
仕方ないので、そこからはゆっくりと痛めつける方向へやり方を変える。
それでも、トリスは口を割らなかった。
それどころか。
「俺じゃない! 殺したのはあの僧侶だ!!」
「おや、意外と口が硬い。
なら、僧侶さん、次は貴方の番です」
「え?」
「だって、主犯が自供しないんですもん。
んで、その主犯が貴方が殺したって言うんですもん。
ザクロの貯金もとってますし、両手首を落とすだけで済みますから」
「え、え??
違う、私じゃ、ない!!」
「あ、じゃあ交換条件です。
誰がザクロの母親を殺したのか、そしてザクロのお金を懐に入れたのは誰なのか、正直に言ったら貴方の手首を落とさないであげても良いですよ」
こういった尋問に慣れていないであろう少女は、呆気なく陥落した。
そこからはまさにトントン拍子で話が進んでいった。
どうやらトリス達が最後の相手だったらしく、死ぬか戦闘不能として他のパーティは処理され、結果的にイオをリーダーとするパーティ【もふもふ団】が攻略成功ということになった。
ちなみに、尋問のあと心をぶち折られたトリス達は戦闘不能と解釈された。
どこからともなくファンファーレが鳴り響き、扉がゆっくりと開いた。
中に入ると、ここのダンジョンのダンジョンマスターが流れ作業よろしく予選としての攻略の証であるメダルをくれた。
メダル入れはもっているかと訊かれ、イオが無いと答えると専用のメダル入れを渡してくれた。
そして、攻略者用の出口を指し示して、そちらから出るように言われる。
言葉に従って歩き出すと、
「よーし、じゃ、次のパーティが待ってるからチャチャッと掃除おわらせるぞー」
そんな、ダンジョンマスターがのんびりと号令が聞こえてきた。
おそらく清掃員用の通路と出入口もあるのだろう。
イオは、どこからともなく清掃員が現れてダンジョンの様々な階層に散っていく様子を思い浮かべてしまった。
なんだかおかしくて、一人笑っているとザクロが声をかけてきた。
「お前、楽しそうだな」
「まぁ、暴れ足りないんでちょっと不満だけど。
そこそこ楽しかったからね」
「あんだけえげつない拷問しておいてよく言うな」
そう喋る二人の背中を見ながら、少し遅れてヴァンが着いていく。
その表情は、やはりどこかサッパリとしていたのであった。
あなたにおすすめの小説
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
転生者のブルーノは絶大な力を持っていたが、その力を隠してダンジョンの荷役として暮らしていた。だが、教会の力で勇者を騙る卑怯下劣な連中に、レットドラゴンから逃げるための生贄として、ボス部屋に放置された。腐敗した教会と冒険者ギルドが結託て偽の勇者パーティーを作り、ぼろ儲けしているのだ。ブルーノは誰が何をしていても気にしないし、自分で狩った美味しいドラゴンを食べて暮らせればよかったのだが、殺されたブルーノの為に教会や冒険者ギルドのマスターを敵対した受付嬢が殺されるのを見過ごせなくて・・・・・・
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
追放されたら無能スキルで無双する
ゆる弥
ファンタジー
無能スキルを持っていた僕は、荷物持ちとしてあるパーティーについて行っていたんだ。
見つけた宝箱にみんなで駆け寄ったら、そこはモンスタールームで。
僕はモンスターの中に蹴り飛ばされて置き去りにされた。
咄嗟に使ったスキルでスキルレベルが上がって覚醒したんだ。
僕は憧れのトップ探索者《シーカー》になる!
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら世界中がパニックになってますが?
あとりえむ
ファンタジー
【5話ごとのサクッと読める構成です!】全60話 完結しました。読者の皆様ありがとうございます!
世界を救ったのは、聖剣ではなく「洗剤」でした。
「君のやり方は古いんだよ」 不当な理由でS級クランを追放された、ベテラン清掃員・灰坂ソウジ(38歳)。 職を失った彼だったが、実は彼にはとんでもない秘密があった。 呪いのゴーグルのせいで、あらゆる怪物が「汚れ」にしか見えないのだ。
・神話級ドラゴン
⇒ 換気扇の頑固な油汚れ(洗剤で瞬殺)
・深淵の邪神
⇒ トイレの配管詰まり(スッポンで解決)
・次元の裂け目
⇒ 天井の雨漏りシミ(洗濯機で丸洗い)
「あー、ここ汚れてるな。チャチャッと落としておくか」
本人はただ業務として掃除をしているだけなのに、その姿は世界中で配信され、人類最強の英雄として崇められていく! 可愛い元ダンジョン・コアや、潔癖症の聖女も入社し、会社は今日も大忙し。 一方、彼を追放した元クランは、汚れ(モンスター)に埋もれて破滅寸前で……?
「地球が汚れてる? じゃあ、一回丸洗いしますか」 最強の清掃員が、モップ片手に世界をピカピカにする、痛快・勘違い無双ファンタジー!
【免責事項】
この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。